IP産業の中心地に熱視線、アニメ分野で飛躍する有望株をロックオン <株探トップ特集>
―オールドメディアの退潮で、IPビジネスに降り注ぐ新たなスポットライトに刮目―
現代社会では、かつてテレビなどのオールドメディアが担っていた「共通言語」の力が弱まりつつある。YouTubeやSNSで、それぞれが見たいもの、心地よいものを選んで消費するようになった。同じ時代を生きていながら、共有している物語や記憶はむしろ減っている。人間関係を構築するきっかけさえつかみにくい時代において、感情を動かし、価値観に影響を与え、時には心の拠り所にもなる、そんな可能性を有しているのがIP(知的財産権)である。足もとで注目度が高まっている「IP」関連の銘柄を追った。
●世界のアニメファンが集うクランチロール
記念すべき10回目となる「クランチロール・アニメアワード2026」で、同アワードの結果発表・授賞式が今月23日に東京で開催された。世界中のアニメファンが過去最高となる7300万もの票を投じたという。並み居る人気タイトルをはねのけて、見事に「アニメ・オブ・ザ・イヤー」に選ばれたのは「僕のヒーローアカデミア FINAL SEASON」となった。作品キーワードの「個性」だけでなく、社会や人々の在り方まで漫画、アニメシリーズ全編を通して深く考えさせられる名作だ。
だが、今回フォーカスしたいのは当該アニメ単体の話ではない。そもそも「クランチロール(Crunchyroll)」とは、ソニーグループ <6758> [東証P](米ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントとアニプレックスの合弁)のアニメ配信サービスである。有料会員数が2026年3月時点で2100万人を超えたと直近の「経営方針および業績に関する説明会」の中で開示された。前年同期(1700万人超)から約1年で400万人の増加、伸び率にして約24%であり、まさに絶好調といえる。
同サービスに関して、あまり見聞きしたことがないと思う人もいるかもしれないが、それもそのはず、基本的には日本からの視聴ができないためだ。しかし、5万話を超える日本アニメを10以上の言語の字幕・吹替で展開し、世界にアニメ・漫画文化を発信している。つまり、これは単なる動画配信サービスではなく、世界のアニメファンが一堂に会するプラットフォームと言っても過言ではない。
●ファンの熱量の高さがIP産業の原動力
もっとも、配信プラットフォーマーという観点では、Amazonプライム、Netflix、ディズニープラスといったトップ勢と比較すれば、クランチロールの2100万人という数字は一見まだ小さく映る。トップ勢に追随する「Hulu」でさえも約6400万人である。しかし、そもそもクランチロールはそうした配信サービスと同じポジションで勝負しているわけではない。アニメという特定ジャンルに専念し、「アニメIP経済圏」の入口を目指しているからだ。そうした専門的ポジショニングにもかかわらず、2100万人から3000万人、4000万人へと進んでいく道筋が十分に視界に入っている。
また、国内勢と比較すれば、現時点ですら小さい規模ではないということが明確である。例えばフジテレビが運営する「FOD」は24年8月に有料会員150万人を突破したと発表している。クランチロールの2100万人は文字通りケタが違う。FODが主として日本国内のテレビ視聴者を相手にしている半面、前述した通りクランチロールは世界中のアニメ親和層を相手にしているため、天井の位置が違うというわけだ。
また、IP産業の根源的な強さは、ファンの熱量から多面的に収益化が可能な点にある。アニメ・漫画の親和世代が徐々に社会の中軸世代(=生産年齢)となってきていることも、ますます今後の市場拡大に勢いをつける要因となりそうだ。
今回は「IP」関連の銘柄に焦点をあてた。前出のソニーGのほか、任天堂 <7974> [東証P]、サンリオ <8136> [東証P]、バンダイナムコホールディングス <7832> [東証P]、KADOKAWA <9468> [東証P]、タカラトミー <7867> [東証P]、セガサミーホールディングス <6460> [東証P]などが代表的な銘柄であることは論をまたないが、今回は株価的に人気素地を内包した中小型株を中心に取り上げる。
●株価もエンタメモードで上値追い!魅力満載6銘柄
◆ブシロード <7803> [東証G]~ゼロから生み出したオリジナルIPや育成中のIPを、自社グループ内で多角的に展開。原作の企画からアニメ化、ゲーム化、コミカライズ、そしてグッズ化やリアルライブまでをグループ内でスピーディーに連携。「IPクリエイション」として時代を先読みする創造力を生かし、「カードファイト!! ヴァンガード」「バンドリ!」「新日本プロレス」「スターダム」といった代表的IPを生み出し育成してきた。
◆IGポート <3791> [東証S]~グループのプロダクション・アイジーは「攻殻機動隊」シリーズ、「PSYCHO-PASS サイコパス」「ハイキュー!!」「怪獣8号」など、高いクオリティとSF・アクション描写に定評があるアニメ製作スタジオを有する。劇場・テレビ・配信向けアニメの受託及び自主制作、Netflixをはじめとする海外配信プラットフォームとの直接提携・大型契約にも強みがある。
◆アルファポリス <9467> [東証G]~Web上の閲覧数や評価ポイントですでに人気がある作品だけを厳選して書籍化・メディアミックスすることで、高い確率でヒットを生み出せる。「Re:ゼロから始める異世界生活」などで有名な実力派スタジオWHITE FOXや、3DCG映像制作のNIAアニメーションを子会社化。これにより、自社の潤沢な異世界系IPを、計画的かつ高品質にグループ内でアニメ化できる体制を整えている。
◆アカツキ <3932> [東証P]~子会社のアカツキゲームスを中心としたスマートフォン向けモバイルゲームの企画・開発・運営を行う。アーティストやアニメ、VTuberなどの関連グッズを企画・製造。企業のDX支援や、最先端の生成AI・ロボット(フィジカルAI)の実装を行うアカツキAIテクノロジーズを中心とした、テクノロジー領域の事業も展開する。サニーサイドアップグループ <2180> [東証S]に対するTOB(株式公開買付け)を実施、IPの創出から世の中へのブーム化(PR)、グローバル展開までを一気通貫で行う計画。
◆マーベラス <7844> [東証P]~コンシューマゲームでは「牧場物語」シリーズ、「ルーンファクトリー」シリーズ、「DAEMON X MACHINA」など、自社看板IPを多数保有。オンラインゲームでは、スマートフォン向けアプリの企画・開発・運営を手掛ける。キッズ向けアミューズメント筐体の企画・運営も行う。「2.5次元舞台」の草分け的存在であり、舞台「テニスの王子様」や「刀剣乱舞」「龍が如く」など、熱狂的なファンを持つメガヒット舞台を多数プロデュース。
◆ビーグリー <3981> [東証S]~日本テレビ放送網の持ち分法適用会社。「まんが王国」に集まる膨大な読者の購買・閲覧データから、リアルタイムで読者が求めているジャンルや展開を正確に分析する。自社で発掘・育成した人気マンガIPを、日本テレビのアニメ枠や地上波ドラマ、小学館のメディア力を生かして大きく映像化・メディアミックスする仕組みを急速に推進している。
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