明日の株式相場に向けて=「金&レアアース」メタル系大相場の奔流
週明け24日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比488円安の6万5528円と続落。今週はスケジュール的に様子見ムードに支配されやすい“気迷いウィーク”といえる。週央の26日(日本時間27日早朝)に開示される米エヌビディア<NVDA>の決算発表(及びガイダンス)が、東京市場でもAI・半導体関連に大きな影響を与える変数となる。また同日に、エヌビディア決算の陰に隠れてはいるがセールスフォース<CRM>やクラウドストライク・ホールディングス<CRWD>などソフト関連企業の決算も予定されており、AIツルハシと併せ、いわくつきの“SaaS組”にも目が離せない決算イベントが連なっている。そして、国内では27日に日銀の氷見野副総裁が埼玉県の金融経済懇談会に参席後、記者会見を予定している。中道タカ派的なイメージで、「9月の日銀利上げのシグナルを発する役回りになるのでは」(国内証券ストラテジスト)という見方も強い。
そして27~29日の日程で行われるジャクソンホール会議において、28日に登壇するウォーシュFRB議長の基調講演に世界の耳目が集まることになる。9月のFOMCでは6割以上の確率で据え置きが予想されている。とすれば中間選挙目前の10月下旬のFOMCでも過去の歴史に照らし合わせ利上げ見送りは濃厚とみられ、12月の利上げの可能性に焦点が当たる。だが、フォワードガイダンスに否定的な立場をとるウォーシュ氏がその可能性に触れるような言質を取らせることは考えにくい。「大山鳴動して鼠一匹」のジャクソンホール講演となる公算も小さくない。
マーケットに目を向けると、非AI・半導体関連株にダイナミズムを漲(みなぎ)らせる銘柄が目立ってきた。メタル系に強力な資金流入が観測され始めた。世界的に金利上昇に対する警戒感が高まる一方で、利息を生まない資産として価格下落圧力が働きやすい金(ゴールド)が何故か市況高を満喫している。一見矛盾する動きだが、底流には2つの要素が絡み合い、金市況高の演出に大きく影響しているようだ。まず、中国が戦略的に「脱ドル」を進め、返す刀で金を買い漁るという動きが観測されている。これは言うまでもなく金価格上昇に直結していく。一方、米財務省は中国に対抗する形でバイバック(国債買い戻し)に踏み切る格好となった。元来バイバックは流動性を維持し米長期金利の暴走を止めるための措置だが、世界で最も安全かつ流動性の高い米国債を政府自身が買い戻して市場を支える、という行為自体に矛盾が生じている。結果として中国と米国の共同作業でドルの信認低下と金の価値上昇という同じベクトルを生み出す皮肉な構図となっている。
株式市場はしたたかである。こうした歪んだ事情を目ざとく察知し、金市況高で恩恵を享受する銘柄群に投機性の強いマネーが雪崩を打って押し寄せてきた。東京市場では金関連の筆頭格である住友金属鉱山<5713>がマドを開けて3連騰、約5カ月半ぶりの高値水準まで一気に浮上した。このほか、三井金属<5706>、三菱マテリアル<5711>などもこれに追随して上値を追った。また、純金上場信託(現物国内保管型)<1540>など金関連のETFは言わずもがな上昇基調を鮮明としている。ここで、注目されるのが都市鉱山関連だ。既にアサカ理研<5724>が本領を発揮、松田産業<7456>なども動兆著しい。併せて、同じ範疇に含まれる銘柄でエンビプロ・ホールディングス<5698>、リネットジャパングループ<3556>もマークしておきたい。
これらの都市鉱山関連は、現在マーケットでフル稼働中のもう一つの強力テーマにも密接に関わっている。それは「レアアース」関連としての切り口である。中国から日本へのレアアース磁石の輸出量が7月は前年同月比で半減したことが明らかとなり、これは高市早苗政権にとっても危機意識を募らせる背景となったはずだ。既に高市政権では27年度概算要求として、レアアースを含む重要鉱物の確保に約6800億円を盛り込んでいる。国産レアアースの確保に尽力する方針を明確に打ち出しており、文字通り国策に売り無しで、レアアース関連株への再脚光は時間の問題でもあった。レアアース関連で人気化した多くの銘柄が、今年の1月から2月にかけて空前の物色人気を博したが、その喧騒から約半年を経たことで、モメンタム相場の再来に向けて日柄的には十分に調整期間をこなしたともいえる。例えばAI・半導体関連はいずれ戻り相場に転じるにせよ、今はまだ日柄が浅い。それに比べレアアース関連は滑走路(調整期間)が長い分、株価も離陸しやすくなっている。
きょうはレアアース関連も見せ場を作った。アサカ理研をはじめとする都市鉱山関連のほか、東洋エンジニアリング<6330>や三井海洋開発<6269>などが資金を誘引した。このほか、業界内でも先駆してレアアース回収機材の開発に傾注し、実績豊富な古河機械金属<5715>に大口の買いが向かった。更に、材料株素地に富んだ銘柄として岡本硝子<7746>や中村超硬<6166>なども短期的に高パフォーマンスをあげる可能性がありそうだ。
あすのスケジュールでは、後場取引時間中に6月の景気動向指数の改定値が内閣府から開示されるほか、日銀が消費者物価のコア指標を公表する。これ以外に、7月の外食売上高、7月の全国スーパー売上高、7月の全国百貨店売上高などが順次発表される。海外では8月の独Ifo企業景況感指数のほか、米国では6月のS&Pコタリティ・ケース・シラー住宅価格指数、7月の新築住宅販売件数、8月の消費者信頼感指数などが開示される。また、米2年物国債の入札も予定。なお、マレーシア市場とインドネシア市場は休場となる。(銀)