大塚竜太氏【6万円台半ばで強弱拮抗、9月相場上放れの確度は】 <相場観特集>
―AI一極集中型から変化の兆し、幅広く物色の裾野が広がる―
24日の東京株式市場では、前場は日経平均株価が比較的狭いレンジでもみ合う展開となったが、後場に入ると下げ幅を広げる形に。依然として不透明な中東情勢が全体相場の重荷となるなか、今週は重要経済指標やイベントを控え、強弱観が対立しやすい局面にある。売買代金は夏枯れ気味ではあるが、日経平均は6万円台半ばで長短移動平均線を絡め、売りと買いのバランスが釣り合った状態。しばらくもみ合いが続くのか、それとも上下どちらかに大きく放れるのか。今後の相場展望と個別の物色対象について東洋証券の大塚竜太氏に見解を聞いた。
●「金利上昇を過度に恐れない、個別は非AI関連に着目」
大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)
週明けの東京市場は売り買いともに手が出しにくいという投資家心理が浮き彫りとなった。足もとで世界的な金利上昇に歯止めがかからない。株式市場にとっては警戒材料だが、今週はウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長のジャクソンホール会議での講演内容や、国内では日銀の氷見野副総裁の記者会見なども控えており、神経質な展開が続きそうだ。もっとも、国内10年債利回りが仮に3%台に乗ったからといって、株式市場から資金が急速に流出するようなことはなく、ここは冷静に対処したい。リーズナブルな価格で有力株を拾うチャンスと前向きに捉えておくところだ。
AI・半導体株比率の高い日経平均は相対的に上値は重いものの、時価総額加重平均のTOPIXの方は相対的に強さを発揮している。中期的にもNT倍率は低下基調をたどることが予想される。米国では26日にエヌビディア<NVDA>の決算発表を控えるが、極めて好調が予想されるとはいえ、事前コンセンサスが高過ぎて実際に株価はどう反応するか未知数である。だが、エヌビディアの株価がどちらに振れても、ひと頃のように全体相場の方向性をも決めるようなインパクトには乏しいと考えている。
また、長期金利の上昇は日米中銀による利上げの思惑が背景にあるが、日銀の9月利上げについては8割方織り込みが進んでいる。一方、米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げはあったとしても年内あと1回で、これも既に株式市場ではコンセンサスとして浸透している。そのため、今週の氷見野氏やウォーシュ氏の発言内容を受け波乱の地合いとなることは想定しにくく、過度に恐れる必要はないのではないか。日経平均の向こう1ヵ月の動きとしては上値が7万円、下値が6万2000円の上下8000円のレンジが想定ゾーン。基本的にはボックス圏往来が続きそうだ。
物色対象もこれまでのようにAI・半導体株に一極集中するような地合いではなくなってきた。上値にシコリ玉を抱えていない銘柄、もしくは過去に人気化した銘柄でも日柄的に十分な調整期間を経たものに照準を合わせてみたい。個別では日本郵船 <9101> [東証P]など海運大手や、防衛関連シンボルでここ最近は値動きの鈍かった三菱重工業 <7011> [東証P]に着目。このほか、同じく防衛関連でNEC <6701> [東証P]などにも目を配っておきたい。バリュー株では配当利回りの高い日本製鉄 <5401> [東証P]の押し目も買い妙味があろう。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。
株探ニュース