【杉村富生の短期相場観測】 ─波乱局面の対処法? 電力株を攻める!
「波乱局面の対処法? 電力株を攻める!」
●秋相場はジンクスどおりの大荒れ
まさに、ジンクスどおりの展開である。秋(9~10月)相場は荒れるのが、この時期の習性だ。季節的な要因に加え、今年は中東情勢のドロ沼化、原油価格の高騰、金利の上昇、欧州政治の混迷、トランプ関税の再燃などが重なっている。見渡せば悪材料だらけだ。好材料は? 「ない」。しかし、先人は「好材料がなければ買え」と教えているではないか。
逆に、「悪材料がなければ売れッ」と。まあ、これは極端な相場理論だが、結論的には目先の波乱にオタオタするのは恥ずかしい。いつものこと。人生と同じだ。この世界は順風満帆の時ばかりではない。嵐も来れば雨も降る。みんな数々のアクシデントを乗り越え、生きている。それに、インデックスは不振だが、個別物色機運は旺盛である。
この局面では 電力株が面白い。円高メリットを享受できるし、 データセンター向けなど電力需要は急増する見通しだ。実際、東北電力 <9506> [東証P]、関西電力 <9503> [東証P]、東京電力ホールディングス <9501> [東証P]などは抜群に強い。特に、筆者は再建途上の東京電力に妙味あり、と判断している。
今年1月に認定された東京電力の「第5次総合特別事業計画」は、7段階によって構成されている。すなわち、(1)柏崎刈羽原発6号機の再稼働、(2)フリーキャッシュフローの黒字化(財務改善)、(3)福島原発廃炉事業の抜本改革、(4)送配電、データセンター、AI(人工知能)需要の取り込み、(5)50%出資のJERA、火力・省エネ事業の活用など。
さらに、(6)他社との協業(アライアンス)、(7)最終ゴール(実質的に発行済み株式数の76%を持つ国の関与の縮小→株式売却)というスケジュールである。すでに、(1)はほぼ達成した。今後、JERA、東京電力パワーグリッドなどの企業価値(総額5兆~8兆円)が評価されるとともに、大量のカラ売りが株価を刺激するだろう。
●材料はあとから貨車でやってくる!
さて、「株価は正直だ」という。自然災害の多発は損害保険会社の収益を悪化させるのではないか、と懸念されている。某大手損保のコールセンターには水没した車の保険について、適用範囲を問い合わせる電話が殺到しているらしい。実際、ここにきて損保株の動きが悪くなった。もちろん、株価が言わせている面がある。
マーケットにはさまざまな情報が乱れ飛んでいる。情報過多の時代である。それだけに、真偽を見極める確かな“目”が重要になる。ここ数日は「長期金利のピークアウト説」とか、「フィラデルフィア半導体株指数(SOX)はすでに、6月に天井形成」などといった見方が流れた。有力調査機関のレポートだけに、影響力が大きい、と思う。
大手証券の著名なストラテジスト(戦略家)は8月以降、「現在の状況が1987年10月のブラックマンデー時に酷似」と警告している。これまた、多くの投資家を身構えさせているのではないか。まして、事業法人、機関投資家は決算月だ。様子見姿勢に陥るのは避けられない。ただ、ショック安とは「予期せぬ出来事」である。株価は事前に、それを織り込む。
古来、「材料はあとから貨物列車に乗ってやってくる」のだ。株価が下がると、それらしき悪材料が語られる。メガバンクについては「金利はそんなに上昇しない」が株価の上昇を抑え、地銀株は「金利上昇→国債価格下落→含み損の発生」が唱えられた。半導体関連セクターは6月以来、ずっと調整している。しかし、“後講釈”の登場が株価底入れになろう。
筆者はキオクシアホールディングス <285A> [東証P]、ソフトバンクグループ <9984> [東証P]は大底確認→反騰態勢に入った、と考えている。8月以降、「突っ込み買い」を叫んできた。肝要なのはリスクを取る勇気だ。この方針は不変である。キオクシアは9月末の1対3の株式分割の権利取りをお勧めする。
2026年9月10日 記
株探ニュース