明日の株式相場に向けて=モメンタム・ストック復活、7万円大台回復へ疾走続くか
名実ともに10月相場入りとなった1日の東京市場で、日経平均株価は2203円高と大幅続伸。上げ幅2000円超えは8月5日以来となる。日足は大陽線でボリンジャーバンドは拡散基調。終値はプラス3シグマに迫る強調展開で、レンジ相場からの脱却を期待させる。2営業日で3475円の上昇は意外高と呼んでも差し支えはないだろう。金利上昇を見越して積み上がった「金融株ロング・AI半導体株ショート」のポジションのアンワインドの流れとなり、モメンタム・ストックと位置付けられる銘柄群にトレンドフォロー型の資金が流入する格好となった。
半導体メモリー大手の米マイクロン・テクノロジー<MU>が30日引け後に発表した26年6~8月期(第4四半期)決算は非の打ちどころのない好業績となり、9~11月期のガイダンスは市場予想を上回った。時間外取引で同社株は売り買いが交錯したものの、AIデータセンター向けのメモリー需要の力強さが改めて意識されることとなった。加えて、9月の日銀金融政策決定会合の主な意見の公表を受け、連続利上げ観測が後退したことも、 AI・ 半導体関連を中心とするモメンタム株への資金加勢につながった。
9月会合では高市政権発足後に就任した2人の審議委員が利上げに反対した。今回公表された「主な意見」のなかでは、ベッセント米財務長官が円安への警戒感を露わにした後にもかかわらず、内閣府の出席者が利上げによる影響について十分な点検を求めたことが明らかになった。米国側の意向に反する形で、政権サイドは利上げの打ち止めを暗に求めたと受け止められる。日銀と政権の温度差が浮き彫りとなるなかで、市場では「12月会合での利上げが現実的」(国内証券)との声が聞かれるが、いずれにせよ急速な金融引き締めの警戒感が薄れたこと自体は、株式市場にポジティブに働いた。
過去をみても10月は海外投資家が日本株に対し買い越しに傾く月として知られている。3月期企業の中間決算の発表が本格化する下旬は、秋口から来年春まで株を保有すればキャピタルゲインが得られやすいという「ハロウィーン効果」に海外投資家の意識が向かうタイミングだ。国内企業の良好な企業業績に市場の関心が向かう可能性も高い。更に米中間選挙後は株高というアノマリー(過去の経験則)もマーケットにおいて徐々に語られるようになった。市場の目線は上方向に傾きつつある。1日時点で日経平均の25日移動平均線のカイ離率は5%を上回り、いわゆる過熱ゾーンに差し掛かったが、ここ数年では利食い圧力が強まるといった教科書的な流れに至らず、上昇基調を続けるパターンが相次いでいる。
海外勢の買いという需給要因で日経平均が7万円大台を上抜け、6月25日の過去最高値7万2366円34銭に向けて疾走を続けられるか。そのカギを握るのは、やはり金利水準になりそうだ。1日の円債市場では連続利上げ観測が後退したにもかかわらず、新発10年債利回り(長期金利)は一時3.110%に上昇した。政権サイドからの利上げ打ち止め圧力が、円安と物価高をもたらし、日銀の政策対応が遅れる「ビハインド・ザ・カーブ」に陥るリスクが警戒されている。米国に関して言えば、好景気ゆえの金利上昇という楽観論が広がった状況にはあるものの、金利高が続けば資金調達意欲が低下しAI関連投資も委縮しかねない。金利を起点にモメンタム株が激しく上下動する高ボラティリティ相場が見込まれるなか、日本時間2日夜には米9月雇用統計の公表を控える。水準を切り上げたAI・半導体関連の利食い圧力を見込みつつ、米国の追加利上げ観測後退時の株のアップサイドリスクも考慮しなければならない局面にあると言えるだろう。
2日は国内では寄り前に9月東京都区部消費者物価指数と8月完全失業率、8月有効求人倍率、9月マネタリーベースが公表される予定。引け後にファーストリテイリング<9983>が9月国内ユニクロ売上推移速報を発表する。海外では米雇用統計のほか、ユーロ圏の9月消費者物価指数、米8月製造業新規受注などの発表を控えている。(長田善行)