明日の株式相場に向けて=アドテスト躍進で日経平均最高値圏突入か
きょう(6日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比737円高の7万0683円と大幅続伸。ついに終値で7万円台を回復してきた。国内外で金利上昇圧力をヒシヒシと感じるような局面だが、株価の方は想定以上の強さを発揮している。きょうは10年国債(新発384回)の入札があり、これを警戒視する向きもあったが、フタを開けてみれば順調だった。市場関係者は「表面利率が3.1%と引き上げられた(9月までは2.7%)ことで買い需要を喚起した」(国内証券ストラテジスト)というが、前日の高市早苗首相の所信表明演説との兼ね合いで、不調に終わった場合は財政拡張に対する懸念がまたぞろメディアで取り上げられるケースも考慮された。くすぶる火種を消してまずはひと安心というところで、株式市場を強気に傾けた。しかし、今はもとより金利動向にリンクしていない、あまり債券市場に視線を向けている感じがしない相場で、それだけに注意も必要といえる。
足もとの強調相場は日経平均寄与度の高いアドバンテスト<6857>の一人舞台といってもよく、きょうは737円高のうち334円分を同社株1銘柄で押し上げた。米エヌビディア<NVDA>向け半導体テスターの主要サプライヤーとして、ここにきて両銘柄の株価は見事に連動し日米で最高値圏を快走している。売買代金もトップ常連だったキオクシアホールディングス<285A>を凌いで再び首位を獲得。大引け時点の時価総額は30兆6342億円まで膨らみ、キオクシア30兆8362億円とほぼ肩を並べる水準となった。 半導体関連及び部品・部材などその周辺株は、一様に買われる感じではなくなってきてはいるが、こうした軸となる銘柄が存在するうちは全体相場の大崩れも起こらない。ただ、今のモメンタム相場はかつてのような怒涛の資金誘引力は失われている。日経平均は最高値更新が視野に入っているが、リスクと隣り合わせの頂上付近という認識は持っておきたい。
個別に目を向けると、半導体関連は主力株以外の中小型株にも動意が相次いでいる。今月末からの新TOPIXに絡み今後グロース市場などからの採用が相次げば、新陳代謝が促進され、直接その選別の枠から外れた銘柄であっても、資金潮流に触れることで株価が刺激される。もちろん、これは企業側のガバナンスに委ねられる部分はあるが、新たなマネーフローがもたらされることの意味は小さくない。
ここで半導体周辺のマークしておきたい銘柄として、例えば前週も取り上げたが、半導体向け感光性材料を手掛けるダイトーケミックス<4366>。同社の大株主で世界的なフォトレジストメーカーである東京応化工業<4186>にも供給している実績は見逃せない。また、商業印刷を祖業とする竹田iPホールディングス<7875>は、グループで電子基板のスクリーンマスクやフォトマスクなど半導体関連マスク事業を、設計から製造までワンストップで手掛けており要注目となる。加えて同社はプリント基板設計会社を傘下に収め積極展開しており、自動運転車関連の伏兵としても輝きを放つ要素がある。更に計測・検査機器メーカーのニレコ<6863>は光学技術分野も深耕し、先端半導体向けなどオプティクス事業で新境地を開拓している。
また、きょうはアドテストなど半導体主力銘柄の上昇パフォーマンスもさることながら、物色対象として投資マネーが集中したのはサイバーセキュリティー関連である。社会現象あるいは社会的に国民の話題となるような事象は、株式市場では投資資金を誘導する強力なカタリストとなる。かつての道路陥没事故で下水道インフラに関連する銘柄が軒並み大相場を演じたのは記憶に新しい。サイバーセキュリティーという領域は古くからマーケットで折に触れて注目され、表現は悪いが手垢のついた投資テーマではある。しかし、背景が大きく変わればそうした観念は容易に剥がれる。今はAI脅威論から派生したサイバー攻撃に対する警戒ムードが極まり、関連銘柄を突き動かしている。
国内では上場企業に対するサイバー攻撃があちらこちらで間欠泉が噴き上げるように頻発している。目先は不正アクセスによる個人情報の漏洩が止まらない状況となっているが、今後はその二次的な被害も懸念せざるを得ない。少なくとも現時点でそうした被害を受けていない企業であっても、対岸の火事ではなく同じ渦中にあると考えなければならない。そうした不可避かつ喫緊のソリューションを請け負う銘柄群として、きょうはカウリス<153A>、セキュアヴェイル<3042>、ZenmuTech<338A>、フーバーブレイン<3927>、サイバーソリューションズ<436A>、ブロードバンドセキュリティ<4398>がいずれもストップ高カイ気配に張り付くなど異色のパフォーマンスをみせた。これ以外のサイバーセキュリティー関連も爆発的な物色人気に沸いている。そうしたなかで比較的相場が若いものではNo.1<3562>、JBCCホールディングス<9889>、更に穴株でヌーラボ<5033>に着目したい。
あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に厚生労働省が8月の毎月勤労統計を、財務省が9月上中旬の貿易統計をそれぞれ公表する。また、後場取引時間中には8月の景気動向指数(速報値)や消費活動指数が発表される。海外ではインド準備銀行(中央銀行)が政策金利を決定するほか、ポーランド中銀の政策金利発表も予定されている。米国ではFOMC議事要旨(9月15~16日開催分)が開示され、マーケットの耳目を集めそうだ。このほか、8月の米消費者信用残高も発表され、米10年物国債の入札も行われる。なお、中国(上海・深セン)市場は休場となる。(銀)