明日の株式相場に向けて=中銀ウィーク&刮目の企業決算で正念場
週明け26日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比503円安の6万2189円と3日続落。きょうは日中値幅こそ800円強にとどまったが、上下に不安定に揺れまくった1日であった。全体相場が急落もしくは急騰する局面では、トレンドフォロー型のAIアルゴリズム取引が作動するのはお決まりのコースだが、きょうのような比較的小幅なレンジ相場であっても暗闇をうねるジェットコースターさながら、方向感の見えないボックス圏往来で投資家心理はいいように振り回される。
日経平均は前週末までの12営業日で上昇した日はわずか2営業日にとどまる。サイコロジカルラインにして2勝10敗とリスクオフへの傾斜が甚だしく、下げ幅も大きい。この間にほぼ8000円も水準を切り下げていた。きょうは、寄り前の先物が強含み自律反発局面への移行を予期させたが、案の定一筋縄ではいかず、距離感のつかみにくい相場であった。今週は日米欧の中銀ウィークであるとともに、国内外でAI・半導体の要衝を占める大手企業の決算発表を控えていることもあって、見切り発車するには相応の勇気がいる。
日米欧中銀の政策決定会合では週半ばから週末にかけて順繰りに行われる。27~28日のFOMC、28~29日のECB理事会、29~30日の日銀金融政策決定会合でそれぞれ政策金利が決定する。ただし、今回は3極ともに利上げ見送りが濃厚視されている。これについてマーケットはほぼ織り込み済みで、もっと言えば12月の会合で日米欧いずれも25ベーシスポイントの利上げに動く公算が大きいというコンセンサスまで織り込んでいる、といっても過言ではなさそうだ。しかし、では無風通過かといえばそうとも言えず、ポイントは今後の金融政策を巡る各国中銀のメッセージ(ラガルドECB総裁、ウォーシュFRB議長、植田日銀総裁の記者会見を含む)がどうなるかに耳目が集まる。年明け以降の利上げピッチについての直接的な言及はなくても、発言のニュアンスによって相場が揺れる蓋然性は高い。
とりわけ米国ではFOMC後の29日に9月のPCEデフレーターの発表を控える。後先になるが、ここで予測を上回るインフレ圧力が観測されれば、FRBの後手に回る政策スタンスが浮き彫りとなってしまう。「そもそも、既に最近の経済指標を鑑みるとウォーシュ議長が利上げに躊躇するというのは“有限不実行”の誹(そし)りを免れない」(大手生保系エコノミスト)という指摘がある。米中間選挙目前という政治的な背景やネオクラウドの資金調達懸念などに尻込みして、改めてビハインド・ザ・カーブ懸念が取り沙汰されるとウォーシュ氏の神通力は早くも賞味期限切れというレッテルを貼られかねない。
一方、今週予定される日米主要企業の決算発表に目を向けると、米国では28日のアルファベット<GOOGL>、マイクロソフト<MSFT>、29日にアマゾン<AMZN>のハイパースケーラーの決算に熱い視線が注がれている。収益面では実績及び見通しを含めて好調を極める内容であることはほぼ間違いないが、最近はそれ以上にデータセンターなどAIインフラ投資計画に焦点が当たっている。悩ましいのは、設備投資意欲に全く陰りなしということであれば行き過ぎを警戒され、そうかと言って開発減速方針を示唆すればAIツルハシ銘柄群に強い逆風をもたらす。要はどちらに転んでも株式市場目線ではネガティブに作用する可能性がある。売り方が闊歩すれば、それだけリバウンドに向けた反発力も蓄えられるのだが、今は日米ともに信用取引で積み上がった買い残の重みで動きを封じられている。
日本では28日に刮目のアドバンテスト<6857>の決算発表があるが、同日にNEC<6701>と日立製作所<6501>の決算も予定されている。アドテストはAI関連のツルハシ銘柄としてはラスボス級の存在感があり、同社株の決算内容とその後の株価動向は全体にも大きな影響を与える。株価は大幅な調整を入れた後だけに買い方有利にも見えるのだが、好決算は当然として、株価がどう反応するかは未知数だ。一方、米アンソロピックの台頭を受け初動で売られたNECの方は、直近大陰線を引いたとはいえ株価トレンドについては5日移動平均線を絡めた上昇トレンドを維持しており、決算発表通過後に見えてくる景色もアドテストとは大分異なる。日立製作所も同様で、足もと株価はおぼつかなくなっているが、決算発表で再び上を目指せるかどうかが注目される。このほか、29日にイビデン<4062>、ルネサスエレクトロニクス<6723>、そして週末30日には天下分け目のキオクシアホールディングス<285A>の決算発表が待つ。キオクシアはPERが跳ね上がった状態で買われ、今のように4倍台という究極の低PERでは逆に買いが売りに凌駕されてしまう。同社の場合は金額ベースで8800億円という信用買い残がネックであることは論をまたない。「株は需給」の格言は古今東西を問わず不変の条理である。
あすのスケジュールでは、日銀が9月の企業向けサービス価格指数を朝方取引開始前に公表するほか、後場取引時間中には日銀算出による消費者物価のコア指標が開示される。後場取引終了後に日本取引所グループ<8697>の山道CEOの記者会見が予定されている。主要企業の決算発表では、信越化学工業<4063>、日東電工<6988>、キヤノン<7751>などが注目される。海外では1~9月期の韓国国内総生産(GDP)、1~9月期の中国工業企業利益のほか、米国で重要指標が相次ぎ、9月の耐久財受注額、8月のS&Pコタリティ・ケース・シラー住宅価格指数、9月の新築住宅販売件数、10月の消費者信頼感指数などにマーケットの耳目が集まる。また、米5年物国債の入札も行われる。米主要企業の決算発表では、ボーイング<BA>、コカコーラ<KO>などが注目される。(銀)