みのや:「おかしのまちおか」220店舗の菓子専門チェーン、年10店舗の純増ペースを計画
みのや<386A>は、菓子専門店「おかしのまちおか」をチェーン展開する菓子小売企業である。菓子小売業・卸売業から事業を開始し、2008年菓子小売業へ特化、店舗数は220店舗の大台に到達し、売上高の約78%を占める関東圏を地盤に中京・関西圏へもドミナント出店を広げている。メーカーの過剰生産品などを安く仕入れる「スポット商品」の売上比率が比較的高く、残りをミルクチョコレートやポッキーといったナショナルブランドの定番商品で構成する独自のマーチャンダイジングが特徴で、「安く、珍しく、今の時期にここでしか買えない」商品を店頭に並べることで来店動機をつくり、定番商品との併せ買いで買い上げ点数を高めている。菓子専門の小売チェーンとして競合する上場企業は見当たらず、業態としてはディスカウントストアやドラッグストアの菓子売場が類似対象となる。
同社の強みは、第一に、220店舗の販売力に裏打ちされた仕入ネットワークである。多店舗展開による販売力を背景にメーカー・卸との関係を強化しており、メーカーからの余剰品などのスポット商品の受け皿としての知名度・信頼を確立している。物価高で人件費をはじめとする諸経費が上昇するなか、消費者の「安いものをお得に買いたい」心理を察知してスポット比率を高めてきた経緯があり、生活防衛意識の強まりはむしろ追い風となっている。店舗数が増えるほど仕入量も増える好循環があり、この仕入網は一朝一夕には模倣できない参入障壁となっている。第二に、売場の編集力である。限定商品や季節商品、話題性のある商品を陳列でアピールし、まちおかに行かなければ手に入らない買い物体験を演出している。類似業態と売り込まれる商品が重なってしまうリスクは会社も認識しているが、陳列・企画での差別化を磨き続けている。第三に、SC(ショッピングセンター)を軸とする出店力である。天候に左右されず集客が見込めるSCへの出店に基準を精査して取り組んでおり、2026年6月期の新規出店16店舗、2027年6月期計画の13店舗はいずれもSC店である。
直近の業績を確認すると、2026年6月期は売上高25,666百万円(前期比6.9%増)と増収を確保した。期初は経済環境の悪化や猛暑に悩まされたが、既存店売上高は通期で前年比101.2%(客数98.2%・客単価103.1%)を維持し、商品戦略と仕入れの工夫により売上総利益率は37.7%へ改善した。値上げ環境下で客単価が上昇する一方で客数は減少したが、足元では商品戦略と仕入れの工夫により客数は回復に向かっている。一方、配送業務・倉庫管理など物流経費や人件費ほか諸経費のコストアップを吸収しきれず、営業利益は673百万円(同0.8%減)、経常利益は735百万円(同3.8%減)と微減益にとどまった。続く2027年6月期は、売上高27,183百万円(前期比5.9%増)、営業利益707百万円(同5.1%増)を見込んでいる。また、中京・関?圏の認知度向上を図るべく、同エリアへの出店強化を継続していく。実現可能性を重視した予算設計としており、7~9月は昨年ほどの苦戦はなく、足元の既存店売上高は104.1%で推移するなど滑り出しは順調という。
菓子小売市場の市場環境を確認すると、人口減少にもかかわらず菓子小売金額は増加傾向にあり、年間1人当たりの菓子小売り金額が増加している。菓子小売金額は2015年の3.2兆円から約7,694億円増加して4兆円に到達、2015年から2025年にかけての年間1人当たりの菓子小売り金額も26,202円から33,271円(7,069円増)で推移しているようだ。さらに、菓子類市場対比でみても同社の売上高は菓子類市場小売金額増加率と同水準で推移している。
将来戦略では、2034年6月期に300店舗超を目指す出店拡大が軸となる。既存店では売場レイアウトや品揃えの大幅な見直しやSNS活用による集客強化を進めており、月間強化商品を軸とした集中販売には手応えを得ている。関東の深掘りに加えて中京・関西の売上高は高い伸びを示しており、認知度が相対的に低い西日本では集中販売などの施策に手応えを得て、じりじりと知名度を高めていく方針である。また、減損の経験を踏まえて出店基準を精査しつつ、SC店を中心に毎期10店舗程度の純増ペースを目指す。また、既存店強化の一環として、店舗リニューアルにも注力している。物流面は現在4カ所の物流センターで対応しており、店舗網の拡大に合わせた物流体制の整備が中期的な論点となる。商品面では、スポット商品依存の安売りに偏らず、定番商品でも粗利率を確保しながら「いつどこでも買える」品揃えをメーカーと交渉して強化を図る。
株主還元については、2026年6月期に年間24.66円(前期10円、配当性向44.0%)へ増配したのに続き、2027年6月期は30円(同31.2%)への増配を計画する。期末基準で200株以上保有の株主に2,000円分の商品券またはお米券を進呈する株主優待制度も新設しており、株主に納得してもらえる還元制度を配当とのバランスを考慮しながら整えていく考えである。
総じて、みのやは、スポット商品及び多様な商品の仕入網という独自の参入障壁と「宝探し」のような売場で、物価高の下で強まる生活防衛意識を追い風にできる菓子専門チェーンである。前期は減損・上場費用・税負担という一過性要因で最終利益が大きく落ち込んだが、営業段階の実力は維持されており、今期は業績の回復と増配・優待制度の充実が投資家の評価につながろう。300店舗構想に向けた西日本での認知度向上と新店の歩留まり改善、コスト上昇下での利益率改善の進捗に注目していきたい。
《FA》