概要・株価
チャート
ニュース
かぶたん ロゴ
PR

経済安全保障の重要施策、脚光浴びる「サーキュラーエコノミー」関連株 <株探トップ特集>

特集
2026年10月29日 19時30分

―産業を守るための経済的成長戦略、30年までに官民で1兆円投資へ―

米国とイランとの軍事衝突で始まった中東情勢の混乱は依然として出口がみえず、エネルギーや原材料の供給懸念は根強い。これまで企業はエネルギーや原材料を市場から購入することで事業活動を維持してきたが、地政学リスクや資源争奪の激化によって資源供給そのものが企業経営を左右する時代になりつつある。こうしたなかで求められているのが、大量生産・大量消費・大量廃棄から脱却し、資源を効率的に再利用し付加価値を最大化する社会経済システム「サーキュラーエコノミー(循環経済)」への移行だ。

●循環経済への移行後押し

内閣府が16日に公表した循環経済に関する世論調査(8月20日~9月27日に全国の18歳以上の3000人を対象に郵送し、9月16日までに届いた1474人分を速報値として集計)によると、ごみ問題は重要だとする回答が97.4%に上った一方、循環経済という言葉の認知度は36.7%にとどまった。ごみの減量や分別は浸透しているものの、循環経済への移行は道半ばで、政府は資源を再利用しながら経済を持続させる官民投資を後押しする意向。環境省は2027年度予算の概算要求で、経済安全保障の確保につながる金属資源などの再資源化に対する投資促進支援に488億円(前年度は379億円)、再資源化事業推進のための金融的手法の導入に105億円(新規)などを計上した。

政府が4月に取りまとめた循環経済行動計画は、「再生資源供給サプライチェーンの強靱化」「日本をハブとする国際資源循環ネットワークの構築」「地域循環資源の徹底活用による地域活性化」「資源循環分野の国際ルール形成」「循環経済を国民運動に」の5つの柱で構成。重要鉱物や金属資源などの再生材供給に関する定量目標を設定したのをはじめ、 リサイクルの強化に対して30年までに官民で約1兆円を投資することが盛り込まれており、資源循環政策が環境政策から成長戦略に格上げされた形だ。天然資源の多くを海外に依存している日本にとって、循環経済への移行は経済安全保障上の施策となることから関連銘柄をマークしておきたい。

●相次ぐ国内企業の取り組み

直近ではJX金属 <5016> [東証P]が28日、先端半導体の配線形成に用いられる半導体用スパッタリングターゲットのリサイクルを推進するため、グループのJX金属コイルセンターの館林事業所及び那須事業所に新たなリサイクル設備を導入すると発表。これにより、限りある金属資源の有効活用とサプライチェーン全体における環境負荷の低減を進めるとともに、安定供給体制の更なる強化を目指すとしている。

三菱ガス化学 <4182> [東証P]は20日、JFEホールディングス <5411> [東証P]子会社のJFEエンジニアリングと廃棄物ガス化技術を活用した環境循環型のメタノール製造技術の確立に向けて共同で事業検討を行う覚書を締結したと発表。製造されるメタノールはプラスチックや合成繊維などの化学製品及び燃料として活用することが可能で、両社は同技術の早期社会実装を推進する構えだ。

MWCC <9227> [東証G]は19日、コーベックス(神戸市中央区)と共同で開発を進めてきたマイクロ波溶剤蒸留回収装置をコーベックスが発売することを明らかにした。この装置は従来の加熱方式では処理が困難だった溶剤への適用が可能で、廃液の減容化と溶剤の再資源化を実現。これにより、産業廃棄物の処理費用と新規溶剤の購入費用を抑えることができ、製造現場のコスト削減と資源循環の両立につながるという。

TREホールディングス <9247> [東証P]は13日、TREHD子会社のリバーを代表事業者、日本軽金属ホールディングス <5703> [東証P]子会社の日本軽金属、みずほフィナンシャルグループ <8411> [東証P]傘下のみずほ銀行を共同実施者、みずほリース <8425> [東証P]を協力会社とする実施体制により、環境省の「令和8年度国内資源循環体制構築に向けた再エネ関連製品及びベース素材の全体最適化実証事業(委託)」に採択されたと発表。実証で扱うのは使用済み製品や金属スクラップから回収された混合アルミスクラップで、これまで鋳物用途や海外に流れていた混合アルミスクラップを国内で循環させるための条件を探る取り組みとなる。

DOWAホールディングス <5714> [東証P]は9月28日、資源循環の新たな価値創出を目指すブランド「KUROCONEX(クロコネクス)」を立ち上げることを明らかにした。これはグループが提供するリサイクル金属などの資源循環に関する製品・サービスの総称で、グループが培ってきた資源循環技術と国内外のネットワークを基盤に、KUROCONEXを通じたパートナーとの共創により、新たな価値創出を目指す考えだ。

三菱マテリアル <5711> [東証P]は9月9日、子会社の日本新金属が重要鉱物であるタングステンの国内資源循環及び安定供給基盤の強化を目的に、秋田工場の湿式精錬設備をはじめとする各種設備を増強すると発表。これにより、タングステンスクラップからパラタングステン酸アンモニウム(APT)を製造する能力を拡充し、秋田工場におけるAPT生産能力を現在比で約2倍となる年間2400トンに引き上げるとしている。

●リネットJなどにも注目

サーキュラーエコノミーを構築するひとつとして、限られた資源を生かす「都市鉱山」にも注目したい。都市鉱山とは電子機器に含まれる金・銀・銅やレアメタル(希少金属)などの有用な金属資源を鉱山に見立てた言葉で、このほど東京都がスタートさせた「希少資源緊急回収プロジェクト(携帯電話・パソコン回収事業)」ではリネットジャパングループ <3556> [東証G]やKDDI <9433> [東証P]が採択されている。

また、リネットJは19日、JX金属グループのJX金属サーキュラーソリューションズ及び佐川急便を中核事業とするSGホールディングス <9143> [東証P]と資本・業務提携したことを発表。各社の強みを結集することで既存基盤を更に発展させ、回収量・対象品目・利用者・回収チャネルを大きく拡大するとともに、回収した資源を確実に再資源化・素材化につなげる回収プラットフォームを共同構築する構えだ。

このほかの関連銘柄としては、貴金属リサイクルを手掛けるアサカ理研 <5724> [東証S]、AREホールディングス <5857> [東証P]、松田産業 <7456> [東証P]など。サトー <6287> [東証P]はRadarLab(東京都中央区)と協業し、デジタル製品パスポート(DPP)導入支援サービスの提供を開始しており、DPPの規制対象として想定される自動車、鉄鋼、アルミ、家具、アパレル(テキスタイル)、家電などの企業を対象に、DPP対応に必要なデータ整理から製品や部品とデータをひも付けるタグ・ラベル仕様の設計、現場運用の設計までを支援するとしている。

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集