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ECビジネス最前線、躍動前夜の「エージェンティックコマース」関連株 <株探トップ特集>

特集
2026年10月15日 19時30分

―AIが購買を代行する時代に、30年の市場規模800兆円との試算も―

15日の東京株式市場で、日経平均株価は大幅安。前日の米株式市場で人工知能(AI)・半導体関連株などが売られ、米主要株価指数が揃って下落したことから投資家心理が悪化した。ただ、AIの可能性は日々進化しており、自律的または半自律的に目標達成のため観察・思考・判断・実行を繰り返す AIエージェントへと発展している。こうしたなか、世界的に注目されているのが、AIエージェントと決済インフラが高度に融合した「エージェンティックコマース」だ。米コンサルティングファームのマッキンゼー・アンド・カンパニーは、2030年までにAIエージェントが世界の消費者向け商取引で最大5兆ドル(約800兆円)を仲介する可能性があると指摘しており、国内でも取り組みが本格化しつつあるエージェンティックコマース関連に目を向けてみたい。

●新しい購買チャネル

エージェンティックコマースとは、AIエージェントが消費者の代わりに、商品の検索・選定比較・決済といった一連の購買行動を支援もしくは代行する新しい電子商取引(EC)の形態。従来のECでは検索や比較、最終的な判断までを人が行うことが前提だったが、エージェンティックコマースではAIが購買プロセスの中心的な役割を担う。メリットとしては、ユーザー側は商品を探しまわる検索や比較の手間から解放され、事業者側では顧客一人ひとりに深く寄り添う顧客関係管理(CRM:製品やサービスを提供する企業が、顧客との間に信頼関係をつくり、購入してくれた顧客をリピーターに、リピーターからファンになるような活動を行い、顧客と企業の相互利益を向上させることを目指す総合的な経営手法)を実現できるようになる。

ネットプロテクションズホールディングス <7383> [東証P]のシンクタンクであるNP総研が8月に公表したエージェンティックコマースの購買・決済に関する実態調査(対象は直近6カ月以内にネットショッピングを利用した全国の20~65歳の男女1150人)によると、AIサービスを週に数回以上利用する人が43.9%に達し、AIに期待する役割では商品の比較・選択の自動化が30.2%、より精度の高い商品の発見・提案が27.1%となった。商品選びを支援する用途など購買前の場面でAIの活用が広がっており、国内エージェンティックコマース市場の拡大が見込まれる。

●国内での取り組み続々

直近では博報堂DYホールディングス <2433> [東証P]傘下の博報堂とHakuhodo DY ONEが13日、エージェンティックコマース時代の商品情報のデータエンリッチメントソリューション「Data Enrichment for商品インサイト」の提供を開始。2日には博報堂がグループ内の戦略策定から実装・運用までをワンストップで支援するソリューションシリーズ「Agentic Commerce ONE(エージェンティック・コマース・ワン)」の一環として、エージェンティックコマースの本格普及を見据えた事業構造改革のコンサルティングサービスを提供することを明らかにしている。

GMOコマース <410A> [東証G]のグループ会社であるGMO NIKKOは8日、生成AI経由での集客を支援する「GMO AIOブースト」のEC事業者向けに特化したコンサルティングサービス「GMO AIOブースト for EC」の提供を開始すると発表。このサービスは、専任のコンサルタントがECサイトの商品情報やデータ構造を分析し、AIエージェントが商品を正確に認識・比較・推薦できる状態になっているかを確認したうえで、商品名や商品説明、価格、在庫、ターゲットなどの商品情報整理・設計を支援する。

NE <441A> [東証G]は2日、韓国子会社のNE Koreaが同国のEC事業者向け受注・在庫管理システム「Next Engine」の運営事業を譲り受け、1日付で事業を開始したと発表。同社は中期経営計画でグローバル展開を成長戦略のひとつに位置づけており、NE Koreaはその拠点となる。NE Koreaは各種施策を進めることで、国境をまたぐエージェンティックコマースへの対応を進める構えだ。

電通グループ <4324> [東証P]の電通デジタルは9月15日、AIエージェントが商品情報と購入条件を正しく理解し、商品を適切に比較・推薦する「エージェンティックコマース最適化」支援サービスの提供を開始。同社が培ったカスタマーエクスペリエンス(CX:顧客体験価値)戦略の策定やシステム構築・運用に至る高度な知見を生かし、AIエージェントが商品を正確に理解・比較・推薦できるコマースデータ基盤の整備から、運用ルールの定着、更にはAIの推薦から購買に至る導線の実現性検証までを一気通貫で支援する。

デジタルガレージ <4819> [東証P]は8月13日、エージェンティックコマース最適化トータルソリューション「DG Agentic One」の提供を開始すると発表した。同社グループはAIが自律的に連携する新たなEC時代を見据えた取り組みを進めており、1月にマーケティングAI「DG AI Drive」の機能拡張として「AI検索最適化(GEO)支援」を始動。この取り組みを進化させたものが「DG Agentic One」で、エージェンティックコマースに必要な機能を統合し、EC事業者の最適な環境構築を全方位で支援するという。

●ZETAなどにも注目

また、楽天グループ <4755> [東証P]は運営するインターネット・ショッピングモール「楽天市場」のスマートフォンアプリに、エージェント型AIツール「Rakuten AI」を搭載している。ユーザーは希望予算や購入目的、活用シーンなどをテキストや音声、画像を用いて入力することで、欲しい商品を手軽に検索することが可能。AIコンシェルジュからの質問に答えながら対話を進めることで、潜在的なニーズが明らかになりやすくなることから商品提案の精度が高くなり、膨大な商品群から条件や目的に合った理想の商品を見つけることができる。

LINEヤフー <4689> [東証P]は、生成AIを活用して商品の検索・比較・購入・購入後までを一気通貫でサポートする「Yahoo!ショッピング AIエージェント」を展開している。直近ではアパレルのカテゴリーへとAI活用の範囲を広げており、一部ストアで開始した「AIおまかせコーディネート」にはファッション商品のコーディネートや着用イメージの提案を通じてオンラインでの洋服選びをサポートする機能を設けた。

このほかの関連銘柄としては、AIエージェントとEC事業者をつなぐオープンな共通仕様「ユニバーサル・コマース・プロトコル」を採用した独自の決済ソリューションの構築を完了しているGMOペイメントゲートウェイ <3769> [東証P]、エージェンティックコマース領域への事業展開を今後の重要な戦略として位置づけているZETA <6031> [東証S]が挙げられる。

株探ニュース

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