高市首相訪問で経済協力が加速へ、躍動の「インド関連株」に視線集中 <株探トップ特集>
―急成長続き半導体産業の育成にも注力、首脳会談で日印関係は一段の高みに―
「グローバル・サウス」の盟主であり、世界最大の人口を抱えるインド市場への関心が一段と高まっている。高市早苗首相は7月上旬にインドを訪問する方向で調整に入っており、数多くの企業と経済団体が同行する見通しだ。関連ニュースの増加が見込まれるなか、業績好調なインド関連銘柄をピックアップしていきたい。
●27年に世界4位の経済大国に
IMF(国際通貨基金)によると、2025年の日本の名目GDP(国内総生産)は米国と中国、ドイツに次いで世界4位となっている。その後にイギリスが続き、インドは6位だ。一方で、今年4月時点でのIMFの予測では、27年にインドのGDPは世界4位となり、日本は5位に後退する見込みとなっている。政府発表の25年度の経済成長率をみるとインドが7.7%だったのに対し日本は0.8%。プラス成長ながら大きな開きがある。
世界銀行の統計では、インドの人口は24年時点で約14億5094万人である。23年に中国を抜き世界のなかで人口最大の国となった。生産人口の規模は大きく、これを原動力として猛スピードで経済成長を果たしている。インドは「0」を発明した歴史を持つ数学大国で、理工系の優秀な人材を多く輩出する。その一部は日本のIT系企業の成長を支えるソフトパワーとなっており、インド系インターナショナルスクールのある東京都江戸川区や横浜市緑区などではインド人コミュニティが形成されている。
IT分野で高いプレゼンスを示すインドだが、モディ政権は自国での半導体産業の育成に大きなエネルギーを注いでいる。経済安全保障の観点で半導体供給における中国依存度を低下させるとともに、雇用を創出し、世界の「半導体ハブ」となることを目指している。そんななか、日本とインドの両政府は高市首相とモディ首相の会談をインドで行う方向で調整を進めている。7月上旬に高市首相がインドを訪問する予定だ。
当初はタタ・グループが半導体工場を建設する北東部アッサム州のグワハティで会談をすると伝わっていたが、日程の都合で首都デリーに変更される可能性があるようだ。場所はともあれ首脳会談は強固な日印関係をアピールする機会になることには変わりがなく、企業からインド関連のプレスリリースの発信が相次ぐことが予想される。株式市場では「スズキ <7269> [東証P]子会社のマルチ・スズキの存在ゆえ、現地に進出した日系企業は 自動車関連が多いイメージだが、半導体の誘致となるとインフラ関連などにも商機が広がることになる」(国内証券アナリスト)との声もある。自動車や半導体関連以外にも、巧みな経営手腕でインドビジネスを軌道に乗せる日系企業は数多く存在する。インド市場の深耕で業績変貌が期待される6銘柄をリストアップする。
●注目のインド関連6銘柄
◎丸一鋼管 <5463> [東証P]
溶接鋼管最大手で、半導体用のステンレスシームレス管の生産量は世界トップ。00年代から海外への進出を加速させており、09年にインド企業を子会社化した。現地では商用車向けの大径排気管需要が増加し、販売数量も拡大。昨年4月にはインド・グジャラート工場の稼働が始まった。インドは半導体産業の誘致に躍起となっており、同国内で工場建設が進んだ場合は精密細管の販売増が期待できそうだ。設備投資の期ずれの影響などがあって、連結全体では27年3月期は最終減益予想ながら、本業のもうけの部分となる営業利益予想は前期比15.2%増の369億円と5期ぶりの最高益更新を計画する。
◎関西ペイント <4613> [東証P]
自動車・建築用塗料大手。26年3月期の売上高に占めるインドの割合は23%に上る。現地では自動車用塗料で高シェアを誇り、工業用はインフラ向けなどで成長が継続。建築用塗料ではプレミアム化・ニッチ領域において高成長を図るべく、高価格帯製品の拡販を進める姿勢を示している。連結全体で27年3月期の営業利益は前期比6.6%増の530億円と2期ぶりの過去最高益更新を計画。配当利回りは4%台だ。株価は5月中旬の年初来安値形成後は復調に向かい、200日移動平均線を上抜けた。
◎日精エー・エス・ビー機械 <6284> [東証P]
PETボトル成形機大手で、日本企業のなかでインドにマザー工場を設置した先駆的存在。化粧品や医薬品など高付加価値容器を得意とする。直近10年間の平均で南・西アジアの売上高比率は32%と米州(30%)や欧州(20%)を上回る規模。連結全体で26年9月期第2四半期累計(25年10月~26年3月)は受注高が前年同期比25.1%増の286億円と大幅に増加し、米州や欧州とともに、インドが牽引役となっている。同国のプラスチック容器市場は今後も成長が見込まれており、更なる事業成長に期待が膨らむ。
◎ホシザキ <6465> [東証P]
業務用冷蔵庫や製氷機大手。26年12月期の営業利益は連続最高益更新を計画する。戦略的なM&Aを通じて事業を拡大。今期の第1四半期における海外売上高比率は53%台に上り、アジアに関しては全体の17%を占める。アジアのなかでも主力でかつ成長が著しいのがインドであり、プレミアム製品や省エネ製品の拡販などを通じた収益力の強化に臨んでいるほか、地方都市の中小規模飲食・小売市場も開拓中とあって、一段の収益増が見込まれている。16日には上場株ファンドのジャパン・アクティベーション・キャピタルによる出資を受け、企業価値向上に向けた施策を推進すると発表した。
◎コクヨ <7984> [東証P]
文具大手。前期に計上した非事業資産売却益の反動で26年12月期は最終減益予想だが、本業のもうけを示す営業利益は前期比2.9%増の270億円と過去最高益に接近する見通し。11年に現地の文具大手カムリンの株式を取得しインドビジネスに参入。現地の販売網を活用して事業拡大に取り組んできた。昨年4月には米オフィス用家具大手のHNI<HNI>のインド事業の買収を発表。インドのオフィス関連市場の急成長を商機とし、一段の事業発展に布石を打った。株価は2月の高値975円を形成後は調整色を強めたが、800円どころをサポートラインとして下値抵抗力を示している。
◎サカタのタネ <1377> [東証P]
種苗世界大手の同社は外部売上高に占める海外向けの割合が26年5月期第3四半期累計(25年6月~26年2月)で78%に上る。北中米や欧州中近東で全体の半分近くを占め、アジアは16%にとどまるが、その主力市場であるインドは人口動態から事業の伸びしろが大きく、野菜種子販売の中長期的な成長が期待されている。インド農薬大手と農作物の成長性を高める機能を持つバイオスティミュラントを開発し商品は日本でも販売。株価は4月の高値形成後は調整し、その後4200円を挟んだレンジ相場に移行している。自己資本比率8割台でキャッシュリッチ企業として知られており、PBR(株価純資産倍率)1倍近辺で信用倍率は1倍割れと好取組となっている。
株探ニュース