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2018年9月10日 19時30分
特集

担い手不足“技術革新”でカバー、農業の未来は「スマート農業」関連株とともに <株探トップ特集>

―19年度予算の目玉に、農水省概算要求でスマート農業加速に50億円―

農林水産省が8月末に財務省に提出した2019年度予算の概算要求は、18年度当初予算に比べて18.5%増の2兆7269億円となった。目玉は新規事業として50億円を計上した「スマート農業加速化実証プロジェクト」で、AI(人工知能)IoT(モノのインターネット)を活用した取り組みを進める。担い手不足などの問題に直面する日本の農業は、生産性向上につながるスマート化が必要不可欠であり、国内農業の今後を左右する関連銘柄に注目したい。

●25年までにすべての農家がデータ活用へ

スマート農業とは、ロボット技術やICT(情報通信技術)といった先端技術を活用し、超省力化や高品質生産などを可能にする新たな農業を指す。具体的には、農地をGPS付きの農機が自動運転で耕したり、農薬や肥料をドローンで散布、農場の気温や湿度などの環境をセンサーでモニタリング、集荷をロボットで自動化することなどが挙げられる。

スマート農業の加速が求められているのは、農業従事者の減少と高齢化の進展で生産基盤の維持が困難になり、耕作放棄地が拡大していること。また、熟練農業者の経験と勘に基づく生産技術が喪失してしまう危機を迎えていることが挙げられる。農水省によると、農業就業人口は17年で181万6000人と、10年と比べて79万人減少。65歳以上が占める割合は10年の61.6%から66.5%に高まり、平均年齢は65.8歳から66.7歳に上昇している。一方、17年の新規就農者数は5万5670人で、うち49歳以下は2万760人にとどまっており、新たな担い手を増やすためには農作業の省力化や軽労化が重要なカギを握る。

こうしたなか、農水省が新規事業として推し進める「スマート農業加速化実証プロジェクト」では、実用化や量産化の手前にあるロボット、AI、IoTなどの要素技術を、大規模水田、超低コスト輸出用米、露地野菜などの営農類型ごとに生産から出荷までを体系的に組み立てた「スマート実証農場」を整備し、データ収集などを実施。「スマート実証農場」は、先端的な技術体系を農業者などが“見られる・試せる・体験できる場”とし、25年までに農業の担い手のほぼすべてがデータを活用した農業を実践できることを政策目標として掲げている。

●農業データ連携基盤協会の参画企業に注目

農水省では、農業ICTの推進を図るための環境整備として、さまざまなデータの連携・共有・提供機能を持つ「農業データ連携基盤」の構築に取り組んでおり、19年4月の本格稼働を目指している。これは企業や組織の壁を越えて、誰でも簡単に使える情報連携プラットフォームを実現するもの。現在、さまざまな農業ICTサービスが生まれているものの、相互間連携がなく、データやサービスが個々で完結していることに加え、行政や研究機関などの公的データがバラバラに存在している状況があり、これを統合することで収穫量や品質の向上などにつなげる狙いがある。

17年8月には農業データ連携基盤協会(WAGRI)が設立され、幹事企業には井関農機 <6310> やクボタ <6326> 、NEC <6701> 、富士通 <6702> 、NTT <9432> などが参画。このほか、会員企業としてオプティム <3694> 、豆蔵ホールディングス <3756> 、キーウェアソリューションズ <3799> [東証2]、ソフトバンク・テクノロジー <4726> 、パスコ <9232> 、アジア航測 <9233> [東証2]、ゼンリン <9474> などが名を連ねている。

参画企業の主な取り組みとしては、井関農機が農業ICTや農機に関するシステムの連携及びデータの活用を進めているほか、ソフトバンテクは市町村コードと緯度・経度情報の提供及び農地情報公開システム(全国農地ナビ)連携の検討を担当。豆蔵HDグループのネクストスケープは、アーキテクチャ(システムの基本的な骨組み)の設計及びシステム開発を担っている。

●セラクなどスマート農業カタログに掲載

また、農水省は今年6月下旬からスマート農業に関する技術などを募集し、これを取りまとめた「スマート農業技術カタログ」を8月31日に公表した。ここには井関農機やクボタが持つ各種技術のほか、セラク <6199> の圃場環境モニタリングシステム及び農作業記録システム、小松製作所 <6301> のICT農業ブルドーザ、チノー <6850> の園芸施設環境観測器、ヤマハ発動機 <7272> の農業用ドローンなどが掲載。

このほか、CYBERDYNE <7779> [東証M]の装着型ロボット「HAL」、ネポン <7985> [東証2]の携帯型小型環境センサーを利用して手軽に環境を可視化できるアプリ「ポータブルアグリネット」、イーサポートリンク <2493> [JQ]の栽培計画に基づいた生産管理や効率的な現場作業管理、農薬の適正使用を中心としたリスク管理などが行える「農場物語」も取り上げられている。

●マミヤオーピー、東京計器にも商機

これ以外に商機拡大が期待できる関連銘柄としては、農業コンサルティング事業などを手掛ける農業総合研究所 <3541> [東証M]、農産物の生産履歴を管理するシステムを提供するeBASE <3835> 、5月に公表した中期事業計画で農業機械用自動化関連機器に注力するとした東京計器 <7721> 、トラクターなど各種農作業機械への搭載が可能な自律走行システム「I-GINS」を開発済みのマミヤ・オーピー <7991> [東証2]などをウォッチしておきたい。

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