【杉村富生の短期相場観測】 ─ イノベーション(技術革新)が日本を救う!

市況
2019年5月12日 9時15分

「イノベーション(技術革新)が日本を救う!」

●トランプ米大統領の言動に振り回される構図!

アメリカ(ワシントン)での米中の閣僚級貿易協議が大詰めを迎えている。交渉期限は現地時間5月9~10日だ。この原稿が皆さんの目に触れるころには結論が出ていると思うが、貿易摩擦の本質はアメリカの中国に対する知的財産権の保護の不十分さ、国営企業の優遇策、補助金供与(不公平競争)などの不満である。

これが20年以上にわたる紛争の源だ。単純な貿易黒字の批判ではない。中国にとっては前述の3点が「国家資本主義」の根幹をなすもの。中国共産党による一党独裁体制が絡んでいるだけに、簡単には譲れないだろう。

一方、10連休明けの株式市場は波乱の幕開けとなっている。トランプ米大統領の言動に振り回される構図だ。VIX指数が20ポイント台に上昇、機関投資家はリスク・パリティを発動し、機械的にリスク資産(株式など)のウエイトを圧縮している。

投機筋はこの変化を絶対に見逃さない。一気に先物に売りを浴びせる。5月7~9日の急落は完全に先物主導だ。日本の株式市場は外部環境の影響を強く受ける。今回は円高も痛い。米中貿易戦争の余波は日米物品貿易協議にも及ぶ、との読みであろう。

しかし、アメリカのターゲットは中国だ。これまでの交渉をみると、アメリカには日米物品貿易協議に関し、全くやる気が感じられない。アメリカの主張は牛肉と自動車にある。これは最終的に日米ともに「解決できる」と考えている。

●令和の要の技術はAI(人工知能)だッ!

ちなみに、自動車の対米輸出は年間4.5兆円(175万台)なのに、輸入は1000億円にすぎない。この是正は難しいだろう。しかし、肉類の輸入は4000億円ちょっとにすぎず、関税をEU並みに引き下げ、これを倍増させるのはたやすいのではないか。

為替は早晩、1ドル=111~112円の水準に戻るだろう。マーケットの急落(反応)は過剰だ。それと、再三指摘しているように、株価的に令和は平成とは違う。

日本の株式市場が出遅れているのは明白だ。もちろん「失われた25年」の克服にはイノベーション(技術革新)が不可欠だろう。取引所のリスクマネーを呼び込む努力が欠かせない。これについてはすでに、大きな流れが始動している。経済産業省主導による東証改革だ。さらに、ベンチャー・ダイナミズムの波が起こり始めている。第4次産業革命、Society 5.0(社会改革)によって、産業界、および社会構造は激変する。

その要の技術は AI(人工知能)だろう。ブレインパッド <3655> 、システムインテグレータ <3826> 、ALBERT <3906> [東証M]、PKSHA Technology <3993> [東証M]、ヴィッツ <4440> [東証M]などは成長加速が期待できる。

2019年5月9日 記

株探ニュース

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