田部井美彦氏【止まらない日経平均、11月相場“上昇加速の確度”】(1) <相場観特集>

特集
2019年10月28日 18時30分

―目先筋の利食い売りを吸収し続ける買い需要の本質とは―

週明け28日の東京株式市場はリスク選好の流れが継続、日経平均株価は6日続伸となった。前週からの連騰で過熱感も意識される場面だが、そうした思惑とは裏腹に目先筋の利益確定売りを吸収してジリジリと上値を指向している。今週はあす29日が実質月内最終日となるが、11月相場は果たしてどういうトレンドを描くのだろうか。常に最前線で相場と対峙してきたベテラン市場関係者2人にプロの視点を聞いた。

●「悪材料織り込み強調相場続く」「年末高意識の展開に」

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

東京株式市場は、日経平均の上昇が続く強調相場が続いている。この背景として、第1には「9月中間決算で業績は悪材料出尽くしとなる可能性」、第2に「米国が今月利下げをしても為替には織り込み済みで円高は進まないという予測」、第3には「米中関係にも改善の兆しが出てくることへの期待感」があるだろう。

中間決算で発表される内容はあまり良くないだろう。ただ、安川電機 <6506> や日本電産 <6594> の決算に対する株価の反応が示すように、市場はこの中間期を底に業績回復を予想している。電子部品の在庫調整は進んでいる。また、昨年10~12月期の純利益は2割減益だっただけに、今後の発射台は低くなり業績は改善が見込みやすくなる。

また、米中摩擦の行方が懸念されるが、11月中旬のアジア太平洋経済協力会議(APEC)を経て12月に予定されている米国による対中関税引き上げは見送られることも期待されている。更に年末から年始にかけては補正予算の策定が進むことが予想され、内需絡みの見直しも期待できるだろう。

こうしたなか、11月の日経平均は2万3000円台を固める展開を予想する。年末にかけては2万4000円前後への上昇が見込めるとみており、来月はその足掛かりとなる展開が期待できる。日経平均の下値は2万1500円前後だろう。

個別では電子部品株には活躍余地があるとみている。「自動運転」や「5G」「スマホ」などに絡むのは電子部品であり、村田製作所 <6981> などには一段の上昇が見込めるだろう。また、ハイテク株ではソニー <6758> はPER面からの割高感はなく一段と評価される可能性があると思う。機械株にも見直し余地があるとみており、オムロン <6645> などに注目したい。更に、補正予算に絡み建設株にも投資妙味が膨らみそうだ。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(たべい・よしひこ)

内藤証券シニアアナリスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。

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