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2019年11月14日 19時30分
特集

出遅れ「バイオ株」に復活機運、国際規格制定で再生医療関連に脚光 <株探トップ特集>

―iPS細胞の活用に期待膨らむ、株価低位に位置しテクニカル的な投資妙味も―

日経平均株価は10月以降、年初来高値を更新し上昇基調を強めている。景気敏感株を中心に相場は上昇しているが、出遅れが目立つのがバイオ関連株だ。人工多能性幹(iPS)細胞関連株は低位で投資妙味が膨らんでいる。そのなかiPS細胞などを使った「再生医療」には新たな進展がみられ始めている。再生医療の現状を探った。

●iPS細胞による心臓病治療など期待、「再生医療実現プロジェクト」に注目

再生医療とは、胚性幹(ES)細胞、iPS細胞や体性幹細胞などの様々な細胞を用いて、病気や事故によって失われた体の組織を再生することを目指して提案された医療技術。2014年9月に世界で初めてiPS細胞を用いた移植手術が行われると、18年5月には、大阪大学が申請していたiPS細胞を使った心臓病の臨床研究計画を厚生労働省が条件付きで了承している。心臓の疾病にiPS細胞の再生治療を行うのは世界初となる。

これまで有効な治療法のなかった疾患の治療ができるようになるなど、再生医療に対する期待は高い一方、新しい医療であることから、安全性を確保しつつ迅速に提供する必要がある。国が定める「医療分野研究開発推進計画」では医薬品創出プロジェクト、医療機器開発プロジェクト、革新的医療技術創出拠点プロジェクトなど、9つの総合プロジェクトが掲げられており、その一つに再生医療実現プロジェクトがある。

再生医療実現プロジェクトでは、iPS細胞などを用いた再生医療の迅速な実現に向けて、基礎から臨床段階まで切れ目なく一貫した支援を行う。また、再生医療関連事業のための基盤整備並びに、iPS細胞などの創薬支援ツールとしての活用に向けた支援を進め、新薬開発の効率性の向上を図るプロジェクトとしている。

●ISOから世界初の国際規格が発行、再生医療の「共通言語」も規定

この再生医療に関して昨年末に大きな進展がみられた。国際標準化機構(ISO)から細胞製造に関する世界初の国際規格が発行されたのである。これは、経済産業省の委託を受けて再生医療分野の国際標準開発活動を行っている再生医療イノベーションフォーラム(FIRM)が中心となり、ISO/TC 276(国際標準化機構専門委員会 276)に提案し開発を進めていた。第1部「一般要求事項」、第2部「補助材料のサプライヤーのためのベストプラクティスガイダンス」、第3部「補助材料のユーザーのためのベストプラクティスガイダンス」からなり、FIRMは第1部を起草するとともに、日本・米国・英国・ドイツなどの専門家による検討・開発作業をとりまとめ、3部作の同時発行を達成している。

日本は第1部の「一般要求事項」を担当したが、これは用語とその定義、および誰が何をしなければならないかを規定している。つまり、再生医療の「共通言語」となるものとされている。再生医療の実用化、産業化には多くの関係者(企業)が関わるだけに、同じ目線で議論を重ね共通理解を促進、あるいは保証するための「言語」が不可欠とされている。今回の国際標準が発行されたことで、培地に代表される原材料の規格から、研究・開発・製造・物流・医療・規制など関連するステークホルダー間の「共通言語」として使われることになり、再生医療の一層の進展に対する貢献が期待される。更に、今後も再生医療分野の国際標準化が推進されることで、同事業に関連する企業の成長期待も高まることになりそうだ。

●セルソースやヘリオス、セルシードなどに注目

再生医療の関連銘柄となると、製薬企業やバイオ企業が多く挙げられるだろうが、10月28日に上場したセルソース <4880> [東証M]は、変形性膝関節症の再生医療のため、患者自身の脂肪から幹細胞を培養している。同関節症の患者は国内3000万人弱とされている。株価は上場後に2倍に上昇し、足もとでは過熱感も警戒されるが、押し目買い意欲は強そうである。

ヘリオス <4593> [東証M]は、理化学研究所より独占的ライセンスを受け、iPS細胞由来の網膜色素上皮細胞をiPSC再生医薬品として移植することによる加齢黄斑変性の治療法の開発を行っているほか、大日本住友製薬 <4506> は日本国内における共同開発パートナーである。

また、10月には「再生医療JAPAN2019」が開催され、そこで注目されていたのが、セルシード <7776> [JQG]の細胞を1枚のシート状にして患部に移植するための技術「細胞シート工学」や独自に開発した細胞培養器材。富士フイルムホールディングス <4901> は、創薬支援の製品を展示しており、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング <7774> [JQG]と連携して提供する。

その他、日立製作所 <6501> はiPS細胞の自動培養装置、ニコン <7731> は細胞の育成状況の画像反転システム、ソニー <6758> は細胞の動きを定量的に測定する装置などを出展しており、製薬企業にとどまらず、iPS細胞の利活用に向けた動きが広がりをみせている。

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