【和島英樹のマーケット・フォーキャスト】─米大統領選が最大の注目ポイント! 見極めたいマーケットの反応
「米大統領選が最大の注目ポイント! 見極めたいマーケットの反応」
◆なお残る解散・総選挙の可能性
11月中旬までの東京株式市場は、米大統領選挙や国内の決算発表を睨みつつ、やや神経質な動きになりそうだ。
最大の注目ポイントは11月3日の米大統領選だ。民主党のバイデン候補の優位が伝わっている。上院・下院の議会選挙の結果とも合わせて関心が高い。ただ、小さい政府を標榜するトランプ氏が勝利すれば株高、バイデン氏が勝利ならば大企業への増税で株安という単純な構図ではなくなっている。そもそも、郵便投票が多いこともあり大統領選の結果がすぐに出ない公算も大きい。不透明感が高まる可能性もあり、米国株式や為替市場の反応を見極める必要がありそうだ。為替はドル安・円高基調にあり注意を払いたい。
国内では第2四半期累計(4-9月)決算発表への関心が高い。製造業を中心に業績が4-6月で底入れし回復に向かうとの見方が、これまでの株価下支え要因となっている。序盤はソニー <6758> 、デンソー <6902> 、ファナック <6954> などが健闘した。こうした流れが加速するか、またコロナで苦戦を強いられてきた小売りや外食、サービスなどの状況もチェックしたい。
11月中旬までの日経平均株価の想定レンジは2万2500円から2万4000円。市場の関心が高い材料は多いものの、基本的には引き続きレンジ内の動きを想定する。欧米での新型コロナの感染再拡大が懸念材料として浮上している。
また、11月の衆議院の解散総選挙の可能性も残されていると思う。26日に臨時国会が召集され、所信表明演説が行われた。臨時国会には10本程度の法案が提出されるとの報道があるが、これまでの臨時国会に比べて本数が少ない印象。また、デジタル庁などの重要案件は通常国会に回ることになった。コロナの感染が落ち着いている状況や、3日に大統領選挙を通過するスケジュールを考慮すれば、11月中の解散、12月の投開票も考えられなくはない。仮に総選挙となれば、「スガノミクス」への期待感の高まりで日経平均が2万4000円を明確に超える可能性がある。
◆政府"公約"で関心高まる環境関連株、年末商戦の目玉となる5Gスマホ
物色のテーマとして浮上してきているのは、菅首相が所信表明演説で方針を示した温暖化ガスの排出量を2050年に実質ゼロにするとの目標だ。EUは19年に同様の目標を掲げているうえ、米大統領候補のバイデン氏は地球温暖化防止の国際枠組みである「パリ協定」への復帰を示唆している。パリ協定では「産業革命前からの気温上昇を1.5度以内に抑える」ことを目標にしており、50年に実質ゼロはこれに沿う水準となる。梶山弘志経済産業大臣もメディアへのインタビューで「再生エネルギーを主力電源にしていく」と答えており、政府の公約的な意味合いが強まる。
株式市場では既に多様な再生可能エネルギーを手掛け、洋上風力発電を目指すレノバ <9519> 、木質バイオマス発電などのエフオン <9514> などが動意づいている。また、カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人 <9284> 、日本再生可能エネルギーインフラ投資法人 <9283> などのインフラファンドも下値を切り上げている。このほか、燃料電池車関連の岩谷産業 <8088> 、EV関連では好決算だった日本電産 <6594> 、ニッポン高度紙工業 <3891> [JQ]なども有望か。環境関連株はESG(環境、社会、ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)関連投資が定着する中で、中長期的にも資金が流入しやすい可能性がある。
次世代通信規格5Gのスマートフォンが年末商戦で注目される。積層セラミックコンデンサの村田製作所 <6981> 、太陽誘電 <6976> 、計測器のアンリツ <6754> 、アルチザネットワークス <6778> [東証2]、基地局などネットワーク構築のコムシスホールディングス <1721> 。 半導体では信越化学工業 <4063> 、SUMCO <3436> 、東京エレクトロン <8035> 、イビデン <4062> などへの関心も高まろう。
(2020年10月30日 記/次回は11月29日配信予定)
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■和島英樹(Hideki Wajima)
株式ジャーナリスト
日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社。株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年にラジオNIKKEIに入社。東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。現在、レギュラー出演している番組に、ラジオNIKKEI「マーケットプレス」、日経CNBC「デイリーフォーカス」毎週水曜日がある。日本テクニカルアナリスト協会評議委員。国際認定テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。
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