【杉村富生の短期相場観測】 ─ 季節は「もうすぐ春ですね~」!
「季節は『もうすぐ春ですね~』!」
●中国の状況はコロナ後を示唆する動き!
「もうすぐ春ですね~」。2月3日は立春、4日には東京に「春一番」が吹いた。新型コロナウイルスの制圧は近い。全ての元凶は新型コロナウイルスにある。これを封じ込めれば景況感は劇的に改善する。中国が好例ではないか。中国のGDP成長率は2020年の2.3%(主要国では唯一のプラス)に続き、21年は7.9~8.1%と予想されている。
真っ先に、コロナ制圧を実現した効果である。逆に考えると、「コロナさえなければ…」となる。そもそも、昨年来の日米欧の景気後退は飲食店、サービス業に対する営業自粛、人の移動制限によるものだ。当局による意図的な景気後退との見方ができる。だからこそ、景気後退→株価上昇の異例の展開になったのだろう。
リーマン・ショックなどのように、需要が激減したわけではない。アメリカでは自動車が売れ、超低金利を背景に住宅建設ラッシュとなっている。住宅ブームは日本も同様だ。コロナショックは特定業種にダメージが集中している。日米に強いマキタ <6586> 、住友林業 <1911> 、TOTO <5332> などの増額修正は当然と思う。
半導体セクターは空前の活況に沸いている。世界の半導体市場は2020年に5.1%成長した。コロナショックなど関係なし、といった状況ではないか。21年は8.4%成長が見込まれている。金額ベースでは4694億ドルと、18年の4687億ドルを上回り、一気に最高水準となる。
つれて、日本製半導体製造装置の需要は18年の2兆7843億円(従来のピーク)が19年に2兆円程度と落ち込んだものの、20年には2兆3300億円(ピーク超え)、21年は2兆5000億円規模に拡大する見通しだ。
●イノベーションが銘柄選定の“軸”!
人類、およびマーケットを襲うショックの後は世界が変わる。従来の枠組み、既成秩序は破壊される。そして、イノベーション(技術革新)が起きる。これが歴史の教訓である。オイルショック、リーマン・ショックがそうだったではないか。
5G(次世代通信システム)、EV(電気自動車)、DX(デジタルトランスフォーメーション)などの進展、普及は加速する。さらに、巣ごもり消費、テレワークに伴うテレビ、パソコン需要に加え、データセンター、ビッグデータのニーズが高まっている。これらの動きが半導体需要の増加の背景にある。
自動車業界は半導体不足を理由に減産を余儀なくされている。自動車向けに省エネ効果が期待されるGaN(窒化ガリウム)半導体を手掛ける富士電機 <6504> 、5G、ゲーム、パソコン向け半導体のルネサスエレクトロニクス <6723> はフル生産体制を続けている。
一方、台湾のTSMC(台湾積体電路製造)は半導体不足に対応、日米欧政府の要請もあって、20年の1.8兆円に続き、21年は2.9兆円の設備投資を行う。台湾系の半導体製造受託(テスト工程)のテラプローブ <6627> [東証M]には追い風となろう。
個別銘柄では医薬品事業が開花期を迎えたファーマフーズ <2929> [東証2]、出直り態勢のフォーラムエンジニアリング <7088> 、燃料電池車(FCV)用水素ステーション向けタンク、ドローン燃料用容器を製造しているJFEコンテイナー <5907> [東証2]、急動兆のケアネット <2150> [東証M]などに注目できる。
2021年2月5日 記
株探ニュース