今週の【早わかり株式市況】年初来安値、コロナ感染者急増やトヨタ減産など悪材料相次ぐ

市況
2021年8月21日 6時40分

■今週の相場ポイント

1.日経平均は3週ぶり大幅下落、新型コロナ感染者急増などネガティブ材料相次ぐ

2.アジア株安なども市場心理を冷やし、週明けは450円超の大幅下落で始まる

3.FRBによるテーパリング前倒しの思惑も米株安を引き継いで買い手控え要因に

4.19日(木)は取引終盤に流れたトヨタ減産報道がリスクオフ相場に拍車かける

5.20日(金)はトヨタ・ショックで下値模索、日経平均は1月6日以来の新安値

■週間 市場概況

今週の東京株式市場は日経平均株価が前週末比963円(3.45%)安の2万7013円となり、3週ぶりに大幅下落となった。

今週は国内では新型コロナウイルスの感染者急増を背景とした緊急事態宣言の対象地域拡大や期間延長などに伴う景気回復の遅れが警戒されたほか、トヨタの減産で売りが広がった。海外では米中景気の経済減速懸念や中国の規制強化の動き、更にFRBによるテーパリング前倒しの思惑などネガティブ材料が相次ぎ、日経平均は週末に年初来安値を更新した。

週明け16日(月)は日経平均が前週後半を引き継ぎ3日続落となり、下げ幅は450円を超える急落となった。新型コロナ感染者数の増加に歯止めがかからず経済への影響が懸念されたほか、アジア株の下落なども市場のセンチメントを悪化させ、先物主導で想定以上の深押しとなった。17日(火)は朝方こそ前日の反動もあって買いが先行したが、その後は売りに押される展開に。緊急事態宣言の対象地域拡大や期間延長の動きなどが嫌気された。18日(水)は前日までの下げの反動で突っ込み警戒感からの空売り買い戻しや押し目買いの動きが出て5日ぶりに反発。ただ、上げ幅は160円あまりにとどまり自律反発の域を出なかった。そして19日(木)は再びリスクオフの地合いに。前日の米株市場では7月のFOMC議事要旨を受けた年内テーパリング実施の可能性が嫌気され主要株指数が下落、東京市場もこの流れを引き継いだ。取引終盤に“トヨタ減産報道”が流れ、日経平均の下げ幅は300円強に達した。そして週末20日(金)は前日にトヨタが9月の世界生産を4割減産することを発表、これが引き金となって自動車関連株に売りが広がり、全体相場を押し下げた。中国、香港、韓国などアジア株安や米株先物も軟調で市場心理を冷やし、日経平均は下値を切り下げ、後場終盤には2万7000円台を割り込む場面も。大引けはかろうじて2万7000円台をキープしたが、1月6日の安値を下回り年初来安値更新となった。

■来週のポイント

今週末に5月以降の下値ライン2万7300円近辺を大きく割り込んできただけに、来週は下値を探る展開になりそうだ。

重要イベントとしては、国内では25日に発表される6月景気動向指数[改定値]が注目される。海外では24日発表の米国7月新築住宅販売件数や26日-28日に開催されるジャクソンホール会議、27日に行われるパウエルFRB議長の講演に注視が必要だろう。

■日々の動き(8月16日~8月20日)

【↓】   8月16日(月)―― 大幅に3日続落、円高進行でリスクオフの売り優勢

日経平均 27523.19( -453.96)  売買高10億3655万株 売買代金 2兆3230億円

【↓】   8月17日(火)―― 4日続落、朝高も新型コロナの感染拡大を警戒

日経平均 27424.47(  -98.72)  売買高 9億5419万株 売買代金 2兆0684億円

【↑】   8月18日(水)―― 5日ぶりに反発、リバウンド狙いの買いが優勢

日経平均 27585.91( +161.44)  売買高 9億4654万株 売買代金 2兆1808億円

【↓】   8月19日(木)―― 反落、米株安を受けリスク回避の売り優勢

日経平均 27281.17( -304.74)  売買高10億7624万株 売買代金 2兆3841億円

【↓】   8月20日(金)―― 続落、自動車株や景気敏感株が売られ年初来安値更新

日経平均 27013.25( -267.92)  売買高12億3197万株 売買代金 2兆8305億円

■セクター・トレンド

(1)全33業種中、31業種が下落

(2)日本製鉄 <5401> など鉄鋼、住友鉱 <5713> など非鉄、郵船 <9101> など海運といった景気敏感株が大きく売られた

(3)原油安でINPEX <1605> など鉱業、ENEOS <5020> など石油が大幅安

(4)トヨタ <7203> など自動車、コマツ <6301> など機械、ソニーG <6758> など電機といった輸出株も安い

(5)三井不 <8801> など不動産、楽天グループ <4755> などサービス、ソフトバンクG <9984> など情報・通信といった内需株も総じて軟調

(6)野村 <8604> など証券、オリックス <8591> などその他金融、三菱UFJ <8306> など銀行といった金融株も下落

(7)第一三共 <4568> など医薬品、日清食HD <2897> など食品は前週比プラスを確保

■【投資テーマ】週間ベスト5 (株探PC版におけるアクセス数)

1(3) 半導体製造装置 ── 半導体不足で製造装置需要は過去最高

2(1) 再生可能エネルギー

3(4) 海運 

4(9) 水素 ─────── 究極のクリーンエネルギーとして再脚光

5(2) 電気自動車関連

※カッコは前週の順位

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