富田隆弥のチャート倶楽部2022スペシャル <新春特別企画>

特集
2022年1月2日 9時00分

「日経平均は22年4月に3万5000円を志向」

◆大きな保ち合いを形成

チャーチストの観点で2022年相場を占ってみた。結論を先に申し上げると、「4月に3万5000円を目指し、その後は10月まで調整が続いて2万5000円に迫る」となる。その要因を以下に述べておく。

(1)日経平均株価のチャートはいま三角保ち合いを描いている。下値は2021年8月20日の安値2万6954円から、上値は9月14日の高値3万0795円からそれぞれ始まり、直近の下値支持線は2万7800円近辺、上値抵抗線は2万9500円近辺にある。

(2)時価(12月29日終値2万8906円)はその三角保ち合いのほぼ中心に位置し、日足の移動平均線や週足の移動平均線とも重なっている。ただ、三角保ち合いの上下ラインの間隔がまだ1700円ほどあるので、保ち合いを煮詰めて放れ足を見せるのにあと1カ月ほど日柄を要する可能性がある。

(3)8月以降のチャートは三角保ち合いだが、年初からのチャートを見ると、2月16日の高値3万0714円を基点に1年かけて「菱型」を描いている。2月高値と9月高値による「二点トップ」と捉えることもできるが、どちらにせよ2021年の日経平均株価は多くの期間を「2万7500円~3万円」のゾーンで長くもみ合い、踊り場を形成していると言える。

(4)2020年からのチャートを見れば、コロナショックで付けた20年3月の安値(1万6358円)を基点に、2021年2月の高値まで二段上げを描いている。7000円前後の上げ幅で二波を描き、その後に長い踊り場となっている。

(5)こうなると、保ち合いからの放れ足が大きくなることが想定される。三角保ち合いが煮詰まるのは2月頃とみている。8月安値の6カ月期日も2月であることから、放れ足を見せる時期として「2月」頃が想定され、そして上放れるなら直近の安値2万8000円処に7000円幅を加えた「3万5000円を指向」となる。

◆そのほか4月までの上昇要因

・過剰流動性の余韻……米連邦準備理事会(FRB)は3月にテーパリングを終えて、利上げ開始を鮮明にするが、世界的なカネ余りはすぐには収縮せず、金融相場の余韻が3月頃まで続いてもおかしくない。

・オミクロン懸念の後退……2022年になると3度目のワクチン接種が本格化する。飲み薬の供給も始まってオミクロン懸念が後退し、コロナ後の景気回復観測が強まる。

・中国景気対策……中国は2月の冬季五輪や10月の共産党大会を控え、規制強化から経済対策に舵を切る。

・景気対策観測……日本は7月の参院選を控え、政府はインフラ整備など新たな景気対策を打ち出す可能性がある。

・4月に東証の市場再編があり、企業はプライム市場を目指して株高に努める。

・日経平均株価の9月14日高値の6カ月期日は「2022年3月14日」、10月6日安値のそれは「同年4月6日」。それぞれ6カ月期日に絡んだ需給が後押しする。

◆年後半の調整要因

・FRBの利上げ開始に伴い、リスクマネーの回帰が始まる。

・半導体などの設備投資にピークアウト観測が台頭。

・日本企業の来2023年3月期の増益率の鈍化見通し。

・米中間選挙を控え、共和党が攻勢に転じる一方、バイデン政権の支持率が低下する。

・米中摩擦(民主国家vs独裁国家)の再燃。

・4月の市場再編で思惑が一巡、出尽くし感が台頭。

・日経平均株価は過去最高値3万8957円(終値ベース3万8915円)を視野に入れるが、マスコミや市場関係者が「4万円」を口にしてくると達成感が台頭する。

◆放れ足につくのが基本

保ち合いを上放れて「4月に3万5000円を志向」と述べたが、1月早々はヘッジファンドが売りから入ることが多く、下げで始まるケースも想定はしておく。

そして大事なことだが、予想に反して保ち合いを下放れる可能性もあるということ。その時は3月にネックラインの2万4000円台(2018年、2019年で高値になった2万4000円台)模索を想定する。

理由はともかく保ち合いの後は「放れに従う」のが基本。日経平均株価が2万7000円を割り込むのならば、持ち株は一旦縮小させるなど慎重姿勢が必要になるだろう。どちらに放れるかが新年の焦点であることも付け加えておきたい。

◆新年の注目株

まずは大型主力株から。カネ余りの金融相場がもうしばらく続くので、大量の資金をこなせる大型主力株には新年もマネーが向かうだろう。

いま上昇基調を鮮明にしているソニーグループ <6758> 、東京エレクトロン <8035> はテーマに沿う王道銘柄であり、これに乗るのは当然の策だろう。

また、出遅れ気味のファナック <6954> 、村田製作所 <6981> などはいつ切り返してもおかしくなく、トヨタ自動車 <7203> 、三菱商事 <8058>を含めていずれの銘柄も材料に不足なし。

そのほかでは、好業績ながら調整を入れている銘柄で東京エネシス <1945> 、伊藤忠テクノソリューションズ <4739> 、長野計器 <7715> が注目される。東京エネシスは小型原発関連、再生エネルギー関連として、伊藤忠テクノソリューションズは大手SI(システムインテグレーター)で、実力も実績も十分。長野計器は圧力センサー大手で、 半導体水素ステーション関連でもある。

年末の需給悪でズルズルと値を崩した材料株は、新年のリバウンド期待が持てる。例えば、システムクラウドを手掛けるサイバーリンクス <3683>EV(電気自動車)充電設備を手掛けるモリテック スチール <5986> 、環境関連装置で実績のある三菱化工機 <6331> など。株価が安くなって待ち伏せ妙味があり、株価が動き出せば材料は後からついてくる。東証マザーズの小型株に対しても同じような見方ができるだろう。

大型、中型、小型株を織り交ぜて、新年はまず4月をメドに成果をつかみたい。

(2020年12月29日 記)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

★元日~4日に、2022年「新春特集」を一挙、“25本“配信します。ご期待ください。

→→ 「新春特集」の記事一覧をみる

⇒⇒★株探プレミアム会員限定「新春オンラインセミナー」を1月11日19時~20時に開催します。

⇒⇒詳細はこちらから

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
株探プレミアムとは

日本株

米国株

PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.