今週の【早わかり株式市況】3週ぶり下落、ウクライナ情勢の緊迫化で売り優勢
■今週の相場ポイント
1.日経平均は3週ぶりに下落、決算シーズン通過で材料株物色の相場に移行
2.ウクライナ情勢の緊迫化を受け、神経質に上下に振れる展開が続く
3.地政学リスクへの警戒からリスク資産が敬遠され、金など安全資産が選好される
4.強いインフレ指標による金利の先高観も売り要因に
5.個別では新型コロナ関連の規制緩和で鉄道、旅行関連などが物色される
■週間 市場概況
今週の東京株式市場で日経平均株価は前週末比574円(2.07%)安の2万7122円と3週ぶりに下落した。
今週は決算シーズンの通過で業績相場から材料株物色の相場へ移行し、株式分割や自己株取得枠の設定など、買い材料が出た銘柄が選好された。ただ、ウクライナ情勢が緊迫化するなか、全般的には売り優勢の地合いとなった。地政学リスクが高まったことで安全資産である金の価格が上昇した。欧米株のボラテリティー(変動幅)が大きく、不安定な値動きとなったことも投資家心理を冷やし、買い手控えにつながった。
3連休明けの14日(月)は東京市場の連休中に欧米株が急落したことを織り込む相場展開となり、値がさ株が軒並み大幅に下落し、下げ幅は一時700円を超えた。ウクライナ情勢の緊迫化に加え、米消費者物価指数の高い伸び率による金利の先高観も嫌気された。15日(火)は買い先行となったものの失速し、節目の2万7000円を割り込んで取引を終えた。バイデン米大統領の「ロシアによるウクライナ侵攻が16日にも行われる見通し」という発言が伝えられ、リスク回避ムードが高まった。指数寄与度の大きいリクルートホールディングス <6098> が決算発表を受けて急落したことも全体相場の重荷となった。16日(水)は3日ぶりの大幅反発となり、上げ幅は一時600円を超えた。ロシア軍が一部撤退したとの報道でウクライナ情勢への懸念が和らぎ、幅広い銘柄に買い戻しが入った。17日(木)は前日の大幅高に対する反動売りが優勢となった。後場は一段安となり、ウクライナ軍がロシア側に砲撃したとの報道でリスクオフムードが強まった。18日(金)は寄り付き後に再び2万7000円を割り込んだが、前場中ごろに米ロ外相会談が来週後半に行われると伝わったことでリスク回避ムードが和らぎ、2万7000円台を回復して取引を終えた。
■来週のポイント
来週は週後半に行われる米ロ外相会談を控えて様子見姿勢が強まり方向感に乏しい展開になりそうだ。
重要イベントとしては、国内では25日発表の12月景気動向指数[改定値]が注目される。海外では22日発表の米国2月コンファレンスボード消費者信頼感指数や24日に発表される米国の10-12月GDP[改定値]と1月新築住宅販売件数、25日に発表される米国1月の個人所得と個人消費支出に注視が必要だろう。
■日々の動き(2月14日~2月18日)
【↓】 2月14日(月)―― 急反落、ウクライナ情勢や米金融引き締めを警戒
日経平均 27079.59( -616.49) 売買高13億7981万株 売買代金 3兆1992億円
【↓】 2月15日(火)―― 続落、ウクライナ情勢を警戒し2万7000円割れ
日経平均 26865.19( -214.40) 売買高13億4390万株 売買代金 3兆0589億円
【↑】 2月16日(水)―― 3日ぶり急反発、米株高を受けリスク選好の買い優勢
日経平均 27460.40( +595.21) 売買高11億5578万株 売買代金 2兆8246億円
【↓】 2月17日(木)―― 反落、ウクライナを巡る思惑で後場に値を崩す
日経平均 27232.87( -227.53) 売買高11億8069万株 売買代金 2兆9200億円
【↓】 2月18日(金)―― 続落、ウクライナ情勢緊迫でリスク回避の売り優勢
日経平均 27122.07( -110.80) 売買高11億2566万株 売買代金 2兆8069億円
■セクター・トレンド
(1)全33業種中、23業種が下落
(2)リクルート <6098> などサービスが値下がり率トップ
(3)キーエンス <6861> など電機、コマツ <6301> など機械、トヨタ <7203> など自動車といった輸出株が売られた
(4)内需株はオービック <4684> など情報・通信、近鉄エクス <9375> など倉庫・運輸は安いも
サッポロHD <2501> など食品、NXHD <9147> など陸運、パンパシHD <7532> など小売りは堅調
(5)三菱UFJ <8306> など銀行、第一生命HD <8750> など保険、オリックス <8591> などその他金融といった金融株は軟調
(6)住友鉱 <5713> など非鉄、日本製鉄 <5401> など鉄鋼、信越化 <4063> など化学といった素材株は低調
(7)郵船 <9101> 、商船三井 <9104> など海運が値上がり率トップ
■【投資テーマ】週間ベスト5 (株探PC版におけるアクセス数)
1(1) メタバース
2(2) 半導体
3(5) 総合商社 ── 原油など資源高で急浮上するバリュー株の一群
4(3) 全固体電池
5(24) エネルギー
※カッコは前週の順位
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