大谷正之氏【疑心暗鬼の東京市場、春相場の展望を読む】(1) <相場観特集>

特集
2023年3月20日 18時30分

―往ったり来たりが続く日経平均、欧米発の金融不安とどう向き合うか―

週明け20日の東京株式市場は日経平均株価が大幅反落した。朝方は高い場面もあったが上値は重く、結局下値を探る展開を強いられた。前週末の欧米株市場は全面安商状に売られたものの、その後にクレディ・スイス<CS>をUBS<UBS>が買収し合併することで合意したことが発表され、これを背景に朝方は強さを発揮したが買いは続かなかった。引き続き投資家の不安心理は解消されておらず、日経平均は神経質な値動きを強いられている。ここからの相場展望を第一線で活躍する市場関係者2人に聞いた。

●「いったん下値試す展開か、FOMC後の反応を注視」

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

スイス金融大手のUBSが、経営不安が高まっていたクレディ・スイスを買収することが明らかになった。市場の安定のため日米欧の6中央銀行がドル供給を強化することを表明したことも評価していいだろう。ただ、依然として不透明要因は残る。金融株にはいったん下値不安が後退するかもしれないが、金融不安が落ち着いたわけではないと思う。

こうしたなか、21~22日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果にマーケットがどう反応するかが注目される。FOMCの利上げ幅は0.25%とみている。しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)がハト派姿勢に傾けば好感されるかもしれないが、経済見通しが下方修正されれば売り要因となるかもしれない。市場がどんな反応を示すかは、状況次第で出たとこ勝負の展開も予想される。

今後1ヵ月程度の日経平均株価の下値は2万6000円前後、上値は2万8100円程度を見込む。36ヵ月移動平均線が2万6620円前後の水準にあり、これは16日安値(2万6632円)とほぼ一致する。ただ状況次第で2万6000円割れはあるかもしれない。上値は2万8000円をやや超える水準をみている。相場のトレンドは、いったん下値を試す展開を想定する。

個別では、国策関連と 設備投資関連の銘柄に注目している。国策関連では安全保障でIHI <7013> [東証P]や脱炭素絡みで日立造船 <7004> [東証P]、インバウンドで三越伊勢丹ホールディングス <3099> [東証P]、それに三菱商事 <8058> [東証P]など商社株も注目されよう。設備投資関連では、先端半導体関連でSCREENホールディングス <7735> [東証P]、設備投資の国内回帰でコマツ <6301> [東証P]、電気自動車(EV)絡みでダイヘン <6622> [東証P]などだ。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(おおたに・まさゆき)

1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。

⇒⇒最高10万円が当たる! 「個人投資家大調査」を実施中

⇒⇒「株探」では、ただいま「個人投資家大調査-2023」を実施しています。

⇒⇒アンケートにご回答いただいた方から、抽選で「QUOカード」を1名の方に10万円分、1名の方に7万円分、33名の方に1万円分を差し上げます。

⇒⇒アンケートのご回答はこちらからお願いします。

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.