概要・株価
チャート
ニュース
かぶたん ロゴ
PR

鈴木英之(SBI証券)が斬る ―どうなる?半年後の株価と為替―

特集
2026年6月23日 13時00分

日米の株式相場は高水準で推移している。トランプ米大統領が米東部時間14日にイランと戦闘終結で合意したと発表し、半導体関連を中心に株価が大幅に上昇した。ただ、イラン、レバノンなど中東情勢はなお不透明な状況が続く。トランプ氏が「就任から24時間以内に終わらせる」と豪語したロシアによるウクライナ侵攻も依然として収束のメドがつかない。米国のインフレ懸念も根強く、金利上昇を受けてハイテク株が大幅に下落する場面もあった。世界の政治経済が混迷を深める中、アナリストやエコノミストなどの専門家は、「半年後の株価」や「半年後の為替」をどう見ているのか。インタビューを通じて、著名アナリストに予測してもらい、その背景を詳報する。第50回は、SBI証券の鈴木英之投資情報部長に話を聞いた。

●鈴木 英之(すずき ひでゆき)

SBI証券 投資情報部長(日本証券アナリスト協会検定会員)。早稲田大学卒。旧日栄証券(現SBI証券)入社、リテール営業、調査部、株式部などを経て、SBI証券投資調査部長に。ウエルスアドバイザー株式会社(調査分析部ゼネラル・マネジャー)へ転籍を経て2009年5月より現職。ラジオNIKKEI(月曜日)、ストックボイス(木曜日)などでコメントを発信中。ダイヤモンドZAIなど定期的寄稿も多数。

鈴木英之氏の予測 4つのポイント
(1) 半年後の日経平均株価は7万6000円程度
(2) 半年後のS&P500株価指数は7500ポイント程度
(3) 米イランの覚書合意で半導体以外に物色広がる可能性、最終合意にはリスクも
(4) 注目するセクターはAI(人工知能)、FA(ファクトリーオートメーション)、宇宙関連など

―― 米国とイランがひとまず戦闘終結で合意したことを受け、株式市場では楽観論も広がっています。半年後(2026年12月末)の日米の株価水準をどう予測しますか。

鈴木:私は半年後の日経平均株価を7万6000円程度、S&P500株価指数は7500ポイント程度だと予測しています。

――米国とイランが戦闘終結で合意し、ホルムズ海峡も開放される見通しになりましたが、株価への影響をどう考えますか。

鈴木:今回の覚書の合意により、株式市場のリスクは大きく後退しました。今後は半導体以外に物色が広がる可能性があります。ただ、イスラエル、レバノンの関係は複雑で、今回はリスクを抱えた合意といえます。最終合意に向けては意見の隔たりから米国とイランの交渉が決裂し、株式相場を押し下げる懸念が残ります。

―― 日経平均株価の方がS&P500よりも伸び率が高いということですが、予測の背景を教えて下さい。

鈴木:主な理由は日本企業の好業績が続き、PER(株価収益率)もやや上昇することです。日経平均株価の1株当たり純利益(EPS)は3800円程度です。PERが20倍程度であれば、日経平均は7万6000円程度まで上昇します。

―― 現在、18倍程度の日経平均株価のPERが20倍程度まで上昇するということですが、バリュエーション(投資尺度)が変化する理由を教えて下さい。

鈴木:AI(人工知能)、半導体関連の需要拡大が続き、キオクシアホールディングス <285A> [東証P]のように巨額の利益をあげる企業が出てきました。キオクシアの業績拡大への期待はさらに高まり、PERも上昇していくでしょう。

AI、半導体に偏っていた投資家の買いの対象が広がる可能性も高まっています。物価高や賃上げが続き、日銀も利上げをしやすい経済環境になってきました。金利が上昇すれば、銀行貸し出しの利ザヤが改善し、銀行株に買いが入りやすくなるとみられます。

もう1つは、大手自動車の利益が正常化していくことです。例えばホンダ <7267> [東証P]は2026年3月期にEV(電気自動車)関連の巨額損失を計上しました。ホンダや日産自動車 <7201> [東証P]の構造問題を解決するには時間がかかると思いますが、損失計上の反動で業績改善と急落した株価の上昇が見込めると考えています。

図1 日経平均株価(日足)とEPSの推移

【タイトル】

―― 半導体関連の株価については、金利上昇や中央銀行の利上げ観測を受けて大幅に下落する場面がありました。投資家を含む市場関係者の目は日米の金融政策に向いているように思います。

鈴木:私は、米連邦準備理事会(FRB)が年内に1回利上げする可能性が高いと考えています。トランプ米大統領への配慮もあり、11月の中間選挙までは政策金利を据え置くと思いますが、12月には利上げすると予測しています。日銀も今回の利上げの後、中立金利を目指すでしょう。ただ、日米の中央銀行はともに緩やかな金利上昇を志向しており、急激な金利負担の増加は考えづらい面があります。

半導体にとって金利より重要なのは製品の需給バランスです。AIや半導体がほとんどの電気製品に使われて社会基盤になりつつあります。メモリーの高性能化など利益構造の変化も進んでおり、半導体の関連需要が伸び続ける「スーパーサイクル」に突入したとの見方もあります。それが本当であれば、半導体関連銘柄が主導する株高が当面は続くでしょう。

―― 従来、半導体市況は「シリコンサイクル」と呼ばれ、好不況を繰り返してきました。しかし、足元では「スーパーサイクル」によって好況の期間が延びるとの見方が出てきているということかと思います。ただ、ITバブルの時も生産性の向上を通じて景気循環がなくなるという極端な楽観論がありました。

鈴木:確かに半導体市況が従来の設備投資のサイクルから脱するのは容易ではありません。また、株式相場は投資家心理や市場の噂など多くの要因に影響を受けます。例えば、年内に半導体アナリストの一部から「半導体市況のピークは28年」といった論調が出てくれば、急速に投資家の間で不安が広がり、半導体関連の株価が急落するリスクもゼロではありません。

―― 米宇宙会社スペースX<SPCX>が12日にナスダック市場に新規上場しました。今後もアンソロピック、オープンAIなど「巨大IPO(新規株式公開)」が控え、株式市場の需給に影響を及ぼすとの見方があります。

鈴木:巨大IPOによる資金吸収の大きさによっては影響があると思います。ただ、それは株式相場の要素の1つにすぎません。基本的には企業の成長シナリオがしっかりしているかどうかが重要です。企業の成長力がマーケットの期待に応え、それを上回れるようであれば株価の急落にはつながらないでしょう。

――  日本市場で注目するセクターを教えて下さい。

鈴木:1つは銀行株です。日銀の利上げモードの中で利益が押し上げられ、投資家から買いが入りやすいからです。半導体も製造装置、データセンター、メモリー、フィジカルAIなどと関連セクターが主役交代をしながら資金が入り続けるでしょう。今後は必ずしも半導体そのものだけでなく、大手電機株などAI周辺の産業にも買いが入りやすくなると見ています。

(※聞き手は日高広太郎)

◆日高広太郎(ジャーナリスト、広報コンサルティング会社代表)
【タイトル】
1996年慶大卒、日本経済新聞社に入社。東京本社の社会部に配属される。小売店など企業ニュースの担当、ニューヨーク留学(米経済調査機関のコンファレンス・ボードの研究員)を経て東京本社の経済部に配属。財務省、経済産業省、国土交通省、農水省、日銀、メガバンクなどを長く担当する。日銀の量的緩和解除に向けた政策変更や企業のM&A関連など多くの特ダネをスクープした。第一次安倍内閣時の独ハイリゲンダムサミット、鳩山政権時の米ピッツバーグサミットなどでは日経新聞を代表して同行取材、執筆。東日本大震災の際には復興を担う国土交通省、復興庁のキャップを務めた。シンガポール駐在を経て東京本社でデスク。2018年8月に東証1部上場(現プライム市場)のB to B企業に入社し、広報部長。2019年より執行役員。2022年に広報コンサルティング会社を設立し、代表に就任。ジャーナリストとしても記事を複数連載中。2022年5月に著書「B to B広報 最強の戦略術」(すばる舎)を出版。内外情勢調査会の講師も務め、YouTubeにて「【BIZ】ダイジェスト 今こそ中小企業もアピールが必要なワケ」が配信中。

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集