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恐怖は買い場・メモリー関連、形勢逆転の「HBM底値買いリバウンド」戦略 <株探トップ特集>

特集
2026年7月29日 19時30分

―売り仕掛け炸裂もAIバブル崩壊とは違う、したたかにリバウンドの果実を拾いに行く―

世界的に AI 半導体関連株への逆風が吹き荒れる状況となっている。前日の米国株市場では半導体銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が4.5%安と急落し、これで4日続落となり75日移動平均線から完全に下放れる格好となった。韓国株市場では主要株価指数であるKOSPIの下げが更に苛烈、きょうは連日のサーキットブレーカー発動で、こちらは75日移動平均線はおろか既に200日線をも下回る状況となっている。また、韓国同様に半導体関連のウエートが高い台湾加権指数の下げも顕著であり、一時フシ目の4万を割り込み、75日線とのマイナスカイ離は足もとで7%まで広がった。

そして、東京株式市場に視線を向けても言うに及ばず同様の景色が広がっている。もはやAI・半導体株指数と化している日経平均株価だが、この日は朝方高く始まったのも束の間、怒涛の売り圧力が顕在化し、引けにかけて下げ渋ったとはいえ一時1900円強の下落で6万円トビ台まで売り叩かれる場面があった。史上最高値7万2366円をつけ高揚感に包まれたのはわずか1カ月あまり遡った6月25日のことであった。株式市場は企業のファンダメンタルズを反映して動くというのは半ば幻想であり、需給が変わってしまえば実体に関係なくドラスチックに株価は上下するということを証明している。

●キオクシアが売りターゲットの筆頭に

今週は週末31日にキオクシアホールディングス <285A> [東証P]の決算発表が予定されており、この内容にマーケットの耳目が集中することになるが、皮肉にもその前に同社株は崩落の憂き目に遭っている。きょうの朝方取引開始前に開示された韓国半導体大手SKハイニックス<SKHY>の4~6月期決算は最終利益が前年同期比13.4倍化するという驚異的な好決算だった。ドル箱商品であるHBM(高帯域幅メモリー)が生成AI向けに引き合い殺到となり飛躍的な収益をもたらしている。しかし、当初は好決算を評価され買いが先行したが、その後は利食い急ぎの動きが噴出し大きく売り優勢に傾いた。

SKハイニックスの株価動向が反映されやすい韓国KOSPIが急落するのは自明で、このKOSPIに連動する形で下値を探ったのが、キオクシアを筆頭に東京エレクトロン <8035> [東証P]、ソフトバンクグループ <9984> [東証P]といったAI周辺銘柄だった。この日の取引終了後に決算発表を控えていたアドバンテスト <6857> [東証P]は好決算が期待されていたこともあり相対的に頑強な値動きを示したが、それ以外の関連銘柄は問答無用でリスクオフの奔流に晒された格好だ。

●ショート戦略のストーリーに乗せられる

しかし新年度入りした4月以降、6月下旬に至るまでのAI・半導体関連の上昇パフォーマンスが行き過ぎであったなら、7月に入ってからの崩れ足も尋常ではなかった。直近1カ月、わずか30日あまりの期間に何が起こったか。崩落相場と同じ時間軸でAI・半導体関連に位置付けられる企業群は引き続き極めて好調な業績を謳歌しており、ファンダメンタルズ面から大きな瑕疵が生じた形跡はない。あくまで投資家心理の変化、そして現象面からはモメンタム相場の歯車が逆回転を始めたということに尽きる。直接的なトリガーではないが、象徴的な事象はスペースX<SPCX>の上場後の株価下落、オープンAIの年内上場断念などの報道が影響している。これに合わせてエヌビディア<NVDA>のラウンドトリップ(循環取引)などが蒸し返され、中国メモリー大手CXMTの巨額上場及び半導体生産能力の大幅増強計画がセンセーショナルに報じられ、売り方のストーリーに乗った。

そして、「持たざるリスク」に突き動かされて同関連株を抱え込んだ投資家は、その一方で誰もが「AIバブル相場」に対する一抹の不安を抱いていた。市場関係者いわく「そこに付け込む形でヘッジファンドが売り仕掛けの機を窺っていたことは確かだろう」(ネット証券マーケットアナリスト)という見方はおそらく当を得ている。株高局面でモメンタムチンパンジーなるワードも飛び交ったが、これは投機的売買に対する後ろめたさの裏返しでもあった。「赤信号皆で渡れば怖くない」だが、一人でも慌てて引き返せば、それに続く動きが必ず誘発されるというのが、株式市場暴落のメカニズムと言ってもよい。

この1カ月、AI・半導体関連は激しい嵐に遭遇したが、その結果AIバブル相場への警戒も“泡の部分”が大分剥落した状態となってきた。足もとの高収益は実績ベースで示されている。これは思惑の範疇ではない。であれば、余裕をもってここから関連銘柄を買い下がっていくのは、来たるべき反騰をキャピタルゲインとして回収する有力な手段となり得る。その際にSKハイニックスの今回の決算は参考になる。同社の株価の値動きはともかく、収益飛躍の翼となったHBMにフォーカスしてみたい。関連有力株をピックアップしてみる。

●シリコンウエハーはAIインフラの原点

HBMをはじめとするDRAMやNAND型フラッシュメモリーなどを製造するうえで、まず絶対に必要となるのはシリコンウエハーだ。このシリコンウエハーに関しては、世界シェアを二分する大手メーカーがいずれも日本に存在する。世界に流通するシリコンウエハーの30~40%を占有し、押しも押されもせぬトップサプライヤーの座に君臨しているのが信越化学工業 <4063> [東証P]。同社は住宅向けを主力とする塩化ビニール樹脂でも世界一のシェアを誇るほか、高市政権が国産にこだわるハイテク材料のレアアース精製技術でも中核に位置する。日本の経済安全保障の重要なパーツともいえる化学セクターの国策企業といってもよい。直近の決算発表では、塩ビ市況の回復の遅れで事前コンセンサスを下回ったことが嫌気され下値を探ったが、シリコンウエハー部門の好調に陰りは見られず、半導体関連の切り口では収益環境の追い風が確認された形だ。

そして、シリコンウエハーでこの信越化に次ぐ世界シェアを握っているのがSUMCO <3436> [東証P]である。こちらはシリコンウエハー専業メーカーで、最先端半導体向けに需要が沸騰している大口径ウエハー(300ミリウエハー)で優位性が高い。とりわけ、最上位(最高品質)ウエハーであるエピタキシャル・ウエハーは最先端ロジックやCMOSセンサー向けなどで高水準の需要があり、商品競争力も信越化と実力伯仲の関係にある。

●半導体材料のグローバル企業を見逃すな

最先端メモリーであるHBMの進化は、積層化と微細化プロセスの進化の集大成でもある。これに従い半導体材料のクオリティや技術も高度化が求められる。そのなか、トリケミカル研究所 <4369> [東証P]は半導体製造工程において欠かすことのできない高純度化学薬品のグローバルニッチトップで少量・高難度材料に強みを有し、とりわけ絶縁膜材料では抜群の商品競争力を誇っている。同社の看板商品でもあるHigh―K(高誘電率)ゲート絶縁膜はHBM向けで高水準の需要獲得が続きそうだ。27年1月期業績は営業利益段階で前期比微増の60億円を見込むが、第1四半期時点の進捗率から増額修正の可能性が高いと判断される。また、28年1月期以降の高成長路線復帰を見込んで、大口資金が同社株の保有比率を高める動きも観測されている。

また、化学セクターではトリケミカルと同様にADEKA <4401> [東証P]の存在は外せない。先端DRAM向け高誘電材料は量産展開で他社を圧倒し世界シェア首位を誇る。業績面は売上高・利益ともに過去最高更新トレンドに突入しており、27年3月期の営業利益は前期比13%増の468億円と2ケタ成長でピーク更新を見込む。

●モールディングとテスト工程はHBMの急所

半導体製造装置メーカーではTOWA <6315> [東証P]をマークしておきたい。超精密金型で培った技術を中核に、半導体製造の後工程であるモールディング装置(樹脂封止装置)で不動の世界トップシェアを誇る。HBMの積層化では同社のコンプレッション方式のモールディング技術が重要なポジションを担うことになる。27年3月期は増収効果を背景に利益も急回復が見込まれており、営業利益段階で前期比48%増の102億4000万円と再び100億円台に乗せてくる見通しだ。

HBMの世代交代に伴う需要が高水準となるなか、最先端AI半導体などに対する検査ニーズの高まりは、メモリーのテスト工程を受託する企業の商機も高めている。そのなか、台湾の力成科技傘下で後工程のサプライチェーンを広範囲にカバーすることが可能なテラプローブ <6627> [東証S]は見直されるタイミングが早晩訪れそうだ。26年12月期業績予想に関して会社側は開示していないが営業利益段階で前期比3割を超える伸びが見込まれ過去最高利益を大幅更新する公算が大きい。

プローブカードを共通項とする銘柄でもう一つ、日本マイクロニクス <6871> [東証P]も押し目買い対象として目を向けておきたい。テラプローブは検査受託サービス(テストプログラム開発)を行うが、そこで必要とされるプローブカードの製造を行っているのが日本マイクロという構図である。日本マイクロはメモリー向けプローブカードの世界トップメーカーとしての実力を遺憾なく発揮し、複雑な製造工程を有するHBM向けでも商機を丸呑みしている。

●メーカー機能を有する技術商社にも刮目

このほか、半導体メモリーを取り扱う専門商社にも注目しておくところ。イノテック <9880> [東証P]は半導体設計ツールとメモリーテスターの販売を主力とする半導体商社だが、メーカー機能も有し自社製品の開発を行っている点が特長。同社の半導体テストソリューションは主に自社開発品で実績を積み上げており、今後はHBM用の展開にも期待がかかる。業績は26年3月期営業利益が前の期比65%増の31億800万円と急拡大したが、続く27年3月期も前期比19%増の37億円と高成長が続く見通し。目先は全体相場のリスクオフに流され下値を試す動きを余儀なくされているが、500億円未満の時価総額は中期スタンスで大幅な見直し余地がありそうだ。ちなみに配当利回りは4%を超える。

また、伯東 <7433> [東証P]は半導体及び電子部品・電子機器を取り扱う技術商社で、自社ブランドの半導体製造装置も開発する。データセンター用サーバーなどAIインフラ関連特需が収益に貢献し、27年3月期営業利益は88億円を見込んでいたが、直近増額修正を発表し同利益は96億円(前期比58%増)に修正された。また、1対3の株式分割も発表している。年間配当も実質増配となり、配当利回りは実に5.3%台と高水準だ。

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