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航空業界の切り札、脱化石燃料ニーズで「SAF」関連株がテイクオフ <株探トップ特集>

特集
2026年7月30日 19時30分

―エネルギー安全保障の観点でも需要、中東情勢の緊迫化で注目度が急上昇―

30日の東京株式市場で、日経平均株価は続落して始まったものの切り返し。前日に通期業績予想を上方修正したアドバンテスト <6857> [東証P]の急伸などが寄与し、1500円近く上昇する場面があった。ただ、米国とイランの軍事衝突が続いていることから原油価格の先高観は依然として根強く、両国の攻撃が更に激化すれば米原油先物が再び1バレル=100ドル台に到達する恐れがある。日本の原油輸入は中東への依存度が高く、これが燃料調達の不安定化に直結しており、航空業界はジェット燃料の深刻な供給不足と価格高騰に直面。日本のエネルギー安全保障の観点からも改めて関心が高まっているのが、持続可能な航空燃料である「SAF(Sustainable Aviation Fuel)」だ。

●重要性増す国内自給率向上

SAFは廃食油、微細藻類、木くず、サトウキビ、古紙などを主な原料として製造され、従来使用されている石油などの化石燃料からつくったジェット燃料と比べて二酸化炭素(CO2)排出量を抑制できることが大きな特長。国際民間航空機関(ICAO)は2022年に、50年までにCO2の排出量を実質ゼロにするという目標を採択しており、国産SAFへの投資が不可欠となっている。

中東情勢の悪化で世界的に石油製品輸入が混乱していることや、国内の原油処理量減少に伴う将来的な化石由来ジェット燃料の生産量低下の可能性を考えれば、国産SAFは航空ネットワーク維持の要といえそう。経済産業省と国土交通省は今月23日に開いたSAF官民協議会で、一部の空港で供給する燃料についてSAFの混合を義務付ける案を公表し、ジェット燃料の供給事業者に対して30年度に1%以上を求め、段階的に5%以上にまで引き上げる方針を示した。

日本航空 <9201> [東証P]とANAホールディングス <9202> [東証P]は5月27日、SAFの現状と課題、社会全体での取り組みの必要性をまとめた共同レポート「2050年 航空輸送におけるCO2排出実質ゼロへ向けて(第2版)」を公表。SAFの国内自給率向上の重要性が増しているとして国の支援を求めており、関連企業の動向から目が離せない。

●国産化に向けた取り組み続々

Green Earth Institute <9212> [東証G]は微生物や酵素を活用したバイオものづくり技術の研究開発に取り組んでおり、7月15日には研究中心のフェーズから商業生産・事業拡大のフェーズに移行することを見据えた中長期ビジョンを公表。SAFでは日本から東南アジア、そして世界の3段階戦略を掲げた。なお、同社は25年7月に日本製紙 <3863> [東証P]及び住友商事 <8053> [東証P]と、SAFの原料となる バイオエタノールの生産と普及を目的とした「森空バイオリファイナリー」を設立している。

栗田工業 <6370> [東証P]は6月19日、ICAOが定めるSAF原料の国際的な登録・認証の取得を目指すパイロット事業者に選定されたと発表。同社は長年培ってきた水処理の技術や知見を生かし、食品工場などの排水に含まれる油脂を効率的に回収する技術や装置に係る実証を推進中。また、回収した油脂をSAF製造事業者に供給するビジネススキームなどを含め、SAF原料回収ソリューションとしての実用化・事業化に向けた検討の具体化も進める構えだ。

日揮ホールディングス <1963> [東証P]は6月16日、コスモエネルギーホールディングス <5021> [東証P]傘下のコスモ石油及びレボインターナショナル(京都市下京区)との共同事業提案が東京都のSAF製造に向けた公募事業「廃食用油回収促進に係る事業提案」に採択されたと発表。5月にはJCCP国際石油・ガス・持続可能エネルギー協力機関の事業に、中部電力 <9502> [東証P]と共同申請した「ソルガム(イネ科作物の一種)を原料とするSAF生産の事業性調査」が採択されたことを明らかにしている。

出光興産 <5019> [東証P]は5月27日、森空バイオリファイナリーと純国産ATJ(エタノールに代表されるアルコールを原料として、SAFを製造する技術・プロセス)-SAFのサプライチェーン構築に向けて覚書を締結したと発表。木質バイオマス由来の国産第2世代バイオエタノールと、同社が実証検討を進めるATJ技術をつなぐことで、原料開発からSAF利用までを国内で完結させるサプライチェーンの実現可能性について共同で検討を進めるという。

サニックスホールディングス <4651> [東証S]は5月15日、27年3月期から29年3月期の3カ年を対象とする中期経営計画を公表。同期間では「廃液からのSAF原料製造」に取り組むとしている。25年には同社及びサニックス資源開発グループが進める「グリストラップ汚泥からジェット燃料の原料製造事業」が、環境省の「脱炭素型循環経済システム構築促進事業のうち、プラスチック等資源循環システム構築実証事業(うち、廃棄物等バイオマスを用いた省CO2型ジェット燃料等原料製造・社会実装化実証事業)」に採択されている。

●レンゴーや木村化などにも注目

このほかでは、日本産業機械工業会が創設した安価なバイオエタノール国産製造プロセスの構築を目的とした産学連携コンソーシアム「J-BAS(Japan Bio Alcohol from Sorghum)」に参画している木村化工機 <6378> [東証S]に注目。バイオエタノールを製造する際の「前処理」「発酵」「蒸留」「高純度化」の4つのプロセスにおいて、同社は「水熱処理技術」「膜処理技術」「蒸留技術」で貢献することができるという。

住友林業 <1911> [東証P]とレンゴー <3941> [東証P]は4月1日付で、木材チップの調達やバイオエタノールの製造を行う合弁会社「RSウッドリファイナリー」を設立。住友林は原材料の安定調達とバイオリファイナリー製品の共同開発・販売を担い、バイオエタノールはレンゴーグループがバイオマス化学品分野で培ってきた技術を活用し、同グループの製紙工場内のプラントで製造する。

これ以外の関連銘柄としては、 バイオ燃料「サステオ」を展開するユーグレナ <2931> [東証P]、グループ会社が植物によるバイオ燃料の製造・販売を手掛けるアスリナ <3647> [東証S]、バイオエタノールやSAF製造を支える糖化酵素供給基盤の構築に取り組む花王 <4452> [東証P]、SAFの大規模生産設備向け水素製造装置のFEED(プロジェクト立ち上げ段階の概念設計や実行可能性の調査・検証後に行われる基本設計)業務を受注した実績を持つ三菱化工機 <6331> [東証P]などが挙げられる。

株探ニュース

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