概要・株価
チャート
ニュース
かぶたん ロゴ
PR

「M&A」件数は過去最多ペース、非連続的成長で赤マル急上昇の銘柄群 <株探トップ特集>

特集
2026年8月3日 19時30分

―産業再編や事業承継ニーズなどで拡大傾向、PEファンド台頭も件数増加を後押し―

日本企業のM&A(買収・合併)が加速している。後継者不足に伴う事業承継ニーズの拡大や、人口減少による国内市場縮小に対応するための業界再編機運の高まりが指摘されるなか、PEファンドによる企業買収も増加している。M&Aの駆使により非連続的な成長と企業価値の向上が期待できる銘柄にスポットライトを当てていく。

●5年連続過去最高更新、大型案件も続々

M&A仲介サービス大手、ストライクグループ <6196> [東証P]が集計したデータによると、2025年の日本の上場企業のM&A件数は、前年比10.1%増の1344件となり、08年の集計開始以来の過去最高件数を5年連続で更新した。26年も勢いは止まらず、6月までの累計は前年を上回る件数で推移している。

直近の大型案件の動きで目立つのはグローバル事業の強化を目指したM&Aだ。住友林業 <1911> [東証P]は、取得価額42億8100万ドル(約6549億円)を投じ、5月14日に住宅大手トライ・ポイント・ホームズをグループへ迎えた。同社にとって過去最大のM&A案件となり、年間供給戸数で一躍全米第5位の住宅メーカーの地位を得た。業界再編につながるM&A案件も相次いでいる。大和証券グループ本社 <8601> [東証P]は子会社の大和ネクスト銀行を通して約3700億円で、オリックス <8591> [東証P]傘下のオリックス銀行を買収。両行を統合する方針だ。

直近のM&AにはPEファンドが関与するケースも多い。PEファンドは企業を買収した後、経営支援を通じて企業価値を高め、同業他社や他のファンドなどへの売却を通じて投資リターンの獲得を目指しており、歴史的な円安環境下で割安となった日本企業に触手を伸ばす外資系PEファンドが続々と現れている。金融庁は7月24日に公表した「資産運用サービスの高度化に向けたプログレスレポート 2026」のなかで、能力のある多様なPEファンドが企業のさまざまなニーズに応えていくことは日本企業や日本経済の発展にプラスだとしつつ、日本のなかからも大型案件に対応できるPEファンドが育っていくことが期待されると言及。政府として環境整備に取り組む姿勢を示している。

●巧みなPMIで企業価値向上

外部リソースを活用したものであれ内発的な動機であれ、M&Aを積極的に活用し、PMI(統合プロセス)のノウハウを蓄積させて株主価値を高めてきた企業は市場から一目置かれる存在となっており、持続的な株価上昇が期待されている。M&Aのなかでも同業他社を買収し市場シェアを拡大するタイプは「スケールメリット追求型」と呼ぶことができる。物流事業を手掛けるセンコーグループホールディングス <9069> [東証P]は23年3月期から26年3月期の4年間で782億円を投資し、24社に対するM&Aを実施した。今年9月にはUmios(旧マルハニチロ) <1333> [東証P]から低温物流事業を営む子会社Umiosロジの株式51%を取得する予定。食品EC(電子商取引)市場の伸長に伴い需要が増加している冷凍・冷蔵倉庫において、業界3位の設備能力を誇る連合体が誕生する。株価はここ1カ月、強い上昇トレンドを示し、7月29日には新高値をつけた。

リユース事業のBuySell Technologies <7685> [東証G]は前期までの5年間で約200億円を投じて5社を子会社化した。今年4月には九州エリアで「買取専門店 諭吉」を運営するDelightZをグループ化。同地域での買い取り・販売チャネルや取扱商材を拡大している。PMIによるシナジー創出で傘下企業の業績を大きく成長させており、21年に連結したタイムレスは5年でEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)が12.4倍、25年に連結したレクストホールディングスはわずか1年でEBITDAが2.4倍に急拡大。業績と比較して足もとの株価は売られ過ぎの水準となっており、自律反発への期待が高まる。

イズミ <8273> [東証P]は中四国・九州を地盤として総合スーパーや食品スーパーを展開する。24年には現在トライアルホールディングス <141A> [東証G]傘下となった西友から食品スーパー「サニー」を展開する九州事業を取得し、同地域における店舗網を急拡大した。4月14日には31年2月期を最終年度とする新中期経営計画を開示。5年間で総額550億円をM&Aに投じ、広島や福岡などを中心にドミナント戦略を加速させる方針を示した。PBRは0.7倍台で割安感がある。

●すかいらーくは都市型出店戦略加速の起点に

同業ながら異なる顧客層を持つ企業を獲得することで、新たなノウハウを身に付けることを狙うケースもある。ファミレス大手のすかいらーくホールディングス <3197> [東証P]は自社のインフラを生かし、新たに加わった子会社の事業展開を強力に支援。24年には国内で北九州市のソウルフードと言われる「資さんうどん」の運営会社、25年にマレーシアでムスリム向けしゃぶしゃぶを展開する現地企業をグループ化した。今年4月には「炭火焼干物定食しんぱち食堂」の運営会社しんぱちの全株式を取得。都市部・駅近・商業施設の集積地に強固な店舗網を持つ同社を迎え入れたことで、すかいらーくはブランドポートフォリオを拡充するとともに、都市型出店戦略の飛躍的な加速を図る。株価は年初来安値をつけた6月5日で底打ち、上昇基調が続いている。

総合アパレルのワールド <3612> [東証P]は株式交換により持ち分法適用会社だったライトオンと連結子会社だったナルミヤ・インターナショナルを完全子会社化。グループ一体となって成長に向けた施策を打ち出す体制を構築した。グループ外からは25年3月にTSIホールディングス <3608> [東証P]から婦人服の縫製加工を手掛けるTSIソーイングを、26年3月に阪急阪神ホールディングス <9042> [東証P]からコスメセレクトショップ「カラーフィールド」事業などの承継会社を取得しており、業容拡大に余念がない。株主還元の厚さも魅力で、配当利回りは4%を超えている。

●じげんは案件大型化を志向

専門領域が近い事業を展開する企業を買収し提供できるサービスの幅を拡充するM&Aは「サービス拡充型」と位置付けることが可能だ。じげん <3679> [東証P]は複数のインターネットメディアの情報を統合し、一括検索・応募を可能にするアグリゲーションメディア事業などを展開。13年11月の上場以来、中小型案件を中心に35件のM&Aを遂行し、PMIのノウハウを蓄積してきた。25年9月に美容・ヘルスケア業界専門の転職・求人サービスを展開する子会社リジョブが、薬局領域への参入を目的とする買収を実施した。5月12日に発表した31年3月期を最終年度とする中期経営計画では、案件数の増加と大型案件の実施により非連続的な利益成長と投資回収の高速化の両立を目指すとしており、160億円超の資金を確保する。株価は昨年9月から下落トレンドが続いていたが、6月26日を底に反転。7月8日に75日移動平均線を上抜き、200日線突破が視野に入る。

エフ・コード <9211> [東証G]は企業のデジタルマーケティングやDX化を支援する。対象となる業界・業種を広げる「水平型」、業界に特化して深掘りする「垂直型」の二軸でロールアップM&A(連続買収)に取り組んでいる。既に今年は2月にEn placeとAI ONE、5月にRoomboxと3件のM&Aを実施済み。非連続的な事業成長の継続に向けてまい進している。PERは8倍台と、過去3年平均の20倍と比べ低水準で推移しており、割安感が出ている。

経営の専門知識を強みにM&Aを通じた非連続的な成長を図る「シリアル・アクワイアラー」として技術承継機構 <319A> [東証G]も目を離せない。製造業に特化した事業承継M&A及び子会社化した企業の経営支援を展開。3月末には同社初となるカーブアウト(会社分割)案件として、シンフォニア テクノロジー <6507> [東証P]から電磁クラッチ・ブレーキなどを手掛ける大崎電業社を譲受した。今後は大手企業のカーブアウトに加え、上場企業のTOB(株式公開買い付け)にもM&Aの間口を広げる方針だ。18年の創業以来、20件目となるM&Aを完了。株価は7月15日の高値2万1300円から調整しているが、1万6000円近辺で下値を固めつつあり、再動意の兆しを見せている。

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集