馬渕治好氏【8月相場を大展望、荒れ狂う相場の先に何が見える】 <相場観特集>
―半導体セクターの見立てと想定される日経平均のレンジは―
週明け3日の東京株式市場は日経平均株価が反落に見舞われた。前週末31日に2500円弱の急伸を示した反動といえばその通りだが、前週末の米国株市場が幅広く買われたにもかかわらず、リスクオンの地合いは引き継げなかった。為替市場で急速にドル安・円高方向に振れていることなどが足を引っ張っていると思われるが、AI・半導体関連株への底入れがいつになるかということが投資家の最大の関心事ともいえる。目先、同関連株は高安が入り交じる状況となっているが、今後はどう見るべきか。8月相場の見通しについてブーケ・ド・フルーレットの馬渕治好氏に話を聞いた。
●「底入れ待ちのAI・半導体株は依然下値余地あり」
馬渕治好氏(ブーケ・ド・フルーレット 代表)
東京株式市場は足もとで上下にハイボラティリティな地合いが続いているが、8月相場は月間でも上下に荒れた値動きとなることが予想される。米国に続いて国内でも企業の決算発表が本格化しているが、 AI関連や 半導体関連に関していえば、日米ともに足もとの業績の良し悪しよりも、AI絡みの設備投資計画に耳をそばだてているようなフシがある。米国ではメタ・プラットフォームズ<META>をはじめ大手IT企業のフリーキャッシュフローがマイナスに向かっていることなどが取り沙汰されるが、端的に言えば設備投資にかける金額を当該利益で補うことができていない状態を危惧している部分が大きい。
更にエヌビディア<NVDA>のオープンAIへの巨額の投資(債務保証)でも財務不安が意識されている。現状で財務危機に陥るような状況にはないとはいえ、実際エヌビディアのCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)が上昇しているのを見る限り、将来的に資金面で行き詰まるかもしれないという懸念が台頭していることは否定できない。そういう意味で、AIや半導体株はまだ予断を許さない局面にあると思われる。年内にAI関連銘柄は総じて底を入れる可能性が高いと思うが、現時点ではまだ大勢下落トレンドの途上で、今はその踊り場であるというケースも当然考えられる。
一方、足もと外国為替市場では、日米協調介入によってこれまでのドル高・円安基調が急反転し、一時1ドル=155円台まで一気に円高方向に振れるなど波乱含みの動きをみせた。これについては輸出セクターへの影響を警戒する声も聞かれるが、そもそもこれまでの円安進行が行き過ぎだったとして、日米協調介入によってその偏りが是正されたという点で、マーケットにネガティブに働くとは思えない。日本の製造業は付加価値の高い商品をBtoBで販売するのが主流であり、少々の円高への揺り戻しで収益面に深刻なダメージを受けることは考えにくい。
8月・月間で見た場合、日経平均のレンジについて下値は6万円大台を割り込む場面がありそうである。他方、上値についてもボラティリティは高く、6万7000円くらいまでの戻り余地があると考えている。TOPIXに関しては変動幅もやや限定的で、3800台から4000トビ台でのレンジを想定している。基本的にNT倍率は今後低下基調をたどることが予想され、物色対象についても日経平均寄与度の大きいAIや半導体周辺株を買うよりも、銀行や消費関連などの内需系、あるいは輸出セクターでもバリュエーションで割安な自動車株などの押し目買いに優位性がありそうだ。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(まぶち・はるよし)
1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米MIT修士課程修了。米国CFA(証券アナリスト)。日興証券グループを経て、2009年から独立して現職。マスコミ出演は多数。日本経済新聞夕刊のコラム「十字路」の執筆陣の一人。個人投資家や金融のプロなどに向けてセミナー講演を活発に行っている。自主開催の有料セミナーは、背景要因を具体的なデータ数値で示す、独自の内外情報網で得た論拠を提示するなど、参加者からの評価が高い。セミナーのスケジュールは「ブーケ・ド・フルーレット」のホームページを参照。
株探ニュース