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米国の新たな経済制裁にイランは軍事報復か、海峡迂回ルートに警戒感 <コモディティ特集>

特集
2026年8月26日 13時30分

●ホルムズ海峡の完全支配を目指すイラン

ホルムズ海峡の管理を目指すイランは、航行手続きに従わない船舶に対して警告や攻撃を続けている一方、イラン革命防衛隊(IRGC)の監視があまり届かないオマーン側の航路ではタンカーがある程度、通過している。米軍の支援のもとでステルス航行作戦が実行されており、イランはホルムズ海峡を完全に掌握できていない。ホルムズ海峡を経由する供給量が日量500万バレル規模との推計もあり、被弾をいとわないタンカーによって世界の供給不足が緩和されている。

イラン国営のヌール通信によると、イランはホルムズ海峡で幽霊船を支援するネットワークへの攻撃を準備している。幽霊船とは船舶自動識別装置(AIS)を切ってレーダー上から消え、ホルムズ海峡の通過を試みる船舶で、主に米軍が支援している。米軍がどのようにステルス航行作戦を支援しているのか詳細は不明だが、この作戦には中東各国のインフラが利用されており、イランはステルス航行作戦を根本から潰そうとしているようだ。イランがホルムズ海峡を支配するためには、幽霊船や支援ネットワークの排除が優先課題である。

また、イランのペルシャ湾海峡庁(PGSA)によると、ホルムズ海峡の通行規則に違反する船舶はブラックリストに登録されて、将来の航行が制限される見通し。船舶の所有者や荷主にとっては罰金や押収、抑留・没収のリスクがあるという。ブラックリストに掲載されている船舶と瀬取りを実施する船舶もブラックリストに追加される。海上で船舶を並べて船から船へ石油を移し替える瀬取りによって、ホルムズ海峡を経由する石油輸出はかろうじて維持されている。

●イランが軍事行動に消極的になる理由は乏しい

イラン最高安全保障委員会のモフセン・レザーイー事務局長は、「経済戦争が続けば、ホルムズ海峡やペルシャ湾のどこからも、一滴の石油も輸出されない」、「米国の経済戦争に参加し、支援する国はイラン国民に対する戦争行為であるとみなす」と述べた。ベッセント米財務長官は、イランを経済的に完全に孤立させる前例のない規模の金融攻勢に乗り出すとし、新たな制裁を開始したため、イランの反発は避けられないだろう。

モフセン・レザーイー事務局長が「一滴の石油も輸出されない」と述べたことからすると、ホルムズ海峡を迂回して中東の石油を輸出し続けているアラブ首長国連邦(UAE)の石油基地フジャイラや、サウジアラビアの東西パイプライン、オマーンのミナ・アル・ファハル港が軍事的な標的となる可能性がある。ホルムズ海峡でイランの監視をかいくぐる幽霊船や瀬取りだけが排除の対象ではない。

トランプ米政権は原油相場を刺激しないよう軍事的な行動を控えているものの、イランが軍事行動に消極的になる理由は乏しい。米国が原油高やインフレ懸念の拡大を嫌がるなら、イランとしては緊迫感を煽ることが米国と対立するうえで有効な手段といえる。イランの要求は米国が少なくともイスラマバード覚書を履行することであり、米国がこの要求を無視し続けるなら攻撃を開始するだろう。報道によると、イランが設定した猶予期間は数週間であり、来月には軍事作戦が再び始まる可能性がある。

(minkabu PRESS CXアナリスト 谷口 英司)

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