明日の株式相場に向けて=裏読みの9月相場、買い場提供となるか
名実ともに9月相場入りとなった1日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比96円安の6万6215円と小幅続落。依然として膠着感の強い地合いから抜け出せない。6万5000円台後半を横に走る25日移動平均線を絡めた狭いゾーンでのもみ合い相場が続いている。日米ともに上昇基調が止まらない長期金利の動向が投資家の気勢を削いでいる。ただし、ここ連日メガバンクなど銀行株の上げ足が光っており、これはTOPIXの強さに如実に反映されている。TOPIXについては、きょうで9日続伸と約1年4カ月ぶりの連騰を記録、飛ぶ鳥を落とす勢いといっても過言ではなく、8月14日につけた史上最高値にあと1ポイント未満まで肉薄する場面があった。
前日の米国株市場ではNYダウやナスダック総合株価指数など主要株価指数は軟調だったが、半導体銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は小幅ながら上昇。個別にサンディスク<SNDK>が5.5%高と大幅高に買われ、エヌビディア<NVDA>も堅調な値動きを見せるなど、全体地合いに抗して一部の半導体銘柄は気を吐いた。したがって、きょうの東京市場、とりわけ日経平均には逆風とは言えない形でバトンが回ってきたのだが、朝方に225先物は下に振られており少々違和感があった。案の定、取引開始後は漸次下げ渋る展開となり一時はプラス圏に頭を出す展開となった。
とはいえ、大相場を演じた後に値崩れした 半導体関連が本格的に出直るには時期尚早で、総論として調整局面に入ってからの日柄が浅い。キオクシアホールディングス<285A>は仮に5万円近辺が底値ゾーンとしても、もうしばらくもみ合い期間が必要に思える。ここは日足一目均衡が個別株選別の参考になるところで、アドバンテスト<6857>は上下どっちつかずの気迷い相場を続けているようだが、一目均衡では雲の上空に位置している。イビデン<4062>やフジクラ<5803>はあと一歩で雲をクリアできるかというポジション。対してキオクシアや東京エレクトロン<8035>、SUMCO<3436>などは雲の下で現状はまだ悶々としている。AI・半導体関連株も、ひと頃と比べ跛行色が強くなっている。一斉高には買われにくくなっているが、これはむしろ投資家にとっては与しやすい。ファンダメンタルズも重要だが、決算シーズンを通過した今はテクニカル重視の方が有利な時間帯だ。半導体関連でもイビデンなど雲抜け目前の銘柄の方が相対的に期待値は高いといえる。
さて、9月は統計的には投資家にとって向かい風が強い月とされている。戦後に東証が再開してから昨年までの77年間で、日経平均月足でみた9月の騰落は37勝40敗と1年(12カ月)の中で唯一負け越している。海外投資家は過去10年を振り返っても9月に買い越したことがなく、こちらは0勝10敗である。しかし、逆説的ではあるが9月は実は買い場を提供しているというのが一つのアノマリーでもある。ウォール街の有名な格言「セル・イン・メイ(5月に売れ)」には続きがあって、それは「(5月に売り抜けて)9月に戻って来い」である。正確には「9月第2土曜日に英国で開催されるセントレジャーデーまでは戻って来るな」ということで、この格言はその翌週の月曜日からは買い向かうタイミングに移行することを示唆しているのだ。株は安きに買い向かい、高きに売るのが理想であり、9月はそのチャンスと捉えることもできる。
日米ともに株式市場にとって現状は金利上昇への警戒感が最大の買い手控え要因となっている。きょうは国内で新発10年債利回りが約30年ぶりに3%大台に乗せた。3%を超えたから株式は即売りということではなく、実際にかつてバブルの頂となった1989年12月末の3万8915円の高値を形成した時、10年債利回りは5.72%だった。ただ、「金利のない長いトンネル」を走り続けてきたことで陽光の眩しさに目が慣れていない。
日本以上に金利上昇に神経を尖らせているのは米国で、ベッセント米財務長官は9月9日から予定されているバイバック(長期債の買い入れ消却)の大幅増額によって力ずくで長期・超長期国債の利回りを抑えつけようとしている。ジョージソロスの部下で同門の兄弟子にあたるドッケンミラー氏が小手先ではなく財政赤字という根本にメスを入れるべきと批判しているが、これに対しても聞き流して意趣返しともいえる辛辣な皮肉で反論している。ベッセント氏の言動には既に不退転の決意が滲み出ており、そう考えると少なくとも初動では青天井的な拡大措置で投機筋を凌駕しようとする可能性が高い。トランプ政権サイドの面目を保つためになりふり構わずということであれば、一時的にせよこのプログラムは成功する公算が大きい。その場合は日米株高の要因となり得る。同じ週の9月11日に東京市場ではメジャーSQ算出が待っている。このスケジュールで日経平均が上に行くという見方は少数派と思われるが、意外に強気筋が勝つ可能性があるようにも思えてくる。
あすのスケジュールでは、8月のマネタリーベースが朝方取引開始前に日銀から公表されるほか、前場取引時間中に日銀の高田創審議委員が札幌市金融経済懇談会で挨拶を行い、午後には記者会見が行われる。また、大引け後に8月の財政資金対民間収支が開示される。国内ユニクロ既存店売上高にも市場の関心が高い。海外ではニュージーランド中銀、カナダ中銀などが政策金利を決定するほか、米国では8月のADP全米雇用リポートや7月の製造業新規受注、地区連銀経済報告(ベージュブック)などに投資家の視線が向かいそうだ。なお、米主要企業の決算発表では、ブロードコム<AVGO>の5~7月期決算が開示される。(銀)