林卓郎氏【米中首脳会談を目前に金利は急上昇、有効な投資戦略は?】 <相場観特集>
―米ナスダック最高値更新も日経平均伸び悩む、米中貿易戦争は休戦期間延長へ―
11年ぶりの大型連休となったシルバーウィーク明けの東京株式市場。今週に入ってからの米ハイテク株高の流れを受け、日経平均株価は朝方から大きく買われたものの、その後は伸び悩み、前週末比495円高の6万5513円で引けた。日米で長期金利が急上昇し株式相場の重荷となるなか、日本時間25日未明に開催される米中首脳会談に投資家の関心が向かっている。今後の相場を展望するうえで押さえるべき重要なポイントは何か。長年、日本株の投資戦略を発信し続けてきた岩井コスモ証券の林卓郎氏に話を聞いた。
●「出遅れ銘柄に商機あり、本命はやはり半導体セクター」
林卓郎氏(岩井コスモ証券 投資調査部 投資情報センター長)
大型連休明けの日本市場は、米国のAI(人工知能)・半導体の株高を素直に反映する形で日経平均は上昇した。9月の相場を下支えしてきたバリュー株の上昇は一服しているものの、総じて地合いは堅調だ。前週の日米中銀会合で利上げが決まり、年内の追加利上げも濃厚となったが、金利の先高観は株価にはネガティブに作用せず、日本市場は9月中旬までの下げが一巡したと言える。これは例年のことだが、9月相場は中間配当の権利落ちを狙ってバリュー株に資金が集まり、それを起点として年末に向けて上昇相場を迎える。先週末に東証プライム市場の売買代金も久々に10兆円水準に回復した。投資家たちが日本市場に戻ってきつつあると感じている。
朝高後に日経平均は伸び悩んだが、これは米中首脳会談を前に様子見ムードが広がったことに加えて、日米ともに足もとで再び長期金利が上昇していることに対する警戒がある。明朝の米中会談については、すでに伝えられている貿易戦争の休戦延長は好材料だが、それ以上の大きなサプライズは考えられず、株価への影響は限定的だろう。
向こう1ヵ月の日経平均の予想レンジは6万5000円から6万8000円と読む。大きな下振れは考えられないが、次の決算が本格化するまでは金利の先高観もあって上値も限られるだろう。ただし10月後半からは27年3月期第2四半期の決算への期待から、上昇相場へと突入すると想定している。9月発表の上場企業の決算内容は総じて好調であり、おそらく今期は日本企業全体で利益が1割程度上振れするのではないかと見ている。そうなればPER(株価収益率)は17倍から15倍程度となり、日経平均の年内高値更新は十分可能となる。好決算が予想されながらも、現時点で出遅れている銘柄は格好の買い場を迎えているといえる。出遅れの代表格は、やはり半導体銘柄だ。
メタ・プラットフォームズ<META>の新型エージェントAIの登場もあって、足もとでAI・半導体関連の株価は見直しが進んでいる。それでも一時は35倍前後まで上昇していた日経半導体指数構成銘柄の平均PERは17倍前後の水準にとどまっている。金利高の恩恵を受ける銀行や商社とともに、好決算が予想される東京エレクトロン <8035> [東証P]、アドバンテスト <6857> [東証P]、キオクシアホールディングス <285A> [東証P]などの主力銘柄に、資金が再び流入する展開となるはずだ。
(聞き手・樫原史朗)
<プロフィール>(はやし・たくろう)
証券系調査機関での企業アナリストを皮切りに、テクニカルアナリスト、市場分析業務などに従事。国内保険会社にて国内株式を中心としたファンド運用や、為替トレードや外債投資を手掛けた後、2004年コスモ証券に(再)入社。自己売買部門での短期運用業務を担当後、2008年から日本株市場分析に従事。テレビ東京モーニングサテライトなどメディア出演多数。日本証券アナリスト協会認定アナリスト。
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