大塚竜太氏【日経平均一時7万円回復、10月は最高値圏突入か】 <相場観特集>
―AI・半導体関連への投資資金回帰で上昇加速期待高まる―
5日の東京株式市場では、半導体関連を中心に買いの勢いが強まり日経平均株価は前引け時点でフシ目の7万円大台を回復した。後場は伸び悩んだものの、終始買い気の強さが際立った。前週末の米国株市場ではエヌビディア<NVDA>が上場来高値を更新、半導体銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)もマドを開けて買われ約3ヵ月ぶりの高値圏に浮上しており、これを受けて東京市場でも追い風が強い。10月相場は海外投資家が日本株に対する買い攻勢を強める月としても知られる。日経平均の上値追い基調は更に強まるのか。また、物色対象として有力視される銘柄やセクターは。今回は東洋証券の大塚竜太氏に見通しを語ってもらった。
●「7万円大台ラインは通過点、最高値更新から一段高へ」
大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)
週明けの東京株式市場は大きく強気優勢に傾き、日経平均株価は一時7万円大台乗せを果たしたが、今後も基本的に上値指向の強い地合いを予想している。早晩、6月25日につけた7万2366円(終値ベース)の史上最高値更新が見込まれるが、今月中に上値は7万4000円前後まで伸ばす可能性があるとみている。また、スピード警戒感からいったん調整局面を迎えても、押し目買いニーズが下値を支え、月内の下限ラインは6万6500円前後がメドと考えている。
前週末2日に開示された9月の米雇用統計は非農業部門の雇用者数が2万9000人増と市場コンセンサスを大幅に下回った。これを受けて、米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利上げ観測の後退につながり、同日の米国株市場はNYダウなど主要株価指数が揃って上昇した。もっとも、米国では大手IT企業の社債ラッシュが反映するように、AI関連の資金需要が極めて強い。また、トランプ米政権下での“究極の公共投資”といってもよい軍事部門への資金投入などで、米景気が弱くなることは当面考えられない。したがって金利上昇との綱引きではあるが、AI周辺の銘柄が今後も全体相場を牽引していく形で全体指数も更なる高みを目指すことが想定される。
一方、日本の場合は日銀の利上げに対する警戒感があるものの、現状は引き続き緩和的な水準が維持されている状況といってよい。ターミナルレートとしては2.0%前後がコンセンサスと思われるが、今は政策金利が1.25%程度に過ぎない。ここからの金利上昇は経済情勢の正常化(デフレ脱却)が順調に進んでいる証(あかし)と考えておくところで、株式市場におけるネガティブな思惑が膨張していく可能性は低いだろう。
物色対象は足もとで AI・ 半導体関連株への物色の勢いが増幅されている。AI脅威論がクローズアップされるなか、開発減速に対する必要性が叫ばれてはいるが、実際にその方向が現実味を帯びることはないであろう。AI・半導体分野の主力銘柄について時間差はあっても一様に上値を追う展開を予想する。例えばアドバンテスト <6857> [東証P]は順張り対象として引き続きマークされる一方で、目先動きの鈍いキオクシアホールディングス <285A> [東証P]も押し目買いに徹して中期で報われる公算は大きい。
このほか、国家安全保障の観点から防衛関連も水準訂正余地が改めて意識されるはずで、三菱重工業 <7011> [東証P]、川崎重工業 <7012> [東証P]などは安値買いの好機といえる。金利上昇を横にらみに三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]などのメガバンクも継続注目したい。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。
株探ニュース