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金は軟調、米イランの合意成立なら支援要因に <コモディティ特集>

特集
2026年6月3日 13時30分

ドル建て現物相場は5月、米国とイランの戦争終結に向けた協議がまとまらず、軟調となった。米中首脳会談後にトランプ米大統領が合意に向けて圧力をかけ、攻撃も示唆したが、湾岸諸国が攻撃停止を要請した。その後、米軍が自衛目的で攻撃しイランも反撃したことから交渉決裂に対する懸念が出、金は4366ドル台まで下落し、3月26日以来の安値をつけた。しかし停戦を60日間延長し、イランの核開発問題を協議する覚書で暫定合意すると下げ一服となった。ただ、米大統領が濃縮ウラン引き渡しについて具体的な詳細の修正を要求するなど、6月に入っても協議は続いている。

一方、米国の仲介でイスラエルとレバノンの停戦合意が成立したが、イスラエルはレバノン南部で地上作戦を拡大した。イランが合意違反として協議を停止したが、米大統領が親イラン武装組織ヒズボラに仲介者を通じてイスラエルへの攻撃を停止することで合意した。暫定合意がまとまれば、戦争終結期待から金買いが再開するとみられる。

ベッセント米財務長官は、イランに対して米国が譲歩できないレッドラインとして「ホルムズ海峡の自由な航行、濃縮ウランの引き渡し、核兵器開発の禁止」を改めて示した。一方、イランは凍結資産の半分の解除を要求したが、米共和党強硬派から反対され、米政権は板挟みとなっている。米議会の動向も当面の焦点である。

米国とイスラエルのイラン攻撃開始から80日が経過するなか、米議会の承認を得ずにイランとの戦争を継続することを認めない「戦争権限決議案」が米下院で5月21日に可決寸前となったが、共和党指導部は6月上旬まで採決を延期した。決議案が可決されればイランが強硬姿勢を継続するとみられる。

●ウォーシュ氏の米FRB議長就任も年内利上げを織り込む

ケビン・ウォーシュ氏が5月22日、米連邦準備理事会(FRB)の新議長・理事として就任宣誓を行った。米国ではイラン戦争の長期化によるインフレ懸念などを受けて年内利上げの可能性が出ており、金の上値を抑える要因になっている。4月の米個人消費支出(PCE)価格指数は前年比3.8%上昇し、2023年5月以来の大幅な伸びとなった。また、ウォラー米FRB理事は「政策声明の緩和バイアスの文言を削除することを支持する」と述べた。

CMEのフェドウォッチでは、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での25ベーシスポイント(bp)利上げの確率が39.0%(前月9.1%)となった。一方、ガソリン価格高騰に加え、食料品価格が上昇し、次のインフレの波になるとみられている。金がインフレヘッジとして買われるかどうかも確認したい。

●イラン戦争の長期化見通しで金ETFから投資資金が流出

世界最大の金ETF(上場投信)であるSPDRゴールドの現物保有高は、6月1日に1028.86トン(4月末1039.20トン)となった。イラン戦争の長期化見通しなどを受けて投資資金が流出した。

一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、ニューヨーク金先物市場でファンド筋の買い越しは5月26日時点で15万4260枚(前週15万9833枚)となった。イラン戦争の長期化見通しを受けて買い越しは縮小した。ただ、米国とイランの暫定合意がまとまれば買い直されるとみられる。

(MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行)

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