【和島英樹のマーケット・フォーキャスト】─日米金融政策と金利動向を注視、物色の主軸は好業績銘柄
「日米金融政策と金利動向を注視、物色の主軸は好業績銘柄」
●上値重いハイテク株、高配当銘柄への物色強まるか
9月の東京株式市場は、日米の金融政策に関心が高まる展開が想定される。金利の上昇局面では、ハイテク株が買われにくい地合いとなる。一方、国内の企業業績は想定以上に好調に推移している。この面からは下値不安は乏しい。
9月の日経平均株価の予想レンジは6万3000円~6万9000円。
主なスケジュールでは、米国で1日に8月ISM製造業景況指数、4日に8月雇用統計、10日に8月生産者物価指数、11日に8月消費者物価指数、16日にFOMC(米連邦公開市場委員会)結果発表、8月小売売上高など。日本では、1日に4~6月期法人企業統計、3日に30年国債入札、18日に日銀金融政策決定会合の結果発表などが予定されている。28日が3月期決算企業の配当権利付き最終日(29日に権利落ち)になるため、高配当銘柄への物色意欲が高まる公算がある。
金融政策では米国は変更なしとの見方が多いものの、ウォーシュFRB(米連邦準備制度理事会)議長が先行きについての見通しを示すかがポイントになる。この面で雇用統計の結果への関心が高い。日銀は9月の金融政策決定会合で0.25%の利上げに進む可能性が大きい。為替市場の動向とともに注目される。
米国では金利の上昇を背景に、ハイテク株がやや軟調になっている。国債の利回りと株式益利回り(PER:株価収益率の逆数)との比較で、資金が債券市場に向かっているとの見方もある。ちなみに、株式益利回りは「1株利益÷株価×100(%)」で計算し、これと債券(主に10年債)利回りを比較する。なお、PERは「株価÷1株利益(倍)」。 半導体・AI(人工知能)関連は先行きの業績成長を評価するため、PERが相対的に高くなる(株式益利回りが低くなる)傾向があり、金利の上昇に敏感になりやすい。これは日本でも同様だ。この点で、日米の金融政策と金利の動向が注視される。
国内企業の業績は好調だ。大手調査機関によると、2027年3月期の第1四半期決算は、TOPIX(東証株価指数)ベースで営業利益が前年同期比23%増となった。特に半導体やAI関連を含む電気機器のほか、非鉄金属、 海運などが伸びている。通期でも前期比12%増が見込まれる。第1四半期時点で上方修正に進む企業が少なくなかった。日経平均株価の予想1株利益は決算発表直前の7月23日は3671円だったが、8月17日には3919円まで上昇している。直近のPERは17倍程度。日経平均株価が史上最高値7万2366円(終値ベース)を付けた6月25日は18.45倍だった。
一方、TOPIXは決算発表の開票が進むのに歩調を合わせて上昇し、最高値は8月14日の4197.2ポイント(終値ベース)。値がさハイテク株の比重が高い日経平均株価は上値が重いが、TOPIXは時価総額が大きく流動性の高い主力銘柄の業績好調を反映している。
●テーマではカプセルトイにも目配り
物色の動向では、やはり好業績銘柄が軸となる。第1四半期決算で特に好決算だったのがリクルートホールディングス <6098> [東証P]、ゼンショーホールディングス <7550> [東証P]、イビデン <4062> [東証P]、アドバンテスト <6857> [東証P]、カプコン <9697> [東証P]、セイコーグループ <8050> [東証P]、キーエンス <6861> [東証P]、ミズノ <8022> [東証P]、日本農薬 <4997> [東証P]、明治ホールディングス <2269> [東証P]、J-オイルミルズ <2613> [東証P]など。
また、9月の配当取りの動きが活発化する可能性がある。PBR(株価純資産倍率)が低く利回りが相対的に高い日本郵船 <9101> [東証P]、商船三井 <9104> [東証P]、川崎汽船 <9107> [東証P]の海運株や、日本製鉄 <5401> [東証P]、JFEホールディングス <5411> [東証P]の鉄鋼株はしっかりとした展開となりそうだ。このほか、ホンダ <7267> [東証P]、中越パルプ工業 <3877> [東証P]、プレス工業 <7246> [東証P]、小森コーポレーション <6349> [東証P]、UBE <4208> [東証P]なども該当する。
半導体・AI関連株の上値は重いものの、第1四半期の業績はおおむね好調だった。また、注目されたエヌビディア<NVDA>の決算も市場予想を大きく上回った。国内では半導体検査装置のアドバンテストは大幅な増額修正を背景に、6月の最高値を更新している。ディスコ <6146> [東証P]、東京エレクトロン <8035> [東証P]、SCREENホールディングス <7735> [東証P]、フジクラ <5803> [東証P]、古河電気工業 <5801> [東証P]、村田製作所 <6981> [東証P]、JX金属 <5016> [東証P]などの押し目は中長期をにらめば魅力的な水準といえそうだ。
日銀の利上げは、日本の景況感の良好さを示すものといえる。借り入れ需要増により採算の改善が期待される三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]、三井住友フィナンシャルグループ <8316> [東証P]、みずほフィナンシャルグループ <8411> [東証P]のメガバンクのほか、地方銀行株にも妙味がある。
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(2026年8月28日 記/次回は9月27日 配信予定)
株探ニュース