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次世代電池の最右翼、「全固体電池」関連が株高エネルギー蓄積中 <株探トップ特集>

特集
2026年8月27日 19時30分

―自動車・材料メーカーによる攻めの投資相次ぐ、好業績銘柄中心に物色意欲拡大へ―

次世代電池の有望株とされる「全固体電池」の実用化が刻々と迫っている。全固体電池は液体を用いる従来品と比べて、安全性及び耐熱・耐寒性、充電速度や容量などの性能が優れており、電気自動車(EV)の利便性向上や過酷な宇宙環境などで活躍が期待されている。今年に入って出光興産 <5019> [東証P]が大型パイロット装置の建設を始めるなど材料メーカーの攻めの姿勢も目立っている。株式市場において関連銘柄は根強い人気を保っており、好業績銘柄を中心に物色意欲の高い状態が続いている。

●安全性高く宇宙やドローンへの活用期待も

電池には一次電池と二次電池がある。二次電池は繰り返し使用できるのが特徴で、正極と負極の間をイオンが移動し、充放電を実現する仕組みとなっている。このイオンが通る場所を電解質と言い、現在は液体が使われている。これを固体に置き換えたものが全固体電池だ。固体の電解質は液漏れの心配がなく、可燃性の有機溶媒を用いる液体電解質と比べ発火リスクが少ない。スマートフォンに使用されているリチウムイオン二次電池に起因する火災が急増するなか、全固体電池は安全性という強みを併せ持つ。

全固体電池は実用性でもメリットが大きい。固体電解質は液体電解質と比べ高温に強く、発熱を過度に気にせず大きな電流を通すことができ、充電時間を短くできる。発火防止のための頑丈な冷却機構などが不要になることで構成部材が減る分、電気を貯める役割を果たす「活物質」にスペースを振り向けられるため、高容量化も実現できるとされている。こうした利点を活用することで航続距離が長く、充電時間の短いEVの市場投入が可能になる。

日本を代表する自動車産業で最大手のトヨタ自動車 <7203> [東証P]や日産自動車 <7201> [東証P]、ホンダ <7267> [東証P]はいずれも全固体電池の研究開発を進めている。スズキ <7269> [東証P]は7月1日付で、宇宙や高温・真空状態などの特殊用途向けに強みを有するカナデビア <7004> [東証P]の全固体電池事業を取得した。全固体電池はEVにとどまらず、 ドローンや医療機器など幅広い分野での活躍が期待されている。

川上に位置する材料メーカーも、全固体電池を成長領域として積極的に経営資源を投入している。前述の出光興産はトヨタが開発する全固体電池に使用される固体電解質を年間数百トン製造する大型パイロット装置を建設すると1月に発表。トヨタが開発する全固体電池を搭載したEVで使われる予定だ。新大型装置の設計・調達・施工(EPC)は千代田化工建設 <6366> [東証S]が引き受け、2027年中に完工させる。加えて、出光興産と千代建は同月に固体電解質の安定的な量産体制を迅速に構築することを図り、戦略的パートナーシップを締結したことを発表した。こうした動きは経営リソースの豊富な大手企業だけにとどまらない。

●新時代の電池を支える企業群

大阪ソーダ <4046> [東証P]はグローバルニッチトップ(GNT)を狙う事業戦略を進めており、これまで半導体封止材などに使われるアリルエーテル類や医薬品精製材料である特殊シリカゲルなどで世界トップシェアを実現してきた。次世代の全固体電池用高イオン伝導性材料を次なるGNT製品と位置付けており、35年までに新たな収益の柱へ成長させる方針を掲げている。27年3月期第1四半期(4~6月)連結決算は糖尿病治療薬や肥満治療薬向けの医薬品精製材料などが伸びたヘルスケア事業を中心に、大幅な増収増益で好スタートを切った。決算発表をきっかけに株高に弾みをつけている。

マクセル <6810> [東証P]は民生用から産業用まで多様な電池を製造・販売している。今年6月には全固体電池のFA(ファクトリーオートメーション)向け汎用モジュールの開発が完了し、販売を加速している。8月25日に塩化チオニルリチウム電池(ER電池)と互換性を持つ全固体電池モジュールと専用充電器を開発したと開示。業績も好調で、27年3月期第1四半期(4~6月)は機能性部材料事業や光学・システム事業で大幅な増収増益を達成し、連結営業利益は前年同期比44.8%増の28億7200万円となった。通期計画(100億円)に対する進捗率は約29%に上っており、上振れへの期待感が高まっている。

自動車用電池を主力とするジーエス・ユアサ コーポレーション <6674> [東証P]は、全固体電池について30年ごろの実用化を目指している。第1四半期(4~6月)において国内外の鉛蓄電池事業が想定以上に好調だったことから、8月5日に27年3月期連結業績予想の上方修正を開示。営業利益は減益予想から一転、過去最高益の連続更新を見込む。

第一稀元素化学工業 <4082> [東証P]は25日、レアメタル「ハフニウム」の国内製造技術を確立したことを発表し、その後連日のストップ高を演じている。ハフニウムは全固体電池と現時点で無関係としているが、同社はリチウムイオン電池の正極を保護するジルコニウム化合物を製造・販売する企業として知られている。9月9日から11日には千葉・幕張メッセで開催される展示会「BATTERY JAPAN(二次電池展)」において、全固体リチウムイオン電池向け固体電解質粉末「NDLZシリーズ」を出展。同シリーズはリチウム・ランタン・ジルコニウム酸化物をベースとしており、高いリチウムイオン伝導性と優れた化学的・熱的安定性が特長という。27年3月期第1四半期(4~6月)は自動車排ガス浄化触媒用途を中心に売り上げが拡大し、大幅な営業増益で着地。営業利益の上半期計画(14億円)に対する進捗率は約82%に上った。

電気絶縁用紙大手のニッポン高度紙工業 <3891> [東証S]は固体電解質層のシート化・薄型化を可能にし、全固体電池の量産化を支援する特殊素材を手掛ける。27年3月期第1四半期(4~6月)連結営業利益はAIサーバー関連の需要が好調に推移したことで、前年同期比2.1倍の17億7700万円へと急拡大。決算発表と同時にもともと5期ぶりの過去最高益更新を見込んでいた通期営業利益予想を16億円増額の60億円に引き上げた。

HIOKI <6866> [東証P]は品質管理や研究開発時の実験データの記録などに活用される電気計測機器を展開。全固体電池の研究を支える粉体インピーダンス測定システムを手掛けている。同システムは実験環境を外部から隔離する小型の密閉室「グローブボックス」に設置できるコンパクトさでありながら、全固体電池の実験に必要なプロセスを完結する性能を備えており、作業効率の向上やサンプル取り出しに伴う材料変質リスクの抑制を実現する。6月5日に通期業績予想の上方修正を発表し、各利益で3期ぶりとなる過去最高益を更新する見通しになった。データセンターやEV・ESS(エネルギー貯蔵システム)向けバッテリーの需要継続と高水準な受注残を背景に大幅な増収増益を達成する見通しだ。

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