【和島英樹のマーケット・フォーキャスト】─AI・半導体関連への関心が再燃、主力が出直りみせるか
「AI・半導体関連への関心が再燃、主力が出直りみせるか」
●TOPIXは最高値更新の可能性も
10月の東京株式市場は日米の金利上昇傾向を警戒しつつも、企業業績への期待などを手掛かりに堅調な展開を想定する。物色面では米国株式市場でナスダック総合指数が6月の最高値を更新してきたことで、ハイテク株への関心が高まっている。
日経平均株価の予想レンジは6万2000円~7万円。TOPIX(東証株価指数)は8月14日の過去最高値4197ポイント(終値ベース)を更新する可能性がある。
スケジュールでは、米国で10月1日に9月ISM製造業景況指数、2日に9月雇用統計、14日に9月消費者物価指数、15日に9月小売売上高、9月卸売物価指数、28日にFOMC(米連邦公開市場委員会)結果発表、29日に7-9月期GDP(国内総生産)などが予定されている。日本では9日にオプションSQ(特別清算指数)算出、14日に日銀が「市場調節に関する意見交換会」を開催、23日に9月消費者物価指数、30日に日銀金融政策決定会合の結果発表など。また、13日~16日にデジタルイノベーションの総合展「CEATEC 2026」(「ジャパンモビリティショー」併催)が開催される。
FOMCの次回会合は12月8日~9日、日銀金融政策決定会合は12月17日~18日で、11月の開催はない。前回のFOMCでは年内にあと1回の利上げが想定されているほか、日銀も追加利上げを示唆する会見内容だった。10月の金融政策の動向への関心が高い。
7-9月期決算の発表が米国では下旬、日本では月末から本格化してくる。日本では9日に安川電機 <6506> [東証P]の第2四半期(6-8月期)の決算発表が予定されており、メーカー決算の前哨戦として市場の関心が高い。
●「ノーベル・ウィーク」をにらみ関連株にも目配りを
物色面では、決算発表を機にAI(人工知能)・ 半導体関連に関心が向かうことになりそうだ。製造装置のアドバンテスト <6857> [東証P]、東京エレクトロン <8035> [東証P]、パッケージ基板のイビデン <4062> [東証P]、後工程材料のレゾナック・ホールディングス <4004> [東証P]、積層セラミックコンデンサ(MLCC)の村田製作所 <6981> [東証P]、NANDフラッシュメモリのキオクシアホールディングス <285A> [東証P]など、主力株が出直りに向かう可能性がある。
CEATECへの出展企業では安川電機、富士通 <6702> [東証P]、NEC <6701> [東証P]、太陽誘電 <6976> [東証P]、TDK <6762> [東証P]などをチェックしたい。
5日からはノーベル賞が相次いで発表される「ノーベル・ウィーク」だ。5日に生理学・医学賞、6日に物理学賞、7日に化学賞、8日に文学賞、9日に平和賞、12日に経済学賞が発表される予定となっている。
昨年は北川進・京都大学特別教授が、「多孔性金属錯体の開発」で海外の2名と共同で化学賞を受賞した。今年の日本人受賞にも期待がかかる。ノーベル賞の前哨戦として注目されるのが、イギリスの学術情報サービス企業クラリベイトが発表する「クラリベイト引用栄誉賞」だ。今年のクラリベイト引用栄誉賞は22人が選出されたが、日本人では安達千波矢・九州大学主幹教授が物理学分野で米研究者と共同受賞している。高効率な次世代の有機発光ダイオード(OLED)の実現につながる研究で、具体的には熱エネルギーの助けを借りて発光させる技術「熱活性化遅延蛍光(TADF)」を開発したことが評価された。
日本曹達 <4041> [東証P]は2024年11月、安達教授らが設立した九州大学発スタートアップのKyulux(キューラックス)とTADFに関する量産体制構築に向けて資本業務提携を締結している。資本参加するとともに、プロセス開発と設備投資を実施。世界初となるTADFの量産と安定した供給体制の実現を目指す。これとは別に、東レ <3402> [東証P]と出光興産 <5019> [東証P]も共同でTADF材料の開発を行っている。
一方、ノーベル生理学・医学賞につながる賞として、米国で最も権威がある医学賞とされる「ラスカー賞」が挙げられる。今年は9月9日に発表され、3部門のうちの一つである「基礎医学賞」に、筑波大学の柳沢正史教授がスタンフォード大学の教授とともに選出された。柳沢氏は睡眠の仕組みを解き明かす神経科学の基礎研究を行っている。睡眠の制御に関わる「オレキシン」という脳内物質を発見。突然、強い眠気に襲われる「ナルコレプシー」という睡眠障害にこの物質が関与していることを突き止め、治療薬の開発につながった点が評価された。
武田薬品工業 <4502> [東証P]は26年2月に、FDA(米食品医薬品局)が睡眠障害の一つである「ナルコレプシータイプ1」を対象とした「TAK-861」(開発コード)の新薬承認申請を受理し、優先審査に指定したと発表している。これとは別にエーザイ <4523> [東証P]やネクセラファーマ <4565> [東証P]などもオレキシン受容体作動薬の開発を行っている。
また、ラスカー賞のひとつである「臨床医学賞」には、血友病の治療薬を開発した中外製薬 <4519> [東証P]の3名の研究者が選出された。
このほか、毎年のように候補に挙がるところでは、まず、化学賞で桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授。「ペロブスカイト」と呼ばれる結晶構造を用いた太陽電池を発明したことが知られている。ペロブスカイト太陽電池関連では積水化学工業 <4204> [東証P]のほか、原料のヨウ素では伊勢化学工業 <4107> [東証S]、K&Oエナジーグループ <1663> [東証P]が挙げられる。
文学賞では村上春樹氏。書店の丸善CHIホールディングス <3159> [東証S]、文教堂グループホールディングス <9978> [東証S]の株価が同賞の発表前に動意づく傾向がある。
(2026年9月25日 記/次回は11月1日 配信予定)
株探ニュース