概要・株価
チャート
ニュース
かぶたん ロゴ
PR

明日の株式相場に向けて=「MLCC狂騒曲」AI特需の旋律に乗る

市況
2026年5月28日 17時30分

きょう(28日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比306円安の6万4693円と反落。早いもので実質6月相場入りとなったが、相変わらず投資家の思惑から外れた地合いに振り回される展開が続く。前日の米国株市場でNYダウが最高値を更新したほか、ナスダック総合株価指数も小幅ながら5連騰を記録し最高値街道を走っている。その流れからすれば、日本株が米株市場のリスクオンに追随してもおかしくはなかったものの、朝方から日経平均は上下どっちつかずの煮え切らない動きとなり、後場に入ると急速に下放れる格好となった。中東情勢に関しては、あまりにも軽いトランプ発言に振り回されるのもどうかと思うが、何か動きが出ればそれに反応せざるを得ないというのが現状である。

きょうは、日本時間朝方に米軍によるイランの軍事施設への攻撃が伝わったが、対してイラン側はその報復として米空軍基地を攻撃したと発表し、これまでの戦闘終結に向けた交渉が進展しているという観測の信憑性が疑われるような状況となっている。正直、全体相場はイラン情勢に神経を集中して一喜一憂しているようには到底見えないのだが、それは人間の感覚であって、AIアルゴリズムによるヘッドライントレードのスイッチが入ってしまえば、残念ながら怪我をしたくない“生身の投資家”もそのトレンドに従って対応するよりない。それがまた全体相場にバイアスをかけることになる。きょうは中東絡みでアルゴ売りが作動したが、その後は踵(きびす)を返すようにショートカバーが機能する形となった。日経平均は後場に入り1100円超の下落をみせ6万3000円台まで沈んだ後は下げ渋り、結局6万4000円台後半で取引を終えている。

6月は日銀の金融政策決定会合が15~16日の日程で行われ、半歩遅れて16~17日の日程でFOMCが開催される。この日米の金融会合が6月相場のメインイベントともいえるが、日銀の方はおそらく0.25%の利上げに動く公算が大きい。仮にここで見送られたとしても7月末の会合での利上げは濃厚といえ、せいぜい1カ月のズレで株式市場もそこら辺の認識は浸透していると思われる。一方、FOMCの方はひと頃の利下げ期待が雲散霧消している。トランプ米大統領も金融政策は新FRB議長であるウォーシュ氏に委ねるとしており、ガソリン価格の上昇が気になって自身の支持率低下につながる利下げ要請はしにくくなったことが窺われる。FOMCの方はかなり高い確率で現状維持が濃厚だが、記者会見ではウォーシュ氏がタカ派寄りの発言をする可能性があるため、こちらの方にマーケットの視線が向かうことになる。

そうしたなか、日本時間今晩に開示される4月の米PCEデフレーターが注目されるが、コンセンサスとしては原油市況高騰に伴い前年同月比で3.9%増と高水準が予想され、コア指数でも3.3%増と高止まりが見込まれる。しかし、「この数字が目を見張るくらい上振れでもしない限り、ウォーシュ氏のデビュー戦で利上げというセンセーショナルなスタートは99%ないといえる」(中堅証券ストラテジスト)という見方だ。

個別株に目を向けると、これまで相場の牽引役を担っていたAI・半導体の主力株は総じて利食い優勢だったが、一斉に売り込まれているということではなく、AIデータセンター周辺で循環物色が行われているという印象が強い。ここにきて強烈に投資マネーを誘引しているのが、積層セラミックコンデンサー(MLCC)関連及びその周辺銘柄で、きょうは売買代金上位組で、同テーマの旗艦銘柄である村田製作所<6981>や太陽誘電<6976>、TDK<6762>などの株価の強さが象徴的であった。これらと併せてニチコン<6996>あたりも継続注目しておきたい。

このほか、MLCCの素材関連にも物色の矛先が向いている。4月にも複数回取り上げたニッカトー<5367>が激しい値動き。また、MLCC材料(チタン酸バリウム)供給の合弁会社を村田製などと設立している石原産業<4028>の戻り足に勢いがあり、中期的に要マークといえそうだ。更に、MLCCと切っても切れない関係にあるのが水晶で、こちらは既に日本電波工業<6779>が急速人気化の経緯をたどっており、大真空<6962>もこれに追随する動きをみせている。MLCCと同様、AIデータセンターに絡んでもう一つホットスポットを挙げるとすれば蓄電池(電力ソリューション)関連ということになる。パナソニック ホールディングス<6752>、ジーエス・ユアサ コーポレーション<6674>などが代表格だが、これ以外にレノバ<9519>や正興電機製作所<6653>といった銘柄に、新たな視点で投資資金が食指を動かすケースも考えられる。

あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に4月の失業率、4月の有効求人倍率、5月の都区部消費者物価指数(CPI)、4月の鉱工業生産指数速報値、4月の商業動態統計が開示される。前場取引時間中には3カ月物国庫短期証券の入札と2年物国債の入札が予定。後場取引時間中には4月の自動車輸出実績、5月の消費動向調査、4月の住宅着工統計が発表。更に取引終了後の夜には為替介入実績(4月28日~5月27日)が公表される。海外では5月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)が発表されるほか、ボウマンFRB副議長の講演が予定されており、その発言内容に耳目が集まる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集