概要・株価
チャート
ニュース
かぶたん ロゴ
PR

坪井裕豪(大和証券)が斬る ―どうなる?半年後の株価と為替―

特集
2026年8月14日 13時00分

日米の株式相場は乱高下を伴いつつ高水準で推移している。米国とイランは戦闘終結の合意と破綻を繰り返し、株式や商品のマーケットを揺さぶっている。外国為替市場では日米が協調介入を実施し、過度の円安や米金利上昇への波及を抑制しようと躍起になっている。トランプ米大統領が「就任から24時間以内に終わらせる」としていたロシアによるウクライナ侵攻も収束のメドはつかない。米国のインフレ懸念も根強く、金利上昇を受けてハイテク株が大幅に下落する場面もあった。世界の政治経済が混迷を深める中、アナリストやエコノミストなどの専門家は、「半年後の株価」や「半年後の為替」をどう見ているのか。インタビューを通じて、著名アナリストに予測してもらい、その背景を詳報する。第52回は、大和証券の坪井裕豪チーフストラテジストに話を聞いた。

●坪井裕豪(つぼいゆうご)

大和証券 投資情報部 チーフストラテジスト。2004年大和証券入社。2009年より投資情報部にて主に外国株式リサーチ業務を担当。米国株だけでなく香港やインドなど新興国銘柄資料も執筆。2013年に大和証券キャピタルマーケッツアメリカに赴任。帰国後エクイティ営業部を経て、2022年より投資情報部ストラテジー課で課長、25年から現職。15年にわたり内外株式マーケットの調査業務に携わっている。

坪井裕豪氏の予測 4つのポイント
(1) 半年後の日経平均株価は8万2000円程度
(2) 半年後のS&P500株価指数は8500ポイント程度
(3) 日米協調介入による円高は、現時点では日本の企業業績に大きな影響はない
(4) 注目するセクターは米国ではハイパースケーラー、日本では自動車、金融機関など

―― 米国・イスラエルのイラン攻撃によって株式相場は大きな影響を受けつつも、高水準で推移しています。半年後(2027年2月末)の日米の株価水準をどう予測しますか。

坪井:私は半年後の日経平均株価を8万2000円程度、S&P500株価指数は8500ポイント程度だと予測しています。米国の大統領選の1年前は株式相場が上昇基調になりやすい年です。中国の共産党大会が開催されることもあり、来年半ばから後半までは株高になりやすいと思います。

―― 日米の株式相場は最高値を更新し続けるということですが、予測の背景を教えて下さい。

坪井:株高が続く最も大きな理由は、企業業績の好調です。例えば日本の上場企業は2026年度、27年度ともに経常利益が前の年度に比べて10%以上伸び、過去最高を更新する見通しです。日経平均株価の予想PER(株価収益率)の想定は19倍程度です。足元の日経平均株価のPERは16~17倍程度で、過小評価されていると考えています。

―― 日米両政府は7月31日の外為市場で円買い介入を協調して実施しました。介入が企業業績に与える影響をどう見ていますか。

坪井:当社が企業業績の予想の前提としている為替レートは1ドル=155円です。このため、現時点では企業業績の見通しを修正する必要はありません。日経平均株価と円相場の相関関係が今年2月の衆院選後ころから崩れてきています。つまり、円安・ドル高でも株価が上昇しないということです。日本経済の構造変化もあり、大幅な円安による影響は、企業収益の押し上げというプラス面に比べて、物価上昇のマイナス面の方が目立つようになってきています。

もちろん、1ドル=140円といった円高・ドル安になれば、企業収益の見通しも修正が必要になるでしょう。ただ、プラザ合意時のような日米欧の協調介入や大幅な円高になることは考えづらいように思います。実際、今回の米国の介入はドル売りではなく、ユーロ売りであり、中途半端なものでした。米国は過度な円安による金利高の波及を懸念しているものの、急激なドル安による物価高を望んでいません。日米当局は投機的な動きをけん制したものの、円安・ドル高基調は今後も続くと見ています。

【タイトル】

―― インフレ圧力の高まりや米連邦準備理事会(FRB)のウォーシュ新議長就任を受けて、株式市場では米国の金融政策にも注目が集まっています。

坪井:私は、FRBが来年6月くらいまでは政策金利を据え置くと見ています。6月の米個人消費支出(PCE)物価指数が前の月より減速するなど、米国の物価は粘着質のインフレにはなっていないためです。また、FRBは一度利上げをすると、その後、複数回利上げを繰り返して政策効果を見るのが通例です。今の状況で複数の利上げを実施すれば、景気への悪影響が大きすぎます。今秋に米国が中間選挙を控えていることも、ウォーシュ新議長を慎重にさせるでしょう。米政府もイランへの攻撃による原油高を懸念し、戦争の激化を避けているように見えます。

―― デフレに悩まされてきた日本でも物価上昇が定着してきました。

坪井:日本では物価が上昇し始めてから3年が経過しましたが、トランプ関税の発動後、企業が価格転嫁に積極的になっているように思います。この変化により、企業業績の改善が加速し、EPS(1株当たり利益)や株価に良い影響を及ぼしています。今後も価格転嫁と物価上昇は続きやすいでしょう。

―― 最近の株式市場では、時価総額の大きい半導体関連銘柄の値動きが指数全体を左右することが増えています。半導体は足元で好不況の波を越えた「スーパーサイクル」に入っているという指摘も出ていますが、今後の見通しは。

坪井:鉱工業生産指数の電子部品・デバイス工業の出荷・在庫などから見ると、半導体は来年半ばまでは拡張サイクルが続くと考えています。

―― 一口に半導体といっても、製造装置やメモリー、データセンター関連など多くの分野がありますが、今後も株価上昇が期待できる分野は。

坪井:半導体製造装置は株価が割安に放置されており、今後の上昇率が高い可能性があると見ています。データセンター関連でも省電力のケーブルなどを製造している企業の業績拡大が見込めると思います。メモリー関連はこれまでの業績拡大や株価上昇が急激だったため、新高値を更新するには少し時間がかかるかもしれません。

―― 注目するセクターや銘柄を教えて下さい。

坪井:米国では、GAFAM(アルファベット<GOOG>、アップル<AAPL>、メタ・プラットフォームズ<META>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、マイクロソフト<MSFT>)などのハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)です。これまではAI(人工知能)関連の過剰投資が懸念材料になり株価は割安でしたが、27年からはフリーキャッシュフローが改善すると見ています。日本では、AIを活用して生産性を向上させる側に注目しています。例えばトヨタ自動車 <7203> [東証P]など自動車、三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]といった金融機関です。ファナック <6954> [東証P]などフィジカルAI関連銘柄にも資金が集まりそうです。

(※聞き手は日高広太郎)

◆日高広太郎(ジャーナリスト、広報コンサルティング会社代表)
【タイトル】
1996年慶大卒、日本経済新聞社に入社。東京本社の社会部に配属される。小売店など企業ニュースの担当、ニューヨーク留学(米経済調査機関のコンファレンス・ボードの研究員)を経て東京本社の経済部に配属。財務省、経済産業省、国土交通省、農水省、日銀、メガバンクなどを長く担当する。日銀の量的緩和解除に向けた政策変更や企業のM&A関連など多くの特ダネをスクープした。第一次安倍内閣時の独ハイリゲンダムサミット、鳩山政権時の米ピッツバーグサミットなどでは日経新聞を代表して同行取材、執筆。東日本大震災の際には復興を担う国土交通省、復興庁のキャップを務めた。シンガポール駐在を経て東京本社でデスク。2018年8月に東証1部上場(現プライム市場)のB to B企業に入社し、広報部長。2019年より執行役員。2022年に広報コンサルティング会社を設立し、代表に就任。ジャーナリストとしても記事を複数連載中。2022年5月に著書「B to B広報 最強の戦略術」(すばる舎)を出版。内外情勢調査会の講師も務め、YouTubeにて「【BIZ】ダイジェスト 今こそ中小企業もアピールが必要なワケ」が配信中。

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集