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明日の株式相場に向けて=「バークシャー効果」を減殺する6万円プットの存在感

市況
2026年9月3日 18時04分

3日の東京株式市場で日経平均株価は4日続落。寄り付き天井ですぐに下げに転じると、その後は方向感を欠いた。終値は111円安。後場にフシ目の6万4000円を割り込み、一時552円安となったが、ザラ場ベースの7月安値と8月高値の3分の2押しの水準(6万3502円)を手前に下げ渋った。TOPIXは反発した。

国内の長期金利は午前の段階で2.960%まで低下したものの、30年物国債入札後に低下幅を縮小。金利の更なる上昇に対する警戒感はくすぶったままだ。戦費増加などを背景とする先進国の財政悪化懸念とともに、ハイパースケーラーによるAI関連投資の資金需要と、AIの普及による潜在成長率の押し上げ期待が世界的な金利の上昇要因となっている。ベッセント米財務長官が5月の訪日時に片山さつき財務相に対し、2時間以上にわたり、高市早苗政権のリフレ政策に不満を伝えたことも話題となっている。米国による内政干渉と憤るのは早計で、むしろ高市首相と距離を置く筋が、政策の軌道修正を図るべく米国の力を借りたとみるのが自然かもしれない。

中間選挙を控えるトランプ政権には、金利上昇を起点としたマーケットの混乱は致命傷となり得る。金利上昇の元凶が米国ではなく、日本にあるとすれば、保身につながるし都合がいい。一方で、高市首相が「転向」し、積極財政の御旗を降ろすかどうかは未知数だ。リスクフリーレートである日本の長期金利が再び3%台に乗せ、4%に向けてじりじりと上昇するシナリオは決して絵空事とは言えない。ベッセント財務長官の援護を受けた日銀は、今月の金融政策決定会合だけでなく、10月の会合においても0.25%幅の利上げに踏み切るとの見方が広がっている。金融株やバリュー株への資金シフトが継続するか注目される。

バリュー株のうち、3日の東京市場で投資家の視線が集中したのが5大商社株 だ。三菱商事<8058>は4%高で終了した。米バークシャー・ハサウェイ<BRK.B>がCNBCのインタビューで、5大商社株について「何十年も」保有する意向を示したことなどが刺激材料の一つとなった。バークシャーはこれまで円建て社債で調達した資金を5大商社株の投資に振り向け、低金利環境の利点と商社の株主還元力、更にドル高・円安効果を享受してきた。長期金利が30年ぶりの高水準に上昇しても、バークシャーの商社株に対するスタンスに変化がないのであれば、日本株にとっては少なくともマイナスの話ではない。

バークシャーは損保大手の東京海上ホールディングス<8766>にも出資をしている。市場には「短期的に資源価格が変動しても大手商社は局面を捉えて資産を入れ替え、自力で成長を遂げてきた。損保大手も海外向けM&Aを通じた成長シナリオが横たわっており、バークシャーのお眼鏡に適うことになった」(国内証券)との声がある。自力での成長力と、盤石な財務基盤の両方を兼ね備えている日本企業は、それほど多くはない。NTT<9432>やJR東日本<9020>、JR西日本<9021>といったインフラ関連が中心となる。第一ライフグループ<8750>やMS&ADインシュアランスグループホールディングス<8725>、SOMPOホールディングス<8630>など生損保大手に対するバークシャーのアプローチの有無も注視されている。

もっとも、今月は日米の金融政策決定会合のほか、11日は国内ではメジャーSQ(特別清算指数)算出日となる。日経平均・TOPIX先物9月限の最終売買日は10日で、残り5営業日だ。この間、米国では4日に8月雇用統計が公表される。公表後に米国の早期利上げ観測が高まった場合、米長期金利は5%へ向けて一段と水準を切り上げる可能性があり、その際の株式相場へのネガティブなインパクトが警戒されている。明日の東京市場は手掛けにくさが意識されるところだが、日経平均オプション9月限は権利行使価格6万円のプット(売る権利)の建玉が足もとで9700枚超に膨らんでいる。金利上昇の警戒が強まるなかで積み上がる6万円プットの存在が、投資家の慎重姿勢を強めている。先物に対して仕掛け的な売りが強まるリスクに留意が必要だ。

日程面では、4日は国内では7月全世帯家計調査が寄り前に公表されるほか、8月の輸入車販売が公表される予定。海外では独7月製造業新規受注とユーロ圏7月小売売上高、米8月雇用統計が発表される。(長田善行)

出所:MINKABU PRESS

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