劇的なる再加速へ! 国策大潮流「レアアース関連」シン・大化け候補 <株探トップ特集>
―金利上昇の煽りで売られた場面は天与の買い場、サプライチェーン革命が本格始動!―
レアアース関連株に再び動兆の気配が漂う。高市早苗政権の下で国家プロジェクトの大潮流が株式市場で改めて意識され始めている。今はまだ瀬踏みの状況にあるが、今年1月から2月にかけて相次いで人気化した銘柄群に対する投資資金の攻勢が、半年の雌伏期間を経て復活前夜にあるとするならば、投資家サイドとしてもここは仕込み好機として見逃せないチャンスといえる。
足もとでは世界的な金利上昇がネガティブサイドの材料として株式市場を揺らしているが、ここは冷静になるべきで、成長戦略のシナリオをすべて飲み込むようなことはあり得ない。国家存立にもかかわる経済安全保障の観点から、レアアース関連はまさに金利上昇に埋没しない国策テーマに位置付けられ、中期的にクローズアップされていく公算が大きい。
●レアアース確保に向けた「高市政権の本気」
採掘や精錬が困難な希少金属は一般的に レアメタルとして分類されるが、世界的にその確保が経済安全保障の観点から重要な課題となっている。主だったものではリチウム、チタン、プラチナ、タングステン、モリブデン、タンタル、コバルト、パラジウムなどが挙げられるが、これらを含む全34鉱種の中で特に希少な17種類の元素の総称がレアアースである。電子機器や磁石、触媒などの先端製品にごく少量を添加することにより、性能を大幅に向上させる効果を有しており、次世代AIインフラに必須のいわば“魔法の砂”といってもよい。見方によっては、生成AIの社会実装が本格化するなかで、縁の下の力持ち的な役割を担うことにもなる。
だが、このレアアースに関しては中国に偏在しているという現実が横たわっている。米国内務省に属する研究機関である米地質調査所(USGS)の調査データでは世界のレアアースの約70%を中国が生産し、埋蔵量も同国が世界の約5割を占有しているという。更に「精製」、つまり鉱石から希土類にするプロセスにおいて、中国は実に9割以上の世界シェアで寡占状態に近い状況となっている。高市政権が国産レアアースや同志国との国際連携に傾注しているのは、まさしく日本の経済を守るという観点から喫緊の課題と認識しているからにほかならない。
●4カ国連携・クアッドで際立つ日本の存在感
8月20日に中国税関総署が公表した貿易統計によると、7月の中国から日本へのレアアース磁石の輸出量は前年同月比で52.2%減の111トンと半減した。中国は経済活動に多大な影響を及ぼすレアアースを政治的圧力の具とする姿勢を前面に押し出している。総量として5カ月連続でフシ目の200トンを大幅に下回る状況が続いていることから、高市政権もこれを看過・放置することはできない状況にある。8月のデータは現状まだ見えないものの、日本が輸入するレアアース磁石は同様に低水準となる可能性が高い。
既に高市政権は、レアアースを含む重要鉱物やプラスチックのリサイクル強化に向け循環経済行動計画を4月に策定している。国の予算や金融支援、官民ファンドなどを呼び水に民間投資も呼び込み、2030年までに施設整備や技術開発へ総額約1兆円を投資する方針を明らかにしている。そして、いうまでもなくレアアースの確保は日本だけではなく、世界的な問題である。中国がレアアースの経済的依存関係を人質にしている状況下、日本を含む同志国は連携を急いでいる。日本と米国、インド、オーストラリアの4カ国の協力体制枠組みである「Quad(クアッド)」は、インド太平洋地域の平和・安全・経済的繁栄などを目的に設立されたが、対中戦略としての意味合いも強い。レアアースの採掘、分離・精製、加工、そして磁石などの製品化というサプライチェーン全域で中国に依存しない体制構築に乗り出している。このクアッドで、日本は持ち前の高度なレアアース加工技術と強力な資金力で貢献を図っていく構えだ。
●海底に眠る膨大なレアアースと代替技術が柱
そうしたなか、近年は海底に膨大な量のレアアースが眠っているという認識が広がっている。このテーマでメディアに取り上げられる頻度が非常に高いのが「南鳥島沖」である。南鳥島沖においては、今年1~2月に地球深部探査船「ちきゅう」によって試掘が実施され、引き揚げたレアアースを含む泥の分析結果を7月下旬に内閣府などが公表した。そこには地球上で極めて希少価値が高い中重レアアース(イットリウム・ジスプロシウム、ガドリニウムなど)が約54%も含有されていた。そのうち、イットリウムは半導体の製造プロセスや防衛用途で高水準のニーズがあるが、回収したレアアースの29.9%、ほぼ3割を構成していたことが明らかとなっている。高市政権では来年2月から大規模な実証試験を計画しており、株式市場でも遅かれ早かれ「レアアース・レアメタル」が投資テーマとして躍動する可能性が高い。
更に、レアアースというテーマに内包されるもう一つの重要な切り口として「レアアース代替(=レアアースフリー)」に絡む技術領域が注目されている。製品機能の高付加価値化でレアアースを使用せずに済めばそれに越したことはない。例えば自動車業界では、電気自動車(EV)の心臓部である高性能モーターでレアアース磁石に依存しない製品開発などが進められている。8月にはメルセデス・ベンツ・グループ傘下の英YASAは、重レアアース及びレアアースフリーのEV向け高性能モーター開発プロジェクト・レジリエンスを立ち上げマーケットの耳目を集めた。自動車業界に限らず、フィジカルAIの中核を担うロボティクス分野などでも、レアアース代替技術は重要視されており、ネオジム磁石を使わないサーボモーターの製品化などの動きが進捗している。
●東洋エンジと岡本硝子が海底採掘で脚光
個別株をみると、有力なレアアース関連に目される銘柄の多くが今年の年初から2月にかけて大きく株価水準を切り上げるケースが見受けられた。その代表的な銘柄群にスポットを当て、今後のテーマ買いのカギを探ってみる。
レアアース関連人気の先駆的存在として、東洋エンジニアリング <6330> [東証P]が挙げられる。同社はエチレンプラントを主力とした石油化学プラントや、電力プラントなどを幅広く手掛けるが、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の委託を受けた深海からのレアアース泥回収技術の開発で重要な役割を担い、南鳥島沖でのレアアース泥採掘事業に参画した実績が投資マネーの琴線に触れた。株価は昨年の年央から上昇トレンドに突入していたが、今年に入ってレアアース関連のテーマ買いで上げ足を加速、大発会から8連騰でストップ高も連発し、あっという間に時価総額を倍増させた。業績も27年3月期は黒字転換を見込むが、第1四半期(26年4~6月)は営業利益が前年同期比2.9倍の19億1700万円と急拡大している。株価2000円台は垂涎の拾い場であろう。なお、この東洋エンジと合弁関係にあるのが浮体式原油生産設備を建造する三井海洋開発 <6269> [東証P]だ。足もと9000円台前半の安値圏でもみ合うが、昨年11月に1万6720円、今年2月には1万6615円まで噴き上げた実績がある。
国産レアアースの深海から採掘するプロジェクトでは岡本硝子 <7746> [東証S]も活況高に沸き、1月中旬から2月上旬にかけて急騰パフォーマンスを演じた。同社が中心となり産学連携で開発した深海探査機「江戸っ子1号」がレアアース泥の採掘試験で海洋環境影響評価のモニタリングシステムとして採用されたことで、株価を突き上げるカタリストとなった。また、古河機械金属 <5715> [東証P]も同テーマで外せない銘柄である。古河グループの源流である同社は車載用クレーンや削岩機など土木・鉱山用機械を主力とするが、その独自技術を生かし18年からレアアースを回収する機材の開発に鋭意取り組んでおり、文字通りレアアース採掘における「ツルハシ銘柄」として存在感を示す。
●レアアースフリーの急先鋒、稀元素とミツバ
一方、レアアースフリーの切り口では第一稀元素化学工業 <4082> [東証P]が大きく化けた。電材向けジルコニウム化合剤大手メーカーで、自動車触媒では不動のグローバルニッチトップだが、レアアースを使用しないセラミクス材料の開発に成功し、これが株価の居どころを変える起爆剤となった。年初に1000円近辺にあった株価はわずか3週間弱で4400円まで駆け上がった経緯がある。同社は直近、新たな展開をリリースし株価を急動意させている。先端半導体などで使われるレアメタル「ハフニウム」を国内で製造する計画で、年内にサンプル提供を開始し、28年をメドに量産を目指すという。ハフニウムはシリコンに代わる絶縁膜材料として注目されており、生成AI時代のインフラ構築で採用が本格化する公算が大きく、同社の活躍余地は一段と広がる。
稀元素同様にレアアースフリーに絡む銘柄でミツバ <7280> [東証P]も見せ場がありそうだ。二輪車や自動車向け汎用電装品を手掛ける自動車部品メーカーだが、レアアースを使用しない車載モーターを開発、自動車用ワイパー向けで需要を開拓している。直近では自動車のサンルーフ開閉などに使うルーフモーターを開発し、既に独高級車メーカー向けに納入を開始したことを会社側が公表した。株価面の評価としてはPER5倍台でPBRが0.5倍台という究極の割安圏に放置されている。
●都市鉱山からの調達ならアサカ理研の出番
このほか、レアアースを確保する手段として「都市鉱山」も見逃せないエリアである。アサカ理研 <5724> [東証S]は独自の溶媒抽出技術を駆使して電子機器のデバイスに含有される貴金属を回収する。通常は金(ゴールド)などに目が行くが、同社はレアメタルやレアアースのリサイクル及び高純度回収に関する研究開発にも本腰を入れている。日本原子力研究開発機構(JAEA)と同社は、JAEAが開発したエマルションフロー法を使い、光学ガラス廃材などからレアアースを分離・精製することに成功、その純度は99.999%(ファイブナイン)と高い。業績面でも26年9月期は営業利益段階で前期比2.5倍の12億4000万円予想と劇的な変化で、18年ぶりにピーク利益を大幅に更新する見通しにある。同社と同類項の銘柄群として松田産業 <7456> [東証P]やAREホールディングス <5857> [東証P]なども併せて要注目となる。
このほか、レアアースを取り扱う非鉄商社のアルコニックス <3036> [東証P]にも目を向けておきたい。同社はネオジムやジスプロシウムなどを取り扱う商社として国内首位級のポジションを確保し、レアアース・レアメタルのリーディング企業としての地位を固めている。業績も抜群の変化率で26年3月期の営業4割増益に続き、27年3月期も前期比5割強の増益を見込む。営業利益で147億円予想は、22年3月期に記録したピーク利益110億2000万円を37億円近くも上回る水準。株価指標面でも割安感が際立つ。
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