明日の株式相場に向けて=海外筋の買い攻勢期待の10月だが用心も
きょう(30日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比1272円高の6万6753円と急反発。前日の引け際に日経平均は急速に下げ渋ったが、その延長線上にあるかのごとく逆回転した歯車が一気に加速、あっという間に6万6000円台後半まで水準を戻した。前日はザラ場に6万4000円台で推移する場面があったが、一転してきょうは6万7000円台回復まであと50円あまりに肉薄する場面があった。直近の東京市場は終値だけで判断すると大してボラティリティは高くないように見えるが、日中値幅を含めると結構目まぐるしい上下動が見て取れる。今は気迷い相場の渦中といってよく、至近距離であればあるほど全体の方向性を見極めるのは困難が伴う。
きょうは海外投機筋の先物絡みの買いが全体相場の方向性を支配したが、個別株物色意欲も旺盛だったといえる。プライム市場の値上がり銘柄数は大引け時点で1127と全体の7割強を占めたが、これ自体どうということはないものの、特筆すべきは売買代金上位を占めた人気性の高い銘柄への買いが顕著だったこと。売買代金上位50傑でみると値を下げたのは村田製作所<6981>、カプコン<9697>の2銘柄のみ、残り48銘柄は全部上昇しており、文字通りの全面高様相であった。9月は日経平均ベースで最もパフォーマンスの悪い月というレッテルが貼られていたが、しめてみれば月間で440円強上昇した。10月は海外投資家の買い攻勢が非常に高い確率で見込まれる特異月ではあるが、今年は天候同様に東京市場も異常気象と言えるような地合いが続いており、油断はならない。
そうしたなか、米国の長期金利上昇が止まらない。前日は一時5.29%台まで上昇し2007年6月以来約19年ぶりの水準。更に30年債利回りについては02年4月以来約24年ぶりの高みに到達した。ところが、経済指標との整合性が全くない。この日発表された8月の米雇用動態調査(JOLTS)では非農業部門の求人件数が707万9000件と事前コンセンサスを10万件以上下回った。更にJOLTSと同時刻に開示された9月の米消費者信頼感指数は81.9で市場予想を大きく下回り、こちらは14年以来約12年ぶりの低水準というから、ちょっとした事件である。
本当に米国景気は盤石なのか。「良い金利上昇」と「悪い金利上昇」がよく取り沙汰されるが、米国については前者とみている市場関係者は多く、株高を肯定するバックボーンともなっている。しかし、どうも様子がおかしい。確かに米ビッグテックをはじめとするAI関連周辺の企業業績はすこぶる好調なのだが、個人消費の息切れは明らかであり、これがタイムラグを経て企業のEPS低下に反映される、というネガティブシナリオを排除できる根拠は希薄である。とりあえず、FRBが重視するインフレ指標として、日本時間今晩9時半に開示される8月の米PCEデフレーターが注目される。そして、週末10月2日には9月の米雇用統計の発表を控えている。今週が株式市場にとって鬼門といわれるゆえんである。
きょうは韓国KOSPIが朝高後に値を消したが、日経平均は連動しなかった。前日の米半導体株高に追随というが、実際フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)の上昇率は1%台にとどまっており、これだけできょうの AI・ 半導体関連の一斉高を説明するには不十分だ。普通に考えると、日本時間あす早朝に開示される米半導体メモリー大手マイクロン・テクノロジー<MU>の好決算を先取りする動きということになるが、それにしてはキオクシアホールディングス<285A>の値動きが鈍すぎた。ちなみに、独占してきた売買代金トップの座はアドバンテスト<6857>に譲っているが、そのアドテストも株価をみれば1%高にとどまった。つまり、きょうの相場はAI・半導体が主役のようでそうではない側面も強かったということになる。それを示唆するのが業種別騰落で、値上がり1位が非鉄、2位が銀行、以下は金属、化学、情報通信、海運、卸売(商社)と続く。非AI株に循環物色の輪が広がっているのは、相場の懐を深くするポジティブ材料として捉えておきたい。
個別株に目を向けてみると、物色の裾野が広がるなかで意外とエネルギッシュな動きを見せているのが株価3ケタ台(1000円未満)の銘柄である。材料の出たテイクアンドギヴ・ニーズ<4331>はともかく、巴川コーポレーション<3878>が動兆、ジェイ・イー・ティ<6228>は突発的にストップ高を演じ、ジィ・シィ企画<4073>も値幅制限いっぱいに買われた。また、JUKI<6440>は値刻みこそ小幅だが上昇気流に乗っている。この流れで、マークしておきたい株価3ケタ銘柄をいくつか挙げると、まず半導体関連ではダイトーケミックス<4366>、自動運転関連ではJ-MAX<3422>や小野測器<6858>、生活防衛関連のワッツ<2735>、このほか地銀の勝ち組に移行したじもとホールディングス<7161>などに妙味がある。
あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に公表される9月の日銀全国企業短期経済観測調査(日銀短観)や日銀金融政策決定会合の「主な意見」(9月17~18日開催分)に関心が高い。このほか、週間の対外・対内証券売買契約も同時刻に開示。後場取引時間中には9月の新車販売台数(自販連)、9月の軽自動車販売台数(全軽自協)が発表される。海外では8月のユーロ圏失業率が開示されるほか、週間の米新規失業保険申請件数、8月の米建設支出、9月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数などが注目されている。また、ウィリアムズNY連銀総裁がディスカッションに参加予定だ。個別にナイキ<NKE>が6~8月期決算発表を行う。なお、あすは中国(上海・深セン)市場、香港市場は休場となる(中国市場は国慶節に伴い7日まで休場)。(銀)