桂畑誠治氏【最高値への再チャレンジはいつ? GW前の勘所】 <相場観特集>
―中東情勢次第で変わる風景、強気と弱気が入り交じる市場―
週明け20日の東京株式市場は日経平均株価が反発に転じた。前週末の欧州株市場がほぼ全面高だったほか、米国株市場ではハイテク株をはじめ買いが活発で、ナスダック総合株価指数は13連騰で史上最高値更新が続いている。これを受けて日本株もリスクオンとなったのだが、中東情勢は容易には解決の方向に向かわず、引き続き予断を許さない。投資家サイドも二の足を踏むところだが、ここからの株式市場をどう見るべきか。今月下旬からゴールデンウィーク明けにかけての相場展望について、第一ライフ資産運用経済研究所(第一生命経済研究所から社名変更)の桂畑誠治氏に話を聞いた。
●「中東の戦闘終結なら最高値更新から6万円台へ」
桂畑誠治氏(第一ライフ資産運用経済研究所 主任エコノミスト)
東京株式市場は前週末の欧米株高を引き継ぎ、日経平均が足もとリバウンド局面に移行したが、まだ見切り発車的な要素も強く5万9000円近辺は上値も重い状況だ。現時点でホルムズ海峡の事実上の封鎖が続いている状態で、今後この問題がどういう方向に動くかで株式市場の値動きも大きく左右されることになりそうである。
ホルムズ海峡に関しては、イランのアラグチ外相が完全開放するとSNSに投稿し、にわかにリスク回避ムードが後退したように見えたが、その後に米国がホルムズ海峡の封鎖を継続したことで事態は再び暗転し、イランの軍事組織である「イスラム革命防衛隊」もホルムズ海峡の再封鎖を宣言した。もっとも、交渉への期待は失われておらず、20日にバンス副大統領がパキスタンのイスラマバードに赴き、イラン側と再協議を行う見通しにある。この結果次第で、足もとの株式市場は上下いずれかに大きく振れることも考えられる。
もし、イランでの戦闘終結とホルムズ海峡の開放が現実化の運びとなれば、日経平均はショート筋の買い戻しも絡め一気に水準を切り上げる公算が大きい。その場合は、16日の終値である史上最高値5万9518円の奪回から未踏の6万円台に浮上するケースも十分にあるとみている。一方、交渉が決裂した場合は事態が深刻化し、仮に米・イランの間で軍事的な対立がエスカレートした際には、短期間に日経平均は5万円近辺まで急落するようなケースも想定される。ただ、今回の協議で合意が得られなくても、交渉が継続するという状況が確認されれば、そこまでの深押しはなさそうだ。
スケジュール的には来週の27~28日の日程で行われる日銀の金融政策決定会合がカギを握るが、現状は利上げ見送りの可能性が高そうだ。その場合は6月の金融政策決定会合で追加利上げに踏み切るかどうかにマーケットの注目が集まることになるが、植田和男日銀総裁は思惑を呼ぶようなコメントは極力差し控えるはずである。
物色対象としては民間需要と軍需の双方が発現している半導体周辺株は押し目買い対象として継続マークしておきたい。また、中期的には日銀の利上げ路線が予想されるなか、銀行セクターも注目しておきたい。更に、中東情勢が落ち着けば、原料コスト上昇を価格転嫁で吸収し、利益水準が確保されている外食産業の株価も強調展開が見込めそうだ。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(かつらはた・せいじ)
第一ライフ資産運用経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。
株探ニュース