フィジカルAIを現場へ、効率化で本領発揮の「物流テック」関連株 <株探トップ特集>
―最先端技術で現場の変革加速、持続可能な体制構築に寄与―
慢性的な労働力不足や物流の多頻度小口化が進むなか、業界では輸送能力増強への対応や積載効率の向上、荷待ち・荷役時間の削減、商慣行の見直しなど、持続可能な体制の構築が急務となっている。これらの課題を解決する手段のひとつとして期待されているのが、人工知能(AI)が現実世界(フィジカル空間)にある ロボットや機械などに直接関与するフィジカルAIだ。現場へのAI実装は更に進むとみられ、業務最適化や効率化、省人化を実現するソリューションを手掛ける「物流テック」関連銘柄に注目しておきたい。
●重点領域に位置付け
政府が7月に閣議決定した「AI基本計画」(14日)と「日本成長戦略」(21日)では柱としてフィジカルAIが掲げられ、重点領域のひとつに位置付けられているのが物流分野だ。戦略17分野における主要な製品・技術などの官民投資ロードマップでは、工場、物流、小売り、防災、介護、家庭、廃炉などへの導入を念頭にモックアップ(中身の機能やシステムは動かないものの、見た目を本物そっくりにつくったもの)環境で基盤モデルを実装したロボットなどを運用することで、高品質な実機データを収集・加工し、データセット整備、評価・検証、モデル改善の一連のプロセスを行い、現場実装とモデル高度化を一体的に進めるエコシステムを構築するとしている。
経済産業省と国土交通省は7月17日に「2026年度第3回 フィジカルインターネット実現会議」を開き、ロードマップの改訂版を発表。AI技術を活用して商品情報などのデータと配送先や納品条件といった物流に関するデータの双方向連携を促進するとしているほか、今年度から全面施行された物流効率化法の改正によって一定規模以上の荷主企業に義務付けられた物流統括管理者(CLO)の経営視点での役割への期待などが盛り込まれた。また、同会議では新たな業界間連携の枠組みとして「フィジカルインターネット実現懇談会(仮称)」を立ち上げる方針が示され、業界ごとのワーキンググループが垣根を越えた知見の共有やネットワーキングを行う場を設けるという。 フィジカルAIによる物流革命は始まったばかりで、関連企業のビジネス機会は一段と広がりそうだ。
●変革を支援する銘柄群
直近ではReYuu Japan <9425> [東証S]が4日、中国のPaXini Tech(パクシーニ・テック)が開発するフィジカルAIロボットを活用した物流現場における概念実証(POC)を実施することを決めたと発表。これは深刻化する物流現場の人手不足解消と将来的なロボットレンタルサービスの提供を目指すもので、検証結果をもとに有償レンタルサービスの導入・運用支援体制や料金体系などを検討するという。
インターネットイニシアティブ <3774> [東証P]は7月28日、フィジカルAIプラットフォーム「Alpha Vision」を提供する米AGI7に出資するとともに、日本法人のAlpha Vision Japanと日本市場での戦略的協業について基本合意書(MOU)を締結したことを明らかにした。物流や製造などの現場でフィジカルAIの社会実装を推進する構えで、人的負担の軽減や状況把握・傾向分析による現場改善及び生産性向上などの効果を見込んでいる。
フィックスターズ <3687> [東証P]は7月23日、 ドローン・自律移動体向けフィールドロボットを手掛けるアトラックラボ(埼玉県三芳町)と連携し、フィジカルAI・自律運転ソフトウェアを活用した用途特化型ドローンの開発及び実証支援の取り組みを開始したと発表。点検、監視、災害対応、測量、物流など多様な現場において、業務要件に最適化されたドローンの開発・POC・現場実証を支援していく構えだ。
JDSC <4418> [東証G]は7月21日、日本ロジスティクスシステム協会(JILS)に加盟したことを明らかにした。同社は加盟を通じて、物流業界へのAI・データサイエンス活用の普及啓発、現場の実態・ニーズを踏まえた課題解決ソリューションの共同開発、会員企業・団体との連携による社会実装の加速を目指す考え。なお、同社は今年2月に物理空間における自律化を推進する事業開発組織「フィジカルAIビジネス開発室」を新設している。
YE DIGITAL <2354> [東証S]は7月16日、米エヌビディア<NVDA>とフィジカルAI分野で協業すると発表。YEデジタルの倉庫自動化システム「MMLogiStation」と、シミュレーション対応の世界を構築するための構築済み機能を提供する「NVIDIA Omniverse libraries」を連携し、物流及び工場内搬送工程の高度化を推進するという。
●GMOなどにも注目
また、リコー <7752> [東証P]は7月16日、CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)ファンドを通じて、小売り・物流業界向けにロボットサービスを提供する東京大学発のスタートアップであるTelexistence(東京都大田区)に出資したと発表。ロボティクスとAIを活用した自動化ソリューションの社会実装を進めるほか、新たな事業創出を加速する狙いがある。
GMOインターネットグループ <9449> [東証P]傘下のGMO AI&ロボティクス商事(GMO AIR)は6月19日、中国の人型ロボットメーカーであるUnitree Robotics(ユニツリー・ロボティクス)と国内正規代理店契約を締結したと発表。人型ロボット・四足歩行ロボットなどの販売・導入支援・ソフトウェア開発・保守運用をワンストップで提供するという。
これ以外の関連銘柄としては、ロボティクス技術の確立によって物流センターや工場の完全無人化を目指すダイフク <6383> [東証P]、物流センター全体のマテハン(マテリアルハンドリング)機器をフィジカルAIに進化させる搬送計画最適化AIエンジンを提供する日立製作所 <6501> [東証P]、グループ会社が物流現場や工場のロボット導入を支援するサービスを始めたパナソニック ホールディングス <6752> [東証P]、フィジカルAIの現場実装と運用改善を手掛けるNSW <9739> [東証P]などが挙げられる。
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